Interviews:藤原ヒロシが明かす TAG Heuer とのコラボレーション第2弾の制作秘話

限定500本の貴重なコレクターピースにまつわるエピソードを紐解く

ファッション 
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2018年11月にリリースされた第1弾に続き、藤原ヒロシと〈TAG Heuer(タグ・ホイヤー)〉の更なるコラボレーションが実現。ショーケースに並ぶ暇さえなく即完したという伝説のタイムピースに続く第2弾の名は、TAG Heuer x fragment design Calibre Heuer02 Chronograph(タグ・ホイヤー x フラグメントデザイン キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ)。

前回モデルはCarrera(カレラ)をHF流にアップデートさせた形であったが、最新作はモーターレーシングをルーツとするFormula 1(フォーミュラ1)のCケースをベースに、約80時間のパワーリザーブを誇る自社製ムーブメント Heuer02(ホイヤー02)を搭載した、いわば全く新たなモデルとなる。藤原氏の好みを反映させ、小さなケースに重きを置いたCarreraとは対照的に、今回のモデルは現行の中でも大きめとなるケース径:44 mmを採用している。また、藤原氏らしいミニマルなデザインに加えて、ケースバックに用いられた鮮やかなレッドサファイアなど、注目ポイントが多数ある。ローンチに先駆け、我々『HYPEBEAST』は〈TAG Heuer〉の協力のもと、藤原氏の直撃に成功。7月下旬発売予定の今モデルにまつわるエピソードなどを尋ねた(外出自粛中のインタビューだったので『ZOOM』を使って実施)。

前回のモデルを発表されたのは2018年でしたが、第2弾のお話が進み始めたのはいつ頃だったのでしょうか?



それは最初からですね、初めから2つのモデルを手がけるというプロジェクトでした。



今回のアイデアは最初の時点であったのですか?



1作目を作っている時点では具体的なアイデアはありませんでした。最初のモデルは僕が自由にサイズを選んだりなど、1からやったのですが、2作目は既存のケースに中身だけ変えるといいますか、TAG Heuer側の指定するサイズのケースを前提にデザインしていった形です。



デザインのプロセスをお伺いできますでしょうか。



今回のデザインのプロセスは、ヴィンテージのアーカイブを本やネットで見ながら「このケースだったらこれがいけるのかな」って、色々当てはめていったという流れです。基本的には僕がAdobe Illustratorで書いたものを送って、その通りのものを作ってくれた感じですね。



前回は藤原さんにデザインが一任されていたというお話でしたが、今回も同様だったのでしょうか?



そうですね。Illustratorで書いたものがそのまま仕上がってきた形ですね。



カレラの時は小さなケースサイズを重要視されていたかと思いますが、今回は現行モデルの中でも大きめのサイズを採用されていますね。その意図を教えていただけますでしょうか。



最初からその約束事だったんですよ。最初は僕の好きな小さめのモデルを作らせてもらって、次はTAG Heuerが選んだケースに、僕ができることをできる範囲でやるというか。大きさ的には海外でも喜ばれるサイズかもしれませんね。



藤原さんは“自分が身に付けたいもの”を念頭に物作りをされているかと思いますが、そういう意味では今回のモデルは少し趣向が異なりますか?



サイズ感だけでいえば、そうかもしれませんね。現時点(インタビューを行った時点)では、僕はサンプルを実際に見てないので、分からないのですが、見た目のデザイン的は自分でも着けたいものに仕上がっていますね。シンプルでヴィンテージぽくスポーティで。

藤原ヒロシ タグホイヤー TAG Heuer とのコラボレーション第2弾の制作秘話 インタビュー 〈fragment design(フラグメント デザイン)〉



デザインされる上でこうしたいというイメージはすぐ出るものなのですか?それとも試行錯誤されて、一番良い形に落ち着くのですか。



これに関しては、割と最初にすぐ出ましたね。やりたいことのイメージが浮かんだので、それに向かって進んだ形です。



いつもそのような感じなのでしょうか?



物によりますね。時計は洋服などと違って、落とし込んだものがそのまま出てくるんですよ。洋服はデザインしてても、生地の感じだったりサイズ感で結構変わってくるんですけど、時計ってIllustratorで書くと結構ぴったりなものが出来上がってくるので。



では、イメージと違ったというのは起きにくいですね?



今のところはないですね。洋服だと、素材や色味が微妙に変わるだけで全然違うものになるので。でも、時計は写真みたいに描けるというか、Illustratorでバッチリ作れちゃうので。結構思った通りの物に上がってくるから、やり易さもあるし「ここはもっと艶があった方が良かったな」みたいのもないですね(笑)

。

最もこだわった点を教えていただけますでしょうか?



既存のモデルにはないような感じを意識していて、前回も同じですが、“ヴィンテージぽさ”を僕の思う良い塩梅・良い具合で出していくというか、その辺りですかね。あとは(レッドサフィアクリスタルのケースバックを指して)見えないところですが、実は取るとこうなっているっていう。



これもパッと思い付かれたのですか?



いろいろ考えているときでしたね。



表ではなく裏にあるのが良いですね。



はい、採用できたこと自体が良かったです。※TAG Heuerとしては初の試み



藤原ヒロシ タグホイヤー TAG Heuer とのコラボレーション第2弾の制作秘話 インタビュー 〈fragment design(フラグメント デザイン)〉

アパレルやスニーカーをデザインするのと時計をデザインするのでは全くの別物ですか?



デザインの思考というか、プロセスというか、頭の中でやることは同じなのですが、絵に落とした時に、描いたものがそのまま出てくるのが時計という印象ですね。(モニターを指して)これは写真ですが、僕がIllustratorで送った物もまさにこんな感じなので。



確かに写真かイラストとか最初分かりませんでした。アパレルと比べて、どちらが難しいですか?



先程お伝えしたように、それぞれ違うなという点ぐらいで、どちらが難しいというのはないですが、時計の方が想像していた通りに出来上がってくるというのはあるかもしれないですね。洋服は素材感などによって絵に描いたものと全然違う仕上がりになることもありますが、それはそれの良さがあったり。



2度のコラボレーションを経てTAG Heuerへの理解が深まっているかと思いますが、藤原さんの考えるTAG Heuerの魅力は?

一緒に仕事をする前はそこまで知らなかったのですが、歴史のある会社だなと思いました。いわゆるヴィンテージの良い時計がある時代に、やっぱり同じようにしっかりと良い物を作っていて、もしかしたら、それ以前からやっていたのかもしれませんが。その長い歴史の中で、まだまだ埋もれている良いデザインもたくさんあって。そういったモデルはオークションで高くなったりするのですが、数が少ないから人の目に触れることはあまりないのかもしれません。僕じゃなくても会社的にもそういったヴィンテージを復活させるっていう、やり方もあるんじゃないかなと思います。



ちなみに時計を手掛けたのは今回で何度目になるのでしょうか?



きちんと1からデザインしたのは2回目ですね、TAG Heuerが初です。いわゆるカスタムは今までもやってきて、そういうのを含めると自分でも覚えてないぐらいですが。



そういった意味でもとても貴重ですね。



そうですね、良い経験をさせていただきました。

藤原ヒロシ タグホイヤー TAG Heuer とのコラボレーション第2弾の制作秘話 インタビュー 〈fragment design(フラグメント デザイン)〉

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