まさにスペクタクル! Louis Vuitton 2024年春夏のファレル・デビュー戦
パリのセーヌ川に架かる橋、ポンヌフに大スター大集合。象徴のダミエとカモフラージュを融合させた“ダモフラージュ”が目を惹いた。










































































ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が〈Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)〉の新メンズウェア・クリエイティブ・ディレクターとしてデビュー。今シーズン、いや、ここ数シーズンでもっとも業界内外が注目したランウェイ・コレクションが発表され、期待を裏切らないものとなった。
この〈Louis Vuitton〉2024年春夏メンズの招待状には、喜びと愛を讃えるテーマが書かれていたという。セレブリティを中心としたゲストは、まずオルセー美術館から船に乗って、全体がゴールドで覆われた会場、ポンヌフに向かったそうだ。
ショーはスペクタクルを予感させるオーケストラから始まった。映画を超えたようなスケールで圧倒されるなか、遠くから歩いてきたファーストルックは、短パンの3ピースに、ダミエ(チェス柄パターン)とカモフラージュを融合させた“ダモフラージュ”柄のブーツを履いた黒人モデル。この“ダモフラージュ”柄は、今回のキラーパターンと言え、多くのルックで登場。そのほかに、オレンジ、青、黄、赤、白、デニム地など、多くの色で大小さまざまなダミエパターンが見られた。これらの美しきピクセルについてファレルは、「なるほど、これがファレルだ、そしてダミエだ」と思ってもらえるようなパターンにしたかったという。
またルックは全体を通して、エレガントではあるものの、すこぶるリアルだった。オーバーサイズのスタジャンや、ファーコート、テーラードスーツに、パジャマルック、ジャージやワークテイストのブルゾン、スポーツユニフォームチックなシャツなど、定番的なメンズ服要素を軽妙に凝縮しながら爆発させていた。ただ、そのぶっ飛び様はぶっ飛び過ぎず、人間味を大事にしたリアルクローズを徹底的に追求しているようにも思えた。モデルはつねにバッグを脇に抱えていたが、このバッグを持つというアティチュードもその“リアル服”度を加速させていた。
フロントローには、ジャレッド・レト(Jared Leto)、キム・カーダシアン(Kim Kardashian)、ルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)、マルーマ(Maluma)、J・バルビン(J Balvin)、ジェイデン・スミス(Jaden Smith)、リアーナ(Rihanna)、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)、ビヨンセ(Beyoncé)、そしてジェイ・Z(JAY-Z)といったスターがいる……と思ったら、ランウェイにはヘイデン・クリステンセン(Hayden Christensen)が登場。いろんな要素でサプライズもあるファレル演出である。
ランウェイショーに音楽性と芸術性をふんだんに取り込んだファレル。ただこのショーで最も重要なシーンは、ラストにファレル自身がランウェイに登場したときだ。彼は、客や作り手、すべてに敬意を表するように何度も手を合わせていた。招待状にあった喜びと愛と讃えるテーマは、ファレルの中にもきちんと存在。ミュージシャンからフルタイムのデザイナーに転身した彼は、ファッション分野においても天才であることを証明しはじめた。