Stockholm Surfboard Club マンネ・グラッドが提案する新たなサーフブランドの形 | interviews

サーフボードシェイパーとしての一面も持つマンネ・グラッドが語るブランドのこれまでとこれから

ファッション 
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サーフボードシェイパーであり、デザイナーとしても活動するマンネ・グラッド(Manne Glad)によって設立された、スウェーデン発のサーフボード&ウェアブランド〈Stockholm Surfboard Club(ストックホルム サーフボード クラブ)〉。2019年に本ブランドを設立する以前、マンネはサーフ仲間でもあったジョニー・ヨハンソンに招待され、〈Acne Studios〉のデザインチームでデザイナーとしてのキャリアをスタートしている。

そんなマンネの経験を活かしてか、本ブランドは往来のサーフブランドにみられるカジュアルなデザインや快適さなどの機能性を維持しつつも、よりファッション性の高いプロダクトを展開。同ブランドの特徴である歪みのあるシルエット、奇抜なグラフィックは、1970年代のサーフカルチャーのサイケデリックな雰囲気を彷彿とさせる。そのほか、マンネの身近にある音楽やアートといったカルチャーの文脈を各コレクションごとに採用するなど、クラシックなサーフブランドを再構築し、独自の視点で新たなスタイルを提案している。

今回『Hypebeast』は、4年ぶりに来日した〈Stockholm Surfboard Club〉デザイナーのマンネ・グラッドに独占インタビューを実施。ブランドを始めたきっかけや、ジョニー・ヨハンソンとの出会い、〈Vans(ヴァンズ)〉とのコラボレーションについて、これからの展望など、彼とブランドにまつわることを余すことなく語ってもらった。


Hypbeast:まず、これまでの経歴を教えてください。

僕にとって現在Stockholm Surfboard Clubをやっていることは偶然で、始めるまでファッション業界に関わろうといったような野望は全くありませんでした。これまで、映画の製作やミュージックビデオの編集など、さまざまなことに関わってきて。ですが、サーフィンはずっと昔から好きだったんです。なので、ごくごく自然にサーフのシェイパーを始めて。そもそも物作りを始めた理由は、父親が大工だったことで、小さい頃から物作りをしている現場を見てきたから。そうしていたら、サーフィンの繋がりでジョニー・ヨハンソンと出会ったんです。最初はただ友人として仲良くしていたけれど、途中でAcne Studiosのデザインチームに来てくれないかと誘われて。そのことがきっかけで、ファッション業界で仕事をすることになりました。

ジョニー・ヨハンソンとの出会いはいつ頃ですか? デザイナーとして招待されたときの心境や、彼との出会いで印象に残っているエピソードもあればお伺いしたいです。

正確にいつ頃かは覚えていないのですが、2014年か2015年あたりですかね。もしかしたら、もっと前かも。彼と出会った頃は、彼がAcne Studiosをやっていることすらも全く何も知らなくて。ですが、徐々に仲良くなっていくなかで、ジョニーがどういう活動をしているのかを知るようになりました。そんななかで、彼が僕に何か感じるものがあったのか「マンネのことをものすごく信じているし、君は何だってできる」と言ってくれて。彼は、「誰だって何でもできるけど、どれだけやり続けて、時間を使い、真摯に向かい合うことができるかだけが差を生む」ということや、「そのチャンスは誰にでも平等にある」とよく言っていました。それは今でも変わらないんです。なので、彼は僕のメンターでもあり、しばしばインスパイアされる存在でもあります。

サーフでの経験は、Stockholm Surfboard Clubでの服作りにおいて何らかの影響をもたらしていますか? 2つの相互関係についてや、共通項があれば教えてください。

