約200万円で落札された“目に見えない彫刻”が第三者に訴えられる事態に
「“私のアイデアじゃないか!”と思いました」
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先月、イタリア人アーティスト Salvatore Garau (サルヴァトーレ・ガラウ)が世界初の目に見えない彫刻 “Io Sono(I Am)”を発表し、スペインの美術商が15,000ユーロ(約198万円)で購入するという現代版童話『裸の王様』のような出来事があったのだが、まさかの第三者から訴えられることに。
そもそも“Io Sono”は、目で実物を捉えることはできないが縦約150cm x 横約150cmの大きさで、日常的に電子情報や仮想通貨など“目に見えないもの”を取り引きする現代を比喩した作品。当然SNSには、空虚な空間を撮影した写真をアップして「誰か欲しい人はいる?」や「なぜ俺が思い付かなかったんだ……」などの投稿が相次いだのだが、アメリカ・フロリダ州を拠点とするアーティスト Tom Miller(トム・ミラー)だけは違った反応を見せた。
なんでも彼は、2016年に同州ゲインズビルのイベントスペース『Bo Diddley Plaza』にて同様の作品 “Nothing”を発表していたそうで、「Garauの“Io Sono”を見たとき、“私のアイデアじゃないか!”と思いました。世界はアイデアが重要であり、そのアイデアに対する評価も重要です。だから私は訴えることにしました」とのこと。現段階では訴訟に発展していないそうだが、友好的な解決ができない場合は提訴する姿勢だという。
両者間での落とし所は分からないがアイデアが争点となると、あくまで著作権法は表現を保護するものであり、アイデアは著作物ではないので保護が及ばないことが多いが果たして……。