W杯初の英国対決はイングランドの勝利:英国から2チーム出場できる理由は?
次節イングランドは56年ぶりの優勝を狙い12月4日(現地時間)にグループAの2位セネガルと対戦
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「FIFAワールドカップ カタール2022」の第3節が始まった。各国がしのぎを削る中でベスト16が決まる大事な試合が続く。グループBでは11月29日(現地時間)にW杯史上初の英国対決となるウェールズvsイングランドがキックオフ。結果0-3でイングランドが勝利し決勝トーナメント行きを決めた。
ウェールズは欧州予選プレーオフ決勝でウクライナを破り、64年ぶり2回目の出場だったのに対しイングランドは16回目の出場。ここで疑問なのが、何故英国からは2チームの出場が可能なのかということだろう。これはサッカーの歴史を遡らなければ話は進まない。
そもそも我々がイギリス、または英国と呼ぶ“United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland”は4つの国(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド)で成り立っている連合王国。それぞれの国にサッカー協会があり、それぞれの代表チームでW杯に参加できる資格を持つ。その中で1863年に創立されたのが世界最古の「イングランドサッカー協会(The Football Association)」で、近代サッカーのルールの策定において大きな役割を果たしたことで知られ、プレミアリーグおよび国内のカップ戦を主宰している。ちなみに「ウェールズサッカー協会」は1876年創立で、1873年創立の「スコットランドサッカー協会」に次ぎ世界で3番目に古いサッカー協会である。
これに対し「FIFA(国際サッカー連盟)」は1904年設立。競技としてのサッカーの成立過程および「FIFA」への加盟に関わる歴史的背景から、イギリスの本土4協会(イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの各協会)は特権的な地位が与えられている。設立当時の「FIFA」は、各国のサッカー協会ごとに加盟することを原則とし、サッカー発祥の地で圧倒的強さを誇っていたイギリス連合王国には加盟してもらうことが必須ということもあり、4つ存在する協会での加盟を認めたのが始まり。そしてその原則が現在に至るまで続いているというわけだ。
ベスト16に進んだイングランドは12月4日(現地時間)にグループAの2位セネガルと対戦。地元開催で優勝した「FIFAワールドカップ イングランド1966」以来56年ぶりの優勝を狙う。