今後 Banksy は自身の作品の商標権を得るために正体を明かす?

国家機密レベルの匿名性が仇となり、いくつかの作品の商標権が剥奪される事態に

アート
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一時期、Massive Attackのメンバーなのではないか?という噂も流れたが、未だに30年近いキャリアながら約78億人が正体を知らない覆面アーティスト Banksy(バンクシー)。誰も彼(もしくは彼女)の素顔を知らないからこそ神出鬼没に作品をストリートに残すことができ、その匿名性がゆえに作品の市場価値も上がっているが、今後作品の商標権を得るために正体を明かす必要があるかもしれない。

これはイングランドのグリーティングカード会社「Full Color Black」がBanksyの作品を使用したカードを販売するにあたり(この時点でどうかと思うが)、「European Union Intellectual Property Office(EUIPO:欧州連合知的財産庁)」に対して商標権の取り消しを求める申請を行ったことに端を発する。というのもBanksyの会社「Pest Control」は数年前にいくつかの作品の商標登録を「EUIPO」に出願しているのだが、同機関では登録から5年以内に商業利用が確認できなかった場合は商標権が剥奪されることになっており、案の定彼は期間中に作品を商業利用しなかったことから審査の対象に。その結果、彼に商業利用の意図がなかったことに加えて身元が法的に確認できず、彼自身も身元の開示を拒否していることから「EUIPO」はカード会社の申請を受理し、作品2点の商標権を剥奪してしまったのだ。

今回の一件で商標権が剥奪されたのは、昨年ヴァンダライズの被害に遭った“Umbrella Girl”とおなじみのネズミをモチーフとした“Radar Rat”で、実は同様の理由で代表作 “Flower Thrower”と“Laugh Now”なども商標権を失っている。

「Pest Control」は今回の「EUIPO」の判断について、「Banksyの作品は、非営利の個人的な娯楽のためにご利用いただけます。カーテンに合わせた色でプリントアウトしたり、おばあちゃんのためにカードを作ったり、自分の宿題として提出したり、何でも構いません」という個人利用を認めるコメントと共に以下の声明を発表している。「しかし、BanksyもPest Controlも、作品の画像を第三者にライセンスすることはありません。Banksyの作品を商業目的で利用しないでください。実際にBanksyが関わっていない商品を発売することは、アーティストが保証した商品だと人々を騙すことになります。『Banksyが著作権は負け犬のものだ』と本に書いていましたが、それはアーティストを不当に表現したり、詐欺を働いたりする自由が与えられるわけではありません」

日本でもBanksy非公認イベント「バンクシー展 天才か反逆者か」が大々的に開催されてしまっているが、彼に限らずアーティストのアンオフィシャルなイベントに足を運ぶ際やブートアイテムの購入時には、彼らの生活と作品の価値を守る意味でも常にリスペクトの気持ちだけは忘れないでほしい。

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