僕はすごく競争心を持っていて、サーフをやっているときは己に勝ちつづけるという気持ちを常に持っているんです。それは、ブランドを続けていく上でも同じです。目指すものがあって、そこに必ずリーチしたいという気持ちはどちらにもあります。それと、サーフはロングボードとショートボードに分かれていて、ロングボードだとショートボードではできない技があり、逆もしかりだということがあるように、ツールが違えばさまざまなことが異なる視点で楽しめるというのは、ファッションと近いところがあると感じていて。同時に、サーフのビーチには、5歳ぐらいの子供から、80歳のサーファーの人たちまで幅広い年齢のサーファーが集っています。特にスウェーデンはそうなのですが、“何歳だからこうだよね”という決まりがないんです。どんな年代の人でも、みんな一緒にライフを楽しもうというスタイル。その考え方は、僕にとってすごく大切な部分で。例えば、年齢でいうとジョニーは僕のと20歳以上離れているけれど、一番の仲良しの友達で、僕も彼も一切そのことを気にしたことがない。そういう関係性でいれることがすごく嬉しいんです。そんなみんなと一緒にいる際に生まれる感情は、洋服を作るときにもすごく大切で役立っています。

マンネさんからみて、現在のストックホルムのサーフシーンはどのようなものなのでしょうか?

ストックホルムのビーチ自体、他のヨーロッパや国などの有名なサーフポイントと比較すると小さいので、サーフコミュニティもすごく小さくて。なので、みんな“絶対に波に乗るぞ”という想いもすごく強い。きっとそれは、彼らのライフスタイルにも反映されているんです。毎日朝から波の予報を携帯でチェックして、少しでもいいと思ったら一気にビーチに出ていく。もちろん中途半端な波が来ることもあるけれど、それでもみんなその波に乗るし、もしもいい波がきたらそれに感謝するんです。だけど、大体はすごく水温も低いし、寒いし、タフな環境ではありますね。

今回の来日では何を主な目的とされていますか? また、4年ぶりに訪れた日本の感想も教えてください。

僕は、日本のカルチャーがすごく好きなんです。それと、いつもと全く違う環境にいるというのはすごく大切なことで、新鮮な気持ちや経験を得ることに期待しています。これまでの来日では、四国にあるStockholm Surfboard Clubのウェットスーツを作っている工場に訪れ、工程などを確認していました。ですが、今回はあまり時間がないのでそこには行かないかもしれません。今回の来日では、とにかくいろいろなことに影響を受け、それをたくさん蓄えて、そのままストックホルムに持って帰ることが一番の目的です。

日本国内では、2021年よりDover Street Market Ginzaにてアイテムを展開していると思います。展開することになったきっかけを教えてください。

Dover Street Market Ginzaをディレクションされている川久保玲さんのクリエイションは、独自の美しさに毎回驚き、同時にこのエネルギーはすごく素晴らしいことだと思っています。とあるきっかけがあって2021年に僕らのスペースを作ることになったのですが、そのとき、DSMGの空間に僕と関係性のあるアーティストの人たちを招待して、いろんな見せ方ができるといいなと思いました。それは実際に実現し、自身とブランドにとって素晴らしい経験になっていると思います。

その翌年、2022年にはVansとのコラボレーションで1990年代の名作 Lampinをリリースしていました。Lampinをコラボモデルとしてセレクトした理由と、コラボレーションの進行について教えてください。

Lampinは僕のお気に入りで、ずっと好きだったモデルなんです。このコラボレーションの話があったときに、すぐにこのモデルをベースにしようと思いました。このモデルは、もともとスケートシューズなんです。なので、スケーター仕様のディテールを、サーフ的にこういうスニーカーがあったらいいだろうっていうものに変えて。極力シンプルになるようにこだわりました。シューボックスのデザインは、ミュージシャン兼アーティストとして活動するオスカーという友人にお願いしました。“箱にはインパクトがあって、中身を開けるとシンプル”というコントラストを考えて作っています。

なるほど。これまで、ロゴモチーフのスウェットやTシャツが印象的でしたが、2023年秋冬より本格的にコレクションを展開していると思います。その際の意識の変化や、デザインプロセスにおいて何か変わったことはありますか?

先ほどのお話の延長線になりますが、どうしていくかをあまり計画していなかったため、どのタイミングで事業を拡大するという目標があってやっていたわけではないんです。ですが、Acne Studiosでもすでにサーフのアイテムをデザインしていていた経験から、サーフはファッションのコレクションのなかにもうまくマッチングするのではないかと思っていて。なので、なんとなくの構想から、少しずつコレクションを作り始めていったというプロセスでしたね。今はもっとその先にやってみたいと思うことがあります。

この先のやってみたいと思っているのは、どんなプランですか?

