Streetsnaps + Interviews:ヘロン・プレストン
ファッション界の未来を担うヘロンが〈Carhartt WIP〉とのコラボコレクションに込めた想いや、ブランドを通して世界に伝えたいメッセージとは
Heron Preston(ヘロン・プレストン)。名門『パーソンズ美術大学』を卒業後、〈Nike(ナイキ)〉のデジタルプロデュースや、Kanye West(カニエ・ウェスト)のコンサルタントとして〈YEEZY(イージー)〉のクリエイティブに携わってきた彼は、間違いなく今後数十年にわたって、ファッション業界に未だ見ぬ新たな価値をもたらしてくれるだろう。2017年に本格始動した自身の名を冠したブランドも「NASA(アメリカ航空宇宙局)」とのコラボレーション発表や初の旗艦店オープンなど成長著しく、最近では〈Carhartt WIP(カーハート WIP)〉とのコラボコレクションを日本で世界先行リリース。また、ポップアップストアには応募者の中から抽選でファンたちをワークショップに招待し、ニューヨークのデザインスタジオ「Chen Chen & Kai Williams」監修のもと、プラスチックゴミをリサイクルして雑貨を作り、環境への配慮やサステナビリティを訴えた。
『HYPEBEAST(ハイプビースト)』は、Heronの日本滞在最終日に青山のポップストアで彼と再会。わずかな時間ではあったが、会話の延長線上で〈Carhartt WIP〉とのコラボレーションに込めた想いやワークショップについて話を聞いてみた。
なぜ〈Carhartt WIP〉とのコラボコレクションを日本で最初にリリースしようと思ったのですか?
東京は僕のブランドにとって本当に特別な場所であることをはじめに強調しておきたい。ここには僕をサポートしてくれる人がたくさんいるんだ。それに、アメリカのワークウェアは長きにわたって日本というコミュニティと共鳴していると思う。〈Carhartt〉は東京でも非常に知名度が高いよね? だから、僕がこのコレクションをまず日本でリリースすることは自然なことだったんだよ。
このコラボレーションのコンセプトを教えてください。
ラフとラグジュアリーの交点を提案すること、かな。ラフなワークスタイルとラグジュアリーが交わった時、それは真の意味でハイ&ローを意味すると思ったんだ。ご存知のとおり、〈Carhartt〉はラグジュアリーブランドではなく、ワークウェアブランドとしてその歴史を築いてきた。そして、僕が手がける〈Heron Preston〉は世間からラグジュアリーストリートブランドと言われているけど、僕はこのストーリーを伝えたかったんだ。だからキャンペーンビジュアルでは美術作品を取り扱うアートハンドラーや、彼らが働く世界そのものフィーチャーしている。なぜなら、彼らは仕事は一見すごくシンプルだけど、世界中の高級な作品を運び、設置することを生業としているからね。僕と〈Carhartt〉のコレクションはそういったことの複合でできているんだ。
「Chen Chen & Kai Williams」とワークショップはどうでしたか?
最高だったよ。日本のローカルの人たちと直接触れ合い、〈Carhartt〉を着用している職人たちと同様に、参加者のみんなと何かを作る機会を創出することができたからね。今回のワークショップはビニール袋やペットボトルのキャップなどを一度原材料に近い形に戻して、それを基に価値ある新たなモノを作るというクリエイティブなものだったんだけど、僕たちは実際にカッターナイフやキーチェーン、コースターとかを作ったよ。
この内容ももちろん大切なんだけど、僕たちは今回のワークショップを通して、サステナビリティや環境保護への注意喚起や責任を促すメッセージを発信したかったんだ。これは本当に、本当に大切なメッセージ。ブランドを運営する上で最も重要視していることのひとつだよ。
2019年に予定しているプロジェクトは?
〈Nike〉とのもうひとつコラボレーションがもうすぐ発表されるはずだよ。発売もそう遠くないから楽しみにしててね。
最後に、今日のストリートウェア/ファッションシーンは2030年にどのように変化していると思いますか?
その頃には今日の時点では存在しない新しい働き方や、コンセプトを実現するための新たなシステムが生まれているだろうね。イノベーションだよ。僕はサステナビリティが未来を作り、その中に洋服を作ったり、売る機会があると思うんだ。例えば、もしボロボロになったり、擦り切れてしまった靴や洋服を交換できると仮定しよう。僕はこれこそが未来だと思っている。人々に何かを生み出すパワーを与え、持続可能かつダイナミックな世界になっていくと信じているよ。