Interviews : KAWS が語る新たな出発点としての TOKYO FIRST に込めた想い

約2年ぶりに来日したKAWSにスペシャルインタビューを実施

アート 
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7月16日から東京・六本木の『森アーツセンターギャラリー』にて開催されている“KAWS TOKYO FIRST”。本エキシビションは、今や説明不要の現代アーティスト KAWS(カウズ)にとって国内初の大型展覧会となる。

“KAWS TOKYO FIRST”は、2001年に『渋谷パルコ』で開催された日本での初個展と同じタイトルであり、その名称には“原点回帰”の想いが込められているという。そんな本展は、KAWSの歩んだ20年の軌跡とその美術史的意義を辿る構成となり、約150点の絵画、彫像、プロダクトなどが展示されている。加えてKAWSの保有するパーソナルコレクションの中から、自らに影響を及ぼしたアーティストの作品も紹介するという贅沢な内容に。1990年代から幾度なく来日してきたKAWSだが、本展の開催にあわせて、約2年ぶりに日本の地に降り立った。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で行動が厳しく制限される中、我々『HYPEBEAST』はKAWSことBrian Donnelly(ブライアン・ドネリー)への単独インタビューという貴重な機会に恵まれた。

HYPEBEAST : KAWS:HOLIDAY JAPAN以来の来日になるのでしょうか?久しぶりの日本はいかがですか。

今回は新型コロナウイルスの影響で行動に制約が多いです。ホテルと美術館を往復することしかできず、友人にも会うことすらできません。これまで来日できなかったのは、もちろんパンデミックが唯一の理由ですが、ようやく日本に戻ってこれても、あまりに制約が多いので、(今回の滞在を)公正に評価できないと思います。日本の印象について何も答えることができないです。でも、それだけの制約があってもとても楽しい旅になっています。

2001年に渋谷パルコで開催された日本初の個展と同タイトルということで、今回“原点回帰”を掲げた理由は?

直感的にそれにしようと思いました。タイトルについてはさまざまなアイデアがあったのですが、“TOKYO FIRST”というタイトルを使うことで過去20年間の振り返りができると思いました。そして、それを新たな出発点にできるとも考えました。これは私の仕事のやり方とも大変似ています。何かを創作した後も、そこに立ち戻ってアレンジを加え新たな作品を作るということがよくあります。ですから、同じタイトルを使うことで、これまで過ごしてきた期間を1度カプセルの中に入れて、そこをさらなる出発点にできるのでは考えたのです。

20年前を思い返して、現在のご自身の状況は想像できましたか?今あなたを知らない人はいないと言っても大袈裟ではないわけですが。

それはあまり正確な表現ではないと思いますよ(笑)。日本に関してはとても良い関係を築くことができました。日本には友人もたくさんいますし、彼らには色々な形でサポートしてきてもらいました。日本は私にとって大きな刺激を受けられる場所であり、いつも戻ってきたいと感じる2つ目の母国とも言えます。話が逸れましたが、もちろん20年前にこういった状況になるとは思ってもいなかったですし、今私の手元にこれだけの機会があるという状態を想像することがきませんでした。でもそれが今あるからといって、自分にとってそれが当たり前だとは思いません。ご存知のようにアーティストには浮き沈みがありますし、現在の私がアップだとすると必ずダウンもあるからです。

コロナ禍でご自身の創作活動はどのように変化しましたか?

コロナの状況には適応しないといけないものだと考えました。私たちにはそれ以外選択肢がなかったわけですから。自宅で仕事をする時間がとても増えました。実は2020年の初めに大きく体調を崩して、回復した後も一時期は仕事をする気になれなかった時もありました。ただその期間を経て新しいことを始めてみようという気持ちにもなったのです。これまでと視点や意識が変わり、自分が何をやっていくべきなのかについて改めて考えることができたと考えています。コロナ禍は家族と過ごす良い機会にもなりました。2019年のコロナ前を思い返してみますと、ほとんど毎月のように別の国に出張していましたし、同じ月に2つの国に行くことも珍しくありませんでした。プロジェクトに次ぐプロジェクトで息をつく暇もありませんでした。大変ひどい状況下ではありますが、一息置くことができたことは私にとって恩恵だったとも考えています。

カウズ インタビュー Interview : KAWS が語る新たな出発点としての TOKYO FIRST に込めた想い

今回は自身が影響を受けたアーティストの作品も展示されるとのことですが、そういった試みは初めてですか?

