米大手レコード会社が所属アーティストの過去アルバムの再録を最低10年禁止へ
テイラー・スウィフトの再録アルバム『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』の大ヒットが原因?

テイラー・スウィフト(Taylor Swift)の再録アルバム『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』の大ヒットを受けて、「Universal Music Group(ユニバーサル ミュージック グループ)」や「Sony Music Entertainment(ソニー・ミュージックエンタテインメント)」「Warner Music Group(ワーナー・ミュージック・グループ)」といった米大手レコード会社は、所属アーティストに対して過去アルバム/楽曲の再録を今後最低10年間禁止する方向へ傾いていると報じられた。
テイラーが自身の過去の楽曲を再びレコーディングするプロジェクトの第4弾としてリリースされた『1989(テイラーズ・ヴァージョン)』は、2014年発売の5thアルバム『1989』の新バージョン。本アルバムは発売からわずか3日間で従来型のアルバムセールスで2023年第2位を達成し、55万以上のアルバム換算ユニットを獲得。さらに、収録曲のオーディオとビデオを合わせたオンデマンド・ストリーミング数は2億2,000万回を超えるなど、驚異的なヒットを記録している。そもそも彼女がこのプロジェクトを始めたのは、元マネージャーのスクーター・ブラウン(Scooter Braun)との原盤権をめぐる争いがきっかけだ。
テイラーは2017年にデビュー当時から所属していた「Big Machine Records(ビッグマシン・レコード)」を離れ、2018年に「Universal Music Group」と契約。しかし、その翌年に「Big Machine Records」をブラウンが3億ドル(約450億円)で買収し、テイラーの過去アルバムの原盤権を取得することに。さらに、ブラウンが彼女の同意を得ずに原盤権を他社へと売却したため、テイラーはこのことへの反発から、自身の楽曲の再レコーディング・プロジェクトをスタートした。
『Billboard』の報道によると、先述のレコード会社各社が施行しようと企ている新たなレコーディング契約は、アーティストがレーベルを離れてから10年、15年、あるいは30年後まで自身の楽曲を再びレコーディングすることを禁止にするという。従来までの標準的な契約では、アーティストが楽曲を再録できるのは最初のリリース日から5〜7年後、もしくは契約満了から2年後とされていた。もし新たな契約が施行されれば、アーティストにとってはこれまでより再録のハードルがかなり高くなってしまう。
該当の記事には大手レコード会社が契約方針を切り替える理由について明記されていないものの、記者の見解ではテイラーの再録アルバムの大ヒットは文化の発展に拍車をかける一方で、原盤の価値を下げているという。なお、本件に関して各レコード会社からの正式なコメントは発表されていない。