2020年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィーク・メンズを HYPEBEAST 的視点から総括

テーラード一辺倒の中で、日本勢は独自のアイデンティティを堅持

ファッション 
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去る2020年1月14日〜19日(現地時間)の期間に開催されたパリコレこと2020年秋冬シーズンのパリ・ファッションウィーク・メンズ。何を隠そう『HYPEBEAST JAPAN』としては、今回がパリコレ初参戦。編集部では、〈RHUDE(ルード)〉〈Maisie Wilen(メイシー ワイレン)〉〈Off-White™️(オフホワイト)〉〈FACETASM(ファセッタズム)〉〈Valentino(ヴァレンティノ)〉〈UNDERCOVER(アンダーカバー)〉〈Raf Simons(ラフ シモンズ)〉〈Rick Owens(リック・オウエンス)〉〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉〈Heron Preston(ヘロン プレストン)〉〈doublet(ダブレット)〉〈Yohji Yamamoto(ヨウジヤマモト)〉〈Junya Watanabe MAN(ジュンヤ ワタナベ マン)〉〈Casablanca©(カサブランカ)〉〈COMME des GARÇONS Homme Plus(コム デ ギャルソン・オム プリュス)〉〈DIOR(ディオール)〉〈Vetements(ヴェトモン)〉〈sacai(サカイ)〉〈AURALEE(オーラリー)〉〈TAKAHIROMIYASHITATheSoloist.(タカヒロミヤシタザソロイスト.)〉といった合計20ブランドのランウェイ/プレゼンテーションに足を運んだ。

長期化するストライキの影響で交通機関が麻痺し、Uberなども当てにならないため、筆者はひたすら徒歩移動を敢行。Googleマップで30分以内であればひたすら歩く、歩く、歩く、歩く。「冬のパリはさぞかし寒いだろう」と着込んでいったのだが、思った以上に暖かく、会場内は熱気やライティングによって、むしろ暑い!ぐらいで汗ばむほどであった……。さて、余談はさておき、今季のファッションウィークは、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)が予言した通り、(意味合いは異なるが)格好だけのストリートウェアの終焉とコラボ祭りからの脱却を予感させる、まさに“終わりの始まり”を匂わせる内容だったといっても過言ではない。本稿では型通りのファッション評論を繰り広げるのではなく、まずは、そのVirgilおよび、昨今のトレンドセッターとしてシーンの流れを左右するKim Jones(キム・ジョーンズ)という両者の動きに注視したい。

Virgil本人は〈Arc’teryx(アークテリクス)〉や〈THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)〉の『DOVER STREET MARKET』限定ジャケットに〈GALLERY DEPT.(ギャラリーデプト)〉のパンツという、相変わらず出立ちであったが、自身の手がける〈Off-White™️〉と〈Louis Vuitton〉は、より一層テーラードにシフトする形に。テーラリングアイテムは過去シーズンでも強調されていたが、とりわけ〈Louis Vuitton〉のコレクションでは、Virgilのメンター的存在であるNIGO®️(ニゴー)や高橋盾も見守るなか、多数のルックに盛り込まれたクラシカルなスーツやシャツスタイルが印象的だった。前日に開催された〈Off-White™️〉も同様の傾向で、アイコニックなロゴを全面に打ち出した往年のデザイン要素は影を潜めていた。

一方、Kimの手がける〈DIOR〉は〈STÜSSY(ステューシー)〉の創設者 Shawn Stussy(ショーン・ステューシー)の招聘と、2,000ドルとも噂されるAir Jordan 1 High OG DIORが投下されたフォール 2020 コレクションも記憶に新しい。Kimの就任以来、YOON(ユン)とMatthew M. Williams(マシュー・ウィリアムズ)の起用を筆頭に、KAWS(カウズ)、空山基、Daniel Arsham(ダニエル・アーシャム)、「RIMOWA(リモワ)」という飛び道具的なコラボレーションで話題を独占してきたが、2020年秋冬シーズンでは、その十八番を封印する。スタイリスト/ジュエリーデザイナーである故・Judy Blame(ジュディ・ブレイム)にオマージュを捧げる同コレクションは〈DIOR〉の持つクラフツマンシップやテーラリング技術を用いて、JudyのパンクなDIY精神溢れるスタイルを再現。さらに、約30年間に渡ってメゾンのアーティスティックディレクターを務めたMarc Bohan(マルク・ボアン)が、1969年秋冬コレクションで披露したドレスからインスパイアされたという、スパンコール/ラッパービーズ/ラインストーンからなる手刺繍のコートでショーを締め括り、メゾンに脈々と流れるエレガンスを提示。

日本からは、小木“Poggy”基史、VERDY(ヴェルディ)、松田龍平、秋元梢、emma、高橋ララといった多数のキーパーソンが来仏した今季は、参加ブランド全体の5分の1以上となる、20もの日本ブランドが参加。良くも悪くもテーラードに傾倒する潮流の中で、日本勢は独自のアイデンティティを堅持。異なる形で“和”を表現した〈UNDERCOVER〉と〈doublet〉は、間違いなく最も見応えのあるショーのひとつであったし、もはや別格感すら漂う〈sacai〉は、タトゥーアーティスト Dr. Woo(ドクター・ウー)によるバンダナ調のタトゥースケッチをプリントした生地、ミリタリー要素、アニマルプリントなどを多用した唯一無二の美しいハイブリッドスタイルを展開。同ブランドの世界的な評価は今更言うまでもないが、来場したインフルエンサーの顔ぶれや、それに伴う会場の雰囲気は他の日本ブランドとは一線を画し、改めて時代を牽引する王者の風格を感じた。

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