Our Legacy ヨックム・ハリンが振り返る異色の Armani コラボとブランドの歩みについて | Interviews

「WORK SHOPでは、よくありがちなお互いのブランド名を乗せただけのプロダクトではなく、常にサステナブルな視点から、両ブランドの歴史を見せるような目的を持って取り組んでいます」

ファッション 
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ファッションを問わず、“異色のコラボレーション”と呼ばれるものは数あれど、先日ローンチした〈Our Legacy(アワーレガシー)〉のプロジェクトライン〈Our Legacy WORK SHOP(アワーレガシー ワークショップ)〉と、イタリア・ミラノ発の〈Emporio Armani(エンポリオ アルマーニ)〉のチームアップには、驚いた方も多いだろう。メンズとユニセックスウェアで構成される珠玉のコレクションは、レザーコート、フライトジャケット、テーラードスーツ、ウール素材のオーバーコート、コーデュロイ、デニム、ヘビーウェイトのジャージー素材を用いたカジュアルなアイテムなど、両ブランドのエッセンスを随所に感じさせる多様なラインアップとなっている。そして〈Our Legacy〉の常設スペースがある東京・銀座の『DOVER STREET MARKET GINZA(ドーバー ストリート マーケット ギンザ / DSMG)』では、コラボコレクションの発売を記念して、期間限定のインタレーションが設置された。

リリースに合わせて、ブランドの共同創設者であるヨックム・ハリン(Jockum Halin)とリカルドス・クラレン(Richardos Klarén)をはじめとする〈Our Legacy〉チームが総出で来日し、『DSMG』にて関係者を招いたミニイベントが開かれた。我々『Hypebeast』は、同イベントの数日後、都内某所でヨックム・ハリンにインタビューを実施。今回のコラボレーションの裏話から『DSMG』との関係性や〈Our Legacy WORK SHOP〉までを訊いた。

Hypebeast:今回の来日では何をされていたのですか?

DOVER STREET MARKET GINZAで行われたOur Legacy WORK SHOPとEmporio Armaniのローンチが主な目的でしたね。

あなたたちが全員揃って日本に来るのは割と珍しいと聞きましたが。

多分そうだと思う(笑)。今回のコラボは僕たちにとって、とても重要だったから、全員揃ってその瞬間を楽しみたかったのです。

コラボコレクションについて教えてくれますか?誰しもがびっくりしたと思うけど。

そうですよね。いわば僕らは違う世界で生きてますから。Armani側から「何か一緒にできないか」と声をかけてもらったんだ。最初は驚いたけど、それと同時に光栄に思いました。そこからはスピーディに進行して、彼らもOur Legacyが主導権を持って進めることに同意してくれました。デザインから撮影やマーケティングまで僕らのアイデアで、Armaniはそれをサポートしてくれた形です。実は僕と共同創設者でメインラインのクリエイティブ・ディレクターのクリストファー・ニーイング(Cristopher Nying)は、長年ヴィンテージのArmaniアイテムに憧れていたんです。僕らのオーディエンスは若い層が多いと思うけど、僕は1980年生まれで90年代のArmaniを通ってきてるからね。もちろん会社の規模が全く違うから、双方にとって大きなチャレンジだったけど、こんな大きな会社と仕事ができて素晴らしい経験でした。

なるほど。よくわかりました。Armani内で元から知り合いがいたのですか?

いや特にはいなくて。ただ、僕らはショールームやプレゼンテーションをはじめ、コミュニティー形成に関わるイベントごとなど、Armaniが拠点を置くミラノで長年活動してきました。そういうこともあり、共通の連絡先を通じて、彼らからコンタクトがありました。

デザインのプロセスは?どのような形で進めたのですか?

僕とクリストファーでコレクションのコンセプトを決めたのですが、僕たちがArmaniと一緒に何をやりたいかが重要でした。スーツはもちろん、レザーのアウターや新しい解釈で作ったフライトジャケットだったり。それをArmaniにプレゼンしに行って、彼らもとても気に入ってくれたんだ。自分たちはArmaniのことをよく理解していたんだと思う。興味深いよね。そこから彼らのチームと作業を始めて。僕らのアーカイブにあったヴィンテージのArmaniを持ち込んで、それらを参考にしながら、パターンを構築していきました。ひとつひとつのピースを丁寧にデザインにしていったので、“ボタンを押して、はい終了”みたいなものは1つもありませんでしたね。いくつかのアイテムはOur Legacyのスタイルを踏襲していて、例えばジーンズ、スウェット、シャツなんかは僕らのシェイプを採用しています。2つの世界が1つになった形ですね。

何型作ったのですか?

結構多くて、50(fifty)型です。15(fifteen)じゃないですよ(笑)。

それは多い!コラボだと多くても数型で終わるケースがほとんどですが、通常のコレクション的な量ですね。

結構な型数ですが、全てデッドストックの生地を再利用するというアイデアに基づいてるので、アイテムによっては15着しかないものも存在しています。ケースバイケースですが、かなり数が少ないアイテムが多いですね。また、店舗によって売ってるものが違うという、ある意味アナログな気分を味わってほしくて、例えばこの色のこのシャツはDSMGにしかないとか、こっちの色はロンドンにしか置いてないとか。デッドストックの生地から作っているので、必然的にそうなりますね。

どれぐらい時間がかかりましたか?

