Interviews:藤原ヒロシが語る 世界限定500本の “TAG Heuer × fragment” カレラの魅力
数々のコラボプロダクトを手がけてきた藤原ヒロシの審美眼と時計へのこだわりに迫る
「LVMH」グループの高級時計ブランド〈TAG Heuer(タグ・ホイヤー)〉より、藤原ヒロシが主宰する〈fragment design(フラグメント デザイン)〉とのコラボレーションモデル、その名も“タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 by Fragment Hiroshi Fujiwara”が登場。
このモデルは、〈TAG Heuer〉を代表するアイコンであるカレラをベースに、1963年に発表された初期のカレラのエッセンスを落とし込んだもの。39mmと小さめのケースサイズやドーム風防、ベージュインデックスなど、当時を想起させる要素を再解釈し、現代に新しい時計として生み出した。そして「TAG Heuerの現行コレクションに、必ずしも期待されていないものを創った」と語る藤原ヒロシ。『HYPEBEAST』では全面的にデザインを手掛けたHFにショートインタビューを敢行した。
今回のコラボは、どういう経緯で実現したのですか?
ビバ—会長からLVMHグループを通してオファーをもらいました。昨年、Zenith(ゼニス)とのコラボで時計を発表しているのですが、その時計を気に入って連絡をくれたと言っていました。
ブランドのアイコンであるカレラを選んだ理由は?
実はこの仕事をさせてもらうまで、TAG Heuerについての知識はあまりなかったんです。僕はビンテージ時計が好きですが、TAG Heuerはモナコ(世界初の自動巻きクロノグラフムーブメントを搭載したモデルであり、世界初の角形防水時計)くらいしか知らなかった。今回、昔のアーカイブなども見させてもらって、初期のカレラは小ぶりなクロノグラフであったことを知り、是非カレラでやりたいとリクエストしました。
全面的にデザインを手掛けられたとのことですが、TAG Heuer側の意向はなかったのですか?
当初は現行モデルのような40mm以上のケースサイズでデザインしてほしいとオーダーがあったのですが、それだと僕が自分では着けない時計になると思うので、40mm以下の小さいサイズでやりたいとお願いしたら快諾していただいて。だからロゴも昔のもの(旧ホイヤーロゴ)を使わせてもらったり、すごく自由にやらせて貰えましたね。最初にTAG Heuer側に伝えたデザインが、ほとんどそのまま実現できています。
TAG Heuer側に伝えたデザイン、それが初期のカレラの要素を取り入れたデザインだったんですね。
そうですね。時計って、針とダイヤルからできているものなので、デザインできる要素って実は少ないんですけど、とにかく「自分が毎日着けたくなる時計」ということを意識してデザインしました。今、多くのウォッチブランドがリリースするのはケースサイズが40mm以上の時計で、ビンテージ時計とは違う方向性です。そこに僕みたいなビンテージが好きな人間が割って入って、昔の良い物を現代にリボーンさせるっていうことが出来たのは、僕にとってすごく良かったこと。TAG Heuerにとっても良いと感じて貰えていればいいですね。
今回のコラボモデルについて、気に入っているところを教えてください。
やっぱりサイズ感でしょうか。身につけたときの腕への収まり感は、大きい時計にはない魅力だと思います。僕は腕が細いし、大きい時計は主張しすぎるので苦手で。そういう意味では、このモデルならビンテージ時計が好きな人にも身につけて貰えるはず。やっぱり新しい時計って気を遣わずに使えるので、ビンテージ時計好きは、気兼ねなく普段使い出来る時計を探しているんです。それが今回のような時計なら、馴染みのある感じで腕に巻いて貰えると思います。
それだけ当時のディテールにこだわって作られた特別な時計ということですね。最後に、藤原さんにとって時計とは?
今はスマホもあるし、いろんな所に“時間”があって、時計=時間を知る道具ではなくなってしまっています。とはいえ、時計で時間を確認することももちろんあるんですけど、どちらかと言えば、僕にとっては、唯一のアクセサリーみたいなもの。僕は指輪とかをほんとんどしないので。
初回ロットは予約で完売したと聞きましたから、今回のコラボをTAG Heuer側も喜んでいるのでは。今後、TAG Heuer × fragment designの新たなコラボが生まれる可能性もありそうですね。
実は、すでにひとつ動いているプロジェクトあるんです。まだ詳細はお伝えできませんが……、お楽しみに。