A Lifetime of Style: 熊谷隆志

“日本一センスのいいオジサン”のバックボーンと『CPCM』について

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ファッション

“日本一センスのいいオジサン”と形容される「熊谷隆志」氏は、スタイリストやフォトグラファー、そして『WIND AND SEA』、〈NAISSANCE 〉のディレクションなど、類稀な感性と底なしの好奇心で日本のカルチャーの発展の一翼を担ってきた。ネイティヴジュエリーをはじめ、ヴィンテージからありとあらゆるブランドまで、ファッションとカテゴライズされる全てのアイテムを自身のスタイルに落とし込む熊谷氏は、俗に言う“ミックス感”とは一線を画した特有の“掴みどころのなさ”を感じさせる。しかし、さまざまなカルチャーにアンテナを張り巡らせ、実際にそのシーンを体感してきたからこそ、そこには確かな説得力が宿り、その説得力と気さくな人柄こそ、熊谷氏が周囲から一目置かれる所以なのだ。

北の京都とも言われる城下町、岩手県盛岡市に生まれた熊谷氏は、自身の出身地を“商人が多い街”と懐古する。今でも盛岡には強い愛着があり、自宅やオフィスで愛飲しているコーヒーの豆は地元の喫茶店『クラムボン』から取り寄せているようだ。また、当時を振り返る最中、「昔は昆虫学者になりたいという夢を抱いていたね。『昆虫記』でお馴染みのフランス人生物学者Jean-Henri Casimir Fabreを尊敬していて、昆虫採集をしたり標本を作っていたりしていたよ。もしかしたら、それが今のショップや商業施設のグリーンディレクションなんかにも繋がっているのかもしれない」、と幼き熊谷少年と現在の自分を照らし合わせていた。

1970年生まれの熊谷氏がスタイリストとしてキャリアをスタートさせたのは、今から21年前の1994年のこと。フランス留学当初はデザイナーを志していたと話す熊谷氏だが、「写真家のBruce Weberとチームを組んでいて、『joe’s』というファッション誌を監修していたスタイリスト・Joe McKennaの存在を知ってからが転機だったね。Madonnaのスタイリングとかもやっていたんじゃないか」と続ける。また、存命していれば自身と同い年の俳優「River Phoenix」は熊谷氏の20代のファッションアイコンであり、多大なインスピレーションを受けたそうだ。一方で、もう1つの顔として、フォトグラファーとしても活動する同氏。そのきっかけを尋ねると、「自分でも撮れるかもしれない、と思った瞬間があった。留学のタイミングでフランスにいた当時に『Canon EOS Kiss』で撮った写真を見返したんだけど、今見ても素直で良い写真だなと感じるものもあったよ」と答えた上で、「高橋恭司さんの写真が本当に大好きだった。その先にはWilliam Egglestonがいてね。2人とも90年代のニューカラーを牽引して、今も写真界に影響を与え続けるフォトグラファーだけど、彼らの仕事には感銘を受けたね」と偉大なフォトグラファーたちの名前を挙げた。

そして、熊谷氏は写真の挑戦を決意した1998年に〈GDC〉をローンチ。その後、2011年にはキャリアを通して熊谷氏に根付いた美学の中心にあるもののみを抽出して生まれた衣服を提案する〈NAISSANCE〉をスタートさせた。また、熊谷氏を語る上で『WIND AND SEA』も、彼のマインドを色濃く反映させたプライベートショップとして触れずにはいられないだろう。自身で買い付けを行い、ラインアップやディスプレイも試行錯誤を繰り返す。有機的で不思議な同ショップは、その心地よい不規則さゆえに、時に命ある生き物のようにさえ感じることもしばしばだ。

その熊谷氏の今と世界観を爆発させたのが、先日東京・神宮前にオープンした新感覚のクラフト&カルチャーショップ『CPCM』である。“Crafts and Permaculture Country Mall”をコンセプトに、アパレルと共にハンドメイドの温かみのあるクラフト雑貨や家具を揃えたショッピングモールについて、「大人におしゃれをして欲しいね。そこの世代に新しさをもたらしたい。その上で、僕自身がそうであったように若い子たちが大人から何かを感じ取ってもらえたらいいな」と目指す先を語った。『CPCM』はオリジナルアイテムや自身の実家で400年前の寛永時代から続く南部鉄器などが店頭を飾るなか、〈Ralph Lauren〉や〈Levi’s〉で経験を積んだ「René Holguin」の手がけるロサンゼルス発のレザーアクセサリー&アパレルブランド〈RTH〉がショップ・イン・ショップとして登場している。「〈RTH〉は僕が世界一好きなブランド。Erykah Baduとか、ロサンゼルスのセレブたちがこぞって愛用しているよ。『CPCM』に招致するまで1年の歳月をかけて口説いたんだ」との秘話も明かしてくれた。

今年でデビューしてから21年。「20代はトレンドをフォローしていたけど、今はウエスタンが気分。そして僕の好きなもの全てが詰まった『CPCM』がオープンした。これからも好きなことをやっていきたい。50歳になった頃には僕のライフスタイルには欠かせないサーフィンをもっと楽しんでいたいね。グレイシー柔術にもチャレンジしたいな」と、先を見据えるエネルギーにはただただ感服するばかりだ。そんな熊谷氏は『CPCM』のオープンにあわせて、パーソナルブック『The Takashi Kumagai Guidebook』を出版。“Green”、“Fashion”、“Surf”、“Trip”、“Favorite”、“Days”、“Future”の7つのカテゴリーに分けて、本人の撮り下ろしやコレクション紹介などを交えつつ、自身のマインドからプライベートに至る全てをさらけ出しているので、気になる方は是非チェックしてみてほしい。

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