ざっと1年と言ったところでしょうか。

気に入ってるアイテムは?

アウターウェアはいいですよね、今日着てきた赤いレザージャケットはとても気に入ってます。スーツやネクタイも素晴らしいです。Tシャツやスウェットはもっとイージーカジュアルでおすすめです。

今回フィーチャーされていた猫についても教えてください。

最初にミラノでミーティングあったとき、なぜか猫のイラストやプリントを使うアイデアを思い付いたのです。それをArmaniサイドにプレゼンしたら、「それは特別なものになりますね。ジョルジオ・アルマーニは猫が大好きなのです」と、そのアイデアをとても気に入りました。2匹の猫のアニメーションを制作したのですが、1匹がArmani猫でもう片方がOur Legacy猫です。こっちの少しストリートテイストで地下鉄に乗ってる猫がOur Legacyですね(笑)。

8月にオープンしたDOVER STREET MARKET GINZAのスペースについても教えてください。

僕らはこれまでに何度も東京を訪れていて、DSMGでもオープンハウスでスツールをペイントしたり、Tシャツを作ったり、洋服をカスタマイズしたり、さまざまなことを一緒に取り組んできました。その経緯もあって、スペースをオープンしないかとオファーしてくれました。きっと僕らがそれに値するレベルに到達したと感じてくれたのでしょう。ステンレスを使ったミニマルなインテリアは僕らがデザインしていて、スウェーデンの素材を使っています。

DSMとの関係性を教えてください。DSMGでは今回のイベントや先ほどおっしゃっていたオープンハウスや10周年イベントなど、いろいろと一緒にやられている印象ですが。

とても重要です。グローバルで見ても、もちろん素晴らしいチームですし、彼らもOur Legacyに可能性を感じてくれているようで、一緒にプロジェクトを行えるのはとても幸運なことだと感じています。DSMGは世界で最も素晴らしいストアの1つですから。今の関係性にとても満足しています。アップサイクルを掲げたOur Legacy WORK SHOPでは、流通を1箇所にしたいと思っていて、それはDSMであるべきだと思っていたんです。だから今回のArmaniコラボでも世界中のDSMでインスタレーション付きでローンチしています。

今、話題に出たWORK SHOPとメインラインの違いについて改めて教えてくれますか?

メインラインについては、メンズとウィメンズで展開していて、より伝統的なファッションの構図に沿った生産となっています。年2回コレクションを発表して、プレスやバイヤーにプレゼンして、それを卸すといった形で。一方のWORK SHOPは、もっと自由にできるサテライト的な位置付けで、さまざまなプロジェクトやコラボレーションの受け皿になっていますね。Our Legacyは2005年にスタートしましたが、長年の生産において、倉庫に生地がどんどん蓄積されていったのです。2015年ごろに、これらの生地を使って、何かやるべきだと思い立ちました。同時にストアとスタジオを兼ねた新しいことを始めたいなと考えていたところだったので、ストックホルムにあるWORK SHOPのストアは、僕らのクリエイティブチームが古い生地を使って、新しいアイデアを試したり、カスタムやアップサイクルをできるラボのような場所にもなっていますね。例えばメインラインで売れ残ったTシャツがあったら、それをWORK SHOPに保管して、上からプリントしたり、染め直したりして新たなプロダクトに生まれ変わらせる。WORK SHOPでは、そういったサステナブルな姿勢に共感してくれた多くのブランドとコラボレーションを行っています。STÜSSY(ステューシー)だったら、彼らの余剰生地を使ってアイテムを作りました。コラボ相手から話が来た時は、まずははじめに彼らの倉庫がどうなっているのか確認しています。なので、よくありがちなお互いのブランド名を乗せただけのプロダクトではなく、常にサステナブルな視点から、両ブランドの歴史を見せるような目的を持って取り組んでいます。

とても意義のあるプロジェクトだと思います。では、メインラインの2024年春夏コレクションについて教えてください。

意図的にウィンターコレクションのような見た目にしているのですが、実際に着るとすごい軽いといったギャップを楽しんでもらえるコレクションになっています。ニットもウールのように見えますが、リネンとヘンプなんです。また、気候変動に対する意味合いも込めていて、スウェーデンだと季節が行き来してる感じで、例えば3月で夏のように暑かったり、5月に雪が降ったり。Tシャツはホラー映画のプリントが入ってますが、これはクリエイティブ・ディレクターのクリストファーが大のホラー映画好きだからです(笑)。あとは、レイヤードスタイルも今季のキーポイントですね。

ありがとうございました。では最後に日本のOur Legacyファンに一言お願いします。

日本に来るのがいつも楽しみで仕方ありません。僕らにとっての大きなインスピレーション源なのです。美的にも、視覚的にも、フィーリング的にも高く評価できるものがたくさんあります。今回の来日では、銀座、表参道、高円寺などに行きましたが、どの街もそれぞれの個性があって、このコントラストが大好きです。

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