韓国の大手eコマース Coupang が FARFETCH を買収へ
「Coupang」が約5億円を支援する模様

12月18日(現地時間)、韓国最大のeコマース会社「Coupang(クーペン)」が、世界中のラグジュアリーファッションを取り揃えるマーケットプレイス『FARFETCH(ファーフェッチ)』の買収を発表。来年初めまでに完了する予定だという。
今回の買収により、「Coupang」は「Greenoaks Capital Partners LLC(グリーンノークス・キャピタル・パートナーズ LLC)」を投資のパートナーに迎え、『FARFETCH』に対して約5億ドル(約711億円)を支援する模様。『FARFETCH』には同社のCEOであるジョゼ・ネヴェス(José Neves)のみが取締役会に残り、そのほかの上層部は退任というかたちに。
『FARFETCH』は、11月28日(現地時間)に予定されていた四半期決算発表をキャンセルし、投資家たちに提示していた予測財務諸表を無視するよう指示。これを受けて『The Daily Telegraph』は、ジョゼ・ネヴェスが、大株主である米投資銀行 JPモルガン(J.P. MORGAN)、中国の最大手EC企業「Alibaba Group(アリババ・グループ)」、スイスの宝飾品会社「リシュモン(Compagnie Financière Richemont SA)」らとともに非公開化を協議していると報じた。しかし、その後「リシュモン」がこれ以上『FARFETCH』に資金を投入しないと発表し、この協議は頓挫。続いて「Alibaba Group」の幹部もマーケットプレイスの取締役を辞任するなど、同社は窮地に立たされていると思われていた。
その窮地を救ったのが、2021年に上場した「Coupang」だ。同社は「Amazon(アマゾン)」に肩を並べるほどの売り上げをほこっており、2022年には206億ドル(約3兆432億8,500万円)の純収入を計上。しかし、『FARFETCH』と同様、2021年の新規上場以来、株価は75%近く下落しており、現時点では未だ利益を出していない。「Coupang」への売却は、同社を救済し、運営を維持するのに十分な資本を確保できる人物を数週間にわたり探していた末のことだった。それが、これまで『FARFETCH』が関係を築いてきた多くの著名な投資家ではなく、外部の人間だということは、いかに同社が追い詰められた状況であったかを表している。
また、この取引について『The Business of Fashion』は、“現在、ラグジュアリー市場の衰退や、M&Aの失敗、高額の負債などがFARFETCHの運営を危うくしている状態。今回Coupangが買収を行うことで、パートナーブティックやブランドに対するリスクを負いつつも、破産を辛うじて回避することができる”としている。