久々に登場したブラックダイヤルの “レベルソ”
「Watches and Wonders 2023」現地レポート -〈Jaeger-LeCoultre〉編
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久々に登場したブラックダイヤルの “レベルソ”
「Watches and Wonders 2023」現地レポート -〈Jaeger-LeCoultre〉編
スイスのル・サンティエに拠点を置く、1833年創業の高級時計マニュファクチュール〈Jaeger-LeCoultre(ジャガー・ルクルト)〉は、当初〈Cartier(カルティエ)〉を始めとする一流ブランド時計の開発と部品供給のメーカーとして始まったが、1937年に自社のブランド名で時計を発表。以降は独立したウォッチメーカーとして走り出し、今まで1200種以上の名キャリバーを生み出してきた。「Watches and Wonders 2023(ウォッチズ アンド ワンダーズ 2023)」においても、このマニュファクチュールは、数々のタイムピースを発表。そのなかで『Hypebeast』編集部が注目したのは、文字盤が裏返せる名作 Reverso(レベルソ)の新作ブラックダイヤルだ。モデル名は、Tribute Small Second(トリビュート・スモールセコンド)と言い、その黒の文字盤は、中央から放射状に細やかな線が広がるサンレイ仕上げだそう。
釈迦に説法かもしれないが、この名作Reversoは1931年に誕生した。ポロ競技用の時計として考えられた反転式ケースは、もともとはポロの試合中に時計を保護するために設計されたが、その独創的な仕組みに惹かれ、徐々に世界中の時計愛好家やファッショニスタに広まっていった。アールデコの芸術運動の全盛期に誕生しており、丸型が標準であった腕時計に角型を取り入れたという点も、時計業界にセンセーションを起こした理由のひとつだろう。
今回の新作ローンチに向けて設計し直したというピンクゴールド製のメタルケースには、1931年当時のオリジナルモデルにオマージュを捧げる形で、漆黒のダイヤルが組み合わされている。実に上品でドラマティックなコントラストだ。
スライド式反転機構のケースは、時計製造において最も複雑なケースのひとつとされるが、前作に比べてさらに約1mm薄くなり、わずか7.56mmの厚みだ! ケースを薄くするという難易度の高い課題をクリアしながら、その仕上がりは完璧かつ美しい。
また、このReverso Tribute Small Secondには、108個の部品が組まれた機械式手巻ムーブメント “キャリバー822”を搭載。42時間のパワーリザーブを提供するこのエレガントな機械式ムーブメントは、すべての〈Jaeger-LeCoultre〉製キャリバーと同様に細やかな仕上げと装飾が施されている。その部品は、ケースバックのメタル部分の下に隠されるとして洗練された美しさを保ち、Reverso専用に設計されたキャリバー822のすべての要素はマニュファクチュール内ですべて製造され、ピンクゴールド製の長方形メタルケース内に組みこまれていく。
そしてこのブラックダイヤルには、Reversoの原点とも言えるポロ競技のブーツブランド、〈Fagliano Collection(ファリアーノ・コレクション)〉のストラップが2本付属。1本はキャンバスとカーフを組み合わせたシンボリックなストラップで、もう1本は、きめの細やかなカーフレザーとなっている。
この最新作 Reverso Tribute Small Secondは、すでに公式サイトにて公開されており、日本での販売価格は327万8,000円(税込)。〈Jaeger-LeCoultre〉というブランドが与えてくれる地位、その歴史、非の打ち所がない品質と洗練されたデザインにブラックダイアルと、すべての要素を足して考えれば、結構お買い得な1本と言えるかもしれない。