日本で開催されたヴァージル・アブローの個展 “PAY PER VIEW” の独占密着ドキュメンタリー
深夜にまで及んだ『Kaikai Kiki 三芳スタジオ』での作品制作過程から『中野ブロードウェイ』のゲリライベントまで、ヴァージル初のアート展の裏側を完全公開
〈Off-White™️（オフホワイト）〉を展開する傍ら、〈Nike（ナイキ）〉や「IKEA（イケア）」、〈Chrome Hearts（クロム ハーツ）〉ともコラボプロジェクトを実施し、さらには〈Louis Vuitton（ルイ ヴィトン）〉の新メンズデザイナーにも就任。Virgil Abloh（ヴァージル・アブロー）は今、ファッション業界で最も多忙な毎日を過ごしていると言っても過言ではない。そのシカゴ出身の37歳は去る3月16日（金）〜4月1日（日）、「俺たちは全員、消費という行為によって形作られている」というキャッチコピーを掲げ、『Kaikai Kiki Gallery』で自身初の個展“PAY PER VIEW”を開催した。良くも悪くもメディアや広告に踊らされ、消費によって形作られる現代社会へ向けた異才からのメッセージは、ビルボードに着想を得た黒塗りのアートキャンバスを介して発信され、広義な意味での消費の内在的な意図を解き明かした。
実は、『HYPEBEAST』はVirgilの日本滞在期間中に密着取材を敢行していた。日本入りした当日、空港から直接『Kaikai Kiki Gallery』を訪れ、チームとレイアウトの相談をし始めたのは、その日の夕方のこと。それが終わると時差ボケや疲労があるにも関わらず、そのまま『Kaikai Kiki 三芳スタジオ』へと移動し、村上隆やMADSAKIらに挨拶を済ませ、休む間もなく作品制作へと取り掛かる。制作過程で最も印象的だったのは、「Kaikai Kiki（カイカイキキ）」チームや自身のアシスタントが帯同しているにもかかわらず、手助けは作品の移動のみで、顔料作りや下塗りを含む制作の100%を自身で行なっていたということだ。また、会期前には〈LV〉のデザイナー職を引き渡したKim Jones（キム・ジョーンズ）と会場で談笑する一幕もあったほか、ファンからのサイン攻勢はマネージャーが次の場所へと移動を促すまで対応し続けるという人柄の良さが伺えた。
その他にも会場では展示されることのなかった非公開のスプレー作品も撮影することに成功した今回の独占密着取材。『HYPEBEAST』が制作したドキュメンタリーフィルム＆フォトセットから、既存概念に新たな価値観を提供し続けるVirgil Ablohのクリエイティビティを体感してみてはいかがだろう。そして、今一度“PAY PER VIEW”の様子をプレイバックし、展示の意図を汲み取ってみてほしい。
