読むアーカイブ『WAR DENIM』──ヴィンテージデニムファン必読の大戦モデル研究書
戦時下のワークウェアに刻まれた歴史を、膨大な資料と実証的な考察で解き明かしている

ヴィンテージデニムを追いかけていると、第2次世界大戦期のモデルは実に多様で、そのディテールの違いは数え切れないほどだ。なぜこんなにもバリエーションが生まれたのか? その謎こそが、この時代のデニムを魅力的にしている。しかし、そのミステリーを誇張した話が独り歩きしているのもまた事実だ。
そんな中、2月26日に発売されるのが、青田充弘氏による『WAR DENIM』(立東舎)だ。本書は、ヴィンテージデニムの世界で“神格化”されている大戦モデルを、歴史的資料とともに徹底解読した1冊。2018年刊行の『501XXは誰が作ったのか?』の第6章「WWII」編で取り上げられたテーマをさらに掘り下げ、まるごと1冊、大戦モデルの研究に捧げられている。
本書は、過去の研究をなぞるだけの書籍とは一線を画す。 これまでアクセスが難しかった第2次世界大戦中の法令や資料を丹念に読み解き、大戦モデルの全貌に迫っている点が最大の特徴だ。さらに、〈LEVI’S(リーバイス)〉以外のブランドの変遷や、ジーンズだけでなくジャケットやオーバーオールなどのワークウェアにも焦点を当てることで、戦時下の衣服全体を包括的に考察している。
たまたま原宿の名店「Fake α」で青田氏にお会いした際、ちょうど本書の執筆に取り組まれている最中だった。「資料が見つかったら、アメリカまで飛んで行って調べる」と語るほどの情熱を持って臨んだ一冊だけに、その調査の精度は圧倒的だ。ヴィンテージデニムの深淵に迫る、まさに“読むアーカイブ”とも言うべき必携の研究書の登場である。
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