MF DOOM の遺族が盗まれたノートをめぐり Stones Throw の元レーベルマネージャーを提訴
生前の仕事仲間であるイーゴンがMF DOOMの遺品のノート31冊を所持
2020年に逝去したラッパー MF DOOM(MF ドゥーム)の遺族が、米ロサンゼルスを拠点とする音楽レーベル「Stones Throw(ストーンズ・スロウ)」の元レーベルマネージャーであり、彼の仕事仲間であった“イーゴン(Egon)”ことエオセン・アラパット(Eothen Alapatt)を提訴していることが明らかになった。
報道によると、MF DOOMのパートナーであったジャスミン・ドゥミレ・トンプソン(Jasmine Dumile Thompson)は、イーゴンがDOOMの遺品である31冊のノートを盗んだとして、著作権侵害および詐欺行為などで彼をカリフォルニア州の連邦裁判所に訴えたようだ。以前にもジャスミンはDOOMの公式『Instagram』を通して、イーゴンと彼女たちの間で過去にやり取りされたメールのスクリーンショットを公開しており、そこには「イーゴン、ノートを返せ」というキャプションが添えられている。
イーゴンはDOOMのノートを所有していることを認めているものの、遺族への返却を拒否しており、その代わりに大学や政府のアーカイブや博物館などの機関に寄贈すると述べている模様。彼がDOOMのノートを入手した経緯を掘り下げると、2010年まで遡る。当時DOOMは自身の公演で訪れていた英国で拘束され、入国管理上の問題で米国に戻ることをしばらく禁止されていた。DOOMが国外にいる間、リリックなどが書き溜められたノートが彼の借りていたロサンゼルスのアパートに放置されていたという。ジャスミンはイーゴンがこのDOOMの不在期間を利用し、本人に相談することもなく、勝手にノートを盗んだと主張。一方、イーゴンの言い分は、DOOMは不在の間に家賃(12,500ドル)を滞納しており、それらを支払わなければ大家がアパートに残されたノートや機材、家具などを破棄すると脅してきたため、代わりに家賃を支払い、ノートも回収したとのこと。
その後何度もやり取りを経て、2020年の夏にイーゴンはDOOMと彼の家族にノートの内容のコピーを送ると申し出たものの、DOOMがそれを断ったという。しかし、同年10月にイーゴンはすべてのノートのスキャンデータをDOOMのハードディスクに送ったとコメント。また、イーゴンは自身が作成したノートのデジタルデータを今後も「公開するつもりはない」と公言しているが、ジャスミンは彼が既にそのデータを他人と共有したと主張している。
果たしてこの訴訟の行方はどうなるのか……続報が入り次第お伝えしたい。