DIOR が2025年秋コレクションを京都・東寺で開催──“日本の美”と“パリの洗練”の融合
「龍村美術織物」が1953年に〈DIOR〉に提供した“Utamaro(歌麿)”という西陣織の生地を72年ぶりに再解釈するなど、究極の伝統と革新もみられた
メゾンブランドは、クルーズコレクションやフォールコレクションといった中間シーズンのランウェイショーで、時に世界の象徴的な場所を舞台に選ぶことがある。今回、〈DIOR(ディオール)〉が選んだのは、日本・京都。しかもその会場は、世界遺産にも登録されている東寺(とうじ)だった。
実は、〈DIOR〉が京都でショーを行うのはこれが2度目。最初は1953年、ムッシュ・ディオールによる秋冬コレクションでの来日。つまり、今回の2025年フォールコレクションは、実に72年ぶりとなる“京都への帰還”でもあった。
今回はレディスコレクションでの開催ながら、日本の地で、日本の美意識や職人技に深くリスペクトを捧げたショーでもあるだけに、『Hypebeast』としても特別にリポートしたい。
2025年4月15日、京都・東寺──その五重塔を背景に、〈DIOR〉の最新コレクションが静かに幕を開けた。(キム・ジョーンズでもなく、ジョナサン・アンダーソンでもなく、レディスは)マリア・グラツィア・キウリ(Maria Grazia Chiuri)が指揮をとるこのフォールコレクションでは、日本との絆、伝統と革新、そしてクラフトマンシップへの敬意が、豊かなビジュアルストーリーテリングとして表現された。
本コレクションでは、京都の老舗工房である「龍村美術織物」、「田畑染飾美術研究所」、「福田工芸染繍研究所」とパートナーシップを結び、特別に制作されたテキスタイルが披露された。中でも「龍村美術織物」が1953年に〈DIOR〉に提供した“Utamaro(歌麿)”や“Rashomon(羅生門)”といったアーカイブの西陣織を現代に甦らせており、これは3年前から〈DIOR〉より相談を受け、動いていたそうだ。
ランウェイは、瓢箪池を囲むように設けられた園路。新緑と季節の花々に囲まれた自然の中を、着物や忍び装束を想起させるルックが静かに、そして力強く歩む姿は、伝統と現代の境界を溶かしていくようだった。特筆すべきは、ムッシュ ディオールによる“キモノジャケット”の再解釈をはじめとした衣服構造の探求。ボリュームを持たせたシルエットや、ベルトでウエストを絞るデザインなど、日本の美意識が息づくディテールが随所に見られた。
インビテーションを受け取ったのは、世界中から集まった約500名のゲスト。〈DIOR〉のグローバルアンバサダーであるアンナ・サワイをはじめ、ソフィー・マルソー(Sophie Marceau)やリリー・ジェームス(Lily James)といった国際的セレブリティの姿も。国内からは中谷美紀、新木優子、横浜流星、吉沢亮、山下智久ら豪華な面々が出席し、文化人では杉本博司や田根剛の姿も見られた。
ショーの前後には庭園でのカクテルパーティー、本堂の特別公開など、空間全体がブランドの美意識を体現する場として機能。〈DIOR〉が語る“日本への敬意”と“職人技への称賛”が、静かに、しかし深く響き渡った一夜となった。
ブランド:DIOR
シーズン:2025年秋ウィメンズ
日付:2025年4月15日(火)




