たくさんあります。一番に思っているのは、素晴らしい環境である今のスタジオを今と同じバイブスで、このまま周りにいるたくさんの人たちと楽しく続けていくことです。それは、挑戦でもあります。また、コレクションのクオリティをもっと良くしていくことも重要ですね。今はブランドをやっているけれど、これからはもしかしたら全然違うプロジェクトをやり始めるかもしれないですしね。一番大切なのは、とにかく楽しくやることです。

とてもいいプランだと思います。では、最新の2024年春夏コレクションについてこだわった点を教えてください。

2024年春夏コレクションをデザインする期間は、環境と頭の中、どちらもオープンマインドでいるということを意識していました。それと、僕が経験してきたサーフカルチャーに基づきながら、今回はピンク、グリーン、ブルーといったポッピングする色をあれこれいれて作り上げることも念頭に置いて製作しています。加えて、このコレクションで初めてドレス、トップス、スイムウェアなどといったウィメンズのアイテムを全て揃えて発表することができました。

先ほど2024年春夏コレクションのなかからピックアップしてもらった、お気に入りのアイテム4つについて注目してほしいポイントを教えてください。(※上のスライドを参照)

1つ目のレザージャケットは、これをデザインしているとき、ちょうど1960年代から1970年代のスタイルにすごく興味があって。そのときのフィーリングを、すごく反映できているアイテムだと思います。とても丁寧に職人の方に作ってもらっているため値段が少々張るのですが、Stockholm Surfboard Clubの中でこういった職人技のようなこともできるんだと思ってもらえれば嬉しいです。グラフィックTシャツも展開する一方で、レザージャケットのようなアイテムも作れるのだということを理解していただくために、重要なアイテムだと思っています。

2つ目のブルゾンはすごくシンプルなデザインですが、ミリ単位での調整を何度も何度も重ねて、やっとこのシルエットに辿り着きました。なので、かなり自信を持っています。これを買った人が30年後に着たとしても、全く違和感なく楽しんでもらえると思う。僕にとっては、なくてはならないアイテムの1つです。

3つ目のニットは、本コレクションでウィメンズアイテムをフルラインアップで初めて展開する上で、このクオリティに仕上げたことは僕の中でとても納得できるものになりました。ハンドで“Surf”という刺繍を入れたのは、僕が一緒にいるサーフカルチャーの中の女の子がこういうスタイルでいるといいなと思ったからです。

最後のビキニは、毎シーズンリリースしている、エアブラシなどでグラフィックを描いたアイテムに近い部分があって。水の中でこのようなカモフラージュ柄を着る必要はないのですが、そのアイディアが少しファニーだと思って採用しました。初めてドローストリームのビキニを作ったのですが、サーフをしている人もしていない人にも楽しんでもらえるものとして、メッセージ性がすごく高いものに仕上がっています。

では、これから発売となる2024年秋冬コレクションについても簡単に教えてもらえますか?

次のコレクションは、アメリカのシンガーソングライターであるフランク・ザッパというアーティストからインスピレーションを受けました。彼のような、音楽に全くジャンルもなく、完全につかみどころがないものが大好きで。そんなイメージでこのコレクションを作りましたね。例えば、これはオフィスで着るようなスーツの後ろにエアブラシをかけていて。これを着てすれ違う際に、前から来た人はスーツを着ていると思いきや、後ろを見ると“これはなに!?”となるようなデザインです。異素材を組み合わせて、こういうのはないよねというような組み合わせをわざとやっています。

どのスタイルがお気に入りですか?

やはりこのスタイルですかね。理由は、個人的に茶色が好きだから(笑)。このパンツも、ブラウンにストライプが入るというスタイル自体はすでに僕らが発表していて、そうやって繰り返しでできるデザインというのが気に入っています。さきほど言ったように、ジャケットのバックにエアブラシのアートワークがあしらわれているのも、これを着ているのを見た人が“なんで?どうなっているの?”と感じて欲しいから。そこから会話が生まれることはすごく面白いし、そういったシチュエーションになることを期待して作っています。

最後に、Hypebeastの読者に一言あればお願いします。

難しいですね……。やはり、自分自身でいることがすごく大切だと思います。自分自身でいることを楽しんで欲しいから。

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