Balenciaga 2025年夏コレクション
リアルクローズを奇抜な発想とギミックで異次元に昇華させるのはデムナならでは


























































デムナ(Demna)手掛ける〈Balenciaga(バレンシアガ)〉が、パリ・ファッションウィークにて、2025年夏コレクションを発表した。
『ヴォーバン広場』にて開催された今季。ショー開始前にはデムナから「ファッションに関する私の初期の記憶は、段ボールにルックを描き、それを切り抜き、祖母のキッチンテーブルで“ファッションショー”をしていたことから始まります。35年後、このショーは私を、私のビジョンの始まりに再び結びつけます。独自の視点を持つファッションへのオマージュです」というメモが。彼の思い出を表現すべく、会場には長いダイニングテーブルが連なり、その上をモデルが歩くという演出に。フロントローのゲストはテーブルを前に着席し、ショーを鑑賞した。
刺繍とニットジャカードによるトロンプルイユが印象的なランジェリー調のボディスーツで幕を開け、背中にコルセットのようなレースのディテールを配したシルクドレスのルックが続く。その後は、内部にネオンプレンを入れた独特のボリューム感のコクーンジャケットに、解剖学からインスパイアされたダーツが複数施されたデニムの組み合わせ。このように、ボリュームを持たせたクロップドのトップス+細身のローウェストのボトムスというシルエットが、さまざまな素材やアイテムで展開され、今季の〈Balenciaga〉を象徴するスタイルに。
複数のピースを(慌てて)重ね着したようなドッキングアイテムも、いかにもデムナらしい。ちなみにジーンズの片方のポケットにはTシャツが捩じ込まれている。ジーンズを上から被せて、圧着しスタンドカラーに仕立てたコート、ビスチェとしても着ることができるレザーのライダース、ブレスレットのように胴体にはめるように装着するスパンデックス素材のピースなど、斬新な試みも披露された。小物類では、顔面を覆うようなキャップ(中がメッシュのため、前が見える)や新作スニーカーのバスケットボールシューズなどが目を引く。
ショー終了後の囲み取材で、デムナは「幼い頃にファッションを絵を描いて、テーブルでコレクションをやっていた時には、それが自分の生涯の仕事になるとは思っていなかったよ。だからこれはある意味で、自分自身によるホームカミングみたいなものだね」と今シーズンを振り返る。余談になるが、ショーのトラックになっていたブリトニー・スピアーズ(Britney Spears)の“Gimme More”は、〈Balenciaga〉のショールームでもずっと再生されており、若き日のデムナがよく聴いていたのかもしれない。数多く用いられたデニムもその時代を感じさせる絶妙な加工具合。ストリートも次なる流れを模索している中、新たな指標となり得るか。今後のシーンの動きにも要注目だ。
ブランド:Balenciaga
シーズン:2025年夏
日付:9月30日(現地時間)