こういったやり方は初めてですが、ニューオリンズのテュレーン大学で展覧会をやったときに、元々は私のみの展示だったのですが、自分の所持している友人のアーティスト2人の作品も一緒に飾らせて欲しいと主催者にお願いして、Karl Wirsum(カール・ウィルサム)、五木田智央さんとの3人展が実現したことがありました。それと似たような形で、今回も私の個人的空間から自分のコレクションを持ってくることができました。見にきてくれた人に他のアーティストの作品を知ってもらう機会を差し上げるのはとても大切だと考えています。自分の作品だけなく他のアーティストを見てもらうことで、日本の来場者がこれまで知らなかったアーティストに触れるきっかけになってくれれば幸いです。そこから新しい発見をして、アーティストについてもっと深く知りたいと思う人も出てくるかもしれませんよね。

ご自身がアーティスト活動を始めた頃と現在を比較して、現代のアートシーンはどのように変化したと感じますか?

大きく変わったと思います。でも当時は私も若かったですから、現在の46歳の自分とは視点も全く違っていて。自分の視点が変わったのもありますし、環境が変わったのもあるので、変化はその両面があると思っています。現在のアートシーンですが、アーティストにとっては多くの機会に恵まれている時代です。ただ気が散る要素も同時にたくさんある時代で、たくさんの機会が転がっているのは、ある意味で諸刃の剣なのかもしれません。ソーシャルメディアがあることで、すぐさま数百万というの数のコミュニティに対して、自分の作品を発信することができます。ただそれがあることによって、さまざまな雑音が聞こえてくることも増えていくわけですから、これが状況としていいのか悪いのか議論が分かれるところだと思います。いずれにしても、私は自分が何を作りたいのかというところに集中してやっていきたいと考えています。

最近ではSupreme(シュプリーム)、sacai(サカイ)、COMME des GARÇONS(コム デ ギャルソン)といったブランドと協業されていますが、ファッションからあなたを知る人もいまだに増えていると思います。こういったファッション的なコラボする際に何か意識することはありますか?デザインのプロセスはどのように進むのでしょうか。

決まった方程式があるわけでなく、全てケースバイケースですね。私がやっているコラボプロジェクトは、個人と行うものもあればチームとのコラボもあるので、スケールもそれぞれ異なっています。もちろん小さくはありませんが、比較的小さめの規模感で例えると、sacaiやHUMAN MADE®️(ヒューマン メイド)とのコラボがあります。そういったところからも世界のさまざまな層にリーチできるわけですが、それがUNIQLO(ユニクロ)規模になりますと自分のデザインしたTシャツを近所の子供が着て、公園で私の子供と一緒に遊ぶという大変シュールな状況が発生して、その子供はデザインが気に入ってそのTシャツを着ているのですから、デザインした人物なんて知る由もないわけです。これはもはや非現実的な出来事になりますよね。一口にコラボレーションと言ってもそれぞれ違う使い方があるわけで、その時々によって状況が異なるということになります。

とある日本人アーティストと話していた際に、2001年のKAWS TOKYO FIRSTに衝撃を受けて、それが自分の転機になったという方がいたのですが、そういった若いアーティストに向けてメッセージをお願いできますか。

若い人へのメッセージと言われてるといつも本当に困ってしまうのですが、すごく難しくて。でもこの展覧会で私がどういったやり方で活動してきたのかを見てもらいたいです。展覧会に来て作品を見ていただくことで「自分にもできるかも」と思ってもらえることが私にとっては喜びです。“不可能”というハードルは、実は自分の頭の中にだけ存在していることが多いのです。他の人のさまざまな作品を見てもらって、その障害を取り除き「自分にもできるんだ」という気持ちになって自信を付けてくれれば嬉しいです。

カウズ インタビュー Interview : KAWS が語る新たな出発点としての TOKYO FIRST に込めた想い

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