1000年以上の歴史をもつ“白鞣し革”をテーマにした期間限定のエキシビションが開催
陶芸家・野口寛斉がペインティングを施した白鞣し革を素材に〈Tomo & Co.〉〈Aloha Blossom〉〈ITTI〉の3組がプロダクトを制作
1000年以上の歴史をもつ姫路の“白鞣し革”を題材に、4組のデザイナー/アーティストが独自の視点で制作した作品を展示する期間限定のエキシビションが、東京と福岡のセレクトショップで開催される。
皮革産業の盛んな兵庫県姫路市が発祥の白鞣し革とは、薬品を一切使用せず、塩と菜種油のみで仕上げた動物本来の肌色の革のこと。一度は途絶えかけたこの白鞣しの技術を、近年に現代の鞣し革職人 新田眞大氏が復活させた。歴史に裏打ちされたクラフツマンシップは、古来より「究極=完成されていない」と伝えられているため、白鞣し革は下地であり、無垢であるために、あらゆる可能性を湛えている。
本プロジェクトでは、陶芸家の野口寛斉がペインティングを施した白鞣し革を素材に、〈Tomo & Co.(トモアンドシーオー)〉〈Aloha Blossom(アロハ ブロッサム)〉〈ITTI(イッチ)〉の3組のブランドが作品を制作。今回、野口氏が各ブランドへ提供した白鞣し革と自身の制作した陶器に描かれたいくつもの丸は、愛犬の余命を知らされたことを機に、氏が「輪廻転生」を願って円や魂をかたちにした作品シリーズに由来する。白鞣しに残る滲みや汚れはかつての生物の息遣いを想起させ、新たに丸が描かれることで生命が再び吹き込まれたかの様でもある。
ブランドを通じて独自の“真の贅沢”を提案する〈Aloha Blossom〉は、人間の肌の質感に近い湿度とテクスチャーを持つ白鞣し革を、シャツメーカーならではの観点で仕立て上げた。美しいシルエットのレザーシャツは、長年の着用によって経年変化し、着用者の身体の一部であるかのように馴染んでく、まさに一生物と呼ぶに相応しい一着となっている。“A PAIR BRICOLAGE”をコンセプトに掲げる〈Tomo & Co.〉は、白鞣しの素材感を活かしたトラディショナルでベーシックなデザインのシューズを制作。同ブランドのデザイナー 小野崎朋孝が実際に工房に足を運び、五感で感じ取ったものを反映したシューズは、左右で異なる白鞣しの表情が印象的な仕上がりに。デザイナー 青木渉が手掛ける〈ITTI〉は、ブランドの定番アイテムであるバッグや財布などに白鞣し革を使用。素材にもともとある傷や変色部分などもデザインとして価値に変換し、実用性を兼ね備えつつもアートを身に纏うようなイメージで作り上げた。
本エキシビションは、2月11日(金・祝日)〜13日(日)に東京・表参道『THE LIBRARY』、2月19日(土)〜21日(月)に福岡『Dice & Dice』にて開催予定。詳細については公式サイトでご確認を。伝統と現代の感性が邂逅する貴重な機会を、ぜひお見逃しなく。