長い沈黙を破り復刻リリースされた PUMA CELL シリーズを紐解く HYPEFEST 特別ブース “CELL LAB”
2種類の「HYPEFEST」限定モデルを手がけた『mita sneakers』国井栄之の独占インタビューも公開
10月6〜7日(現地時間)の2日間に渡り、ブルックリンにて開催された我ら『HYPEBEAST』初主催のフェス型イベント「HYPEFEST」。藤原ヒロシや阿部千登勢、大友克洋といった日本人クリエイターに並び、Jaden Smith(ジェイデン・スミス)やTravis Scott(トラヴィス・スコット)らなど予てより弊誌と親交の深い著名人たちが多く来場した同イベントに、スニーカー戦国時代のなかで異彩を放つ世界的スポーツメーカー〈PUMA(プーマ)〉が特別ブースを出店。本稿では、20年の時を経て先日復活を遂げたCELL ENDURA(セル エンデューラ)を全面に押し出した“CELL LAB”の様子と、その企画に携わった『mita sneakers(ミタスニーカーズ)』を率いる国井栄之のインタビューをご紹介。
研究室を彷彿とさせるホワイトを基調としたブース内には、「Apple(アップル)」の初代iMacやプリンター、人型ロボットが並び、来場者には優勝賞金4,000ドル(約44万9,035)とシューズのデザイン権を賭けたCELL ENDURAのデザインセッションが開催された。さらに、Virgil Abloh(ヴァージル・アブロー)やKendrick Lamar(ケンドリック・ラマー)も一目置く〈RHUDE(ルード)〉、言わずと知れた高級車メーカー「Ferarri(フェラーリ)」、セレブ御用達のレザーブランド〈MCM(エムシーエム)〉、LAの名物セレクトストア『BLENDS(ブレンズ)』、そして国内外からオファーが殺到する『mita sneakers』とのコラボモデルがハニカム型のシェルフに鎮座していた。
〈PUMA〉の歴史を語る上で欠かせないこのCELL ENDURAは、名前の由来でもある耐久性と弾力性に優れたクッショニングテクノロジー“CELL”やダッドな雰囲気を醸す流線的なアッパーデザインなど、今のスニーカーシーンでも一線を画すデザイン、普段のコーディネートにより一層ストリートな香りを醸してくれる逸足だ。まずは上のフォトギャラリーより終始人の波が途切れなかった〈PUMA〉の特別ブース“CELL LAB”を覗き、少しでも同モデルが気になったら『mita sneakers』や『atmos』、『BILLY’S』より購入してみてはいかがだろうか。そして、『mita sneakers』のクリエイティブディレクター国井栄之によるスペシャルインタビューは下記よりご確認を。
まず「HYPEFEST」はいかがですか?
同じ日本人がアメリカの地で存在感を放っている姿を見て感動しています。もちろん他国の方々たちから受ける影響も大きいですが、僕も『mita sneakers』および同じ一人の日本人として良い刺激を受けています。
国井さんは〈PUMA〉ブースも監修しているのですか?
今回のブースに関してもそうなんですが、CELLシリーズのプロジェクトには企画段階から参加しています。というのも別案件で本国〈PUMA〉に訪ねた際、用意した資料の中にCELL ENDURAを始めとするCELLシリーズの画像があって、それを見た〈PUMA〉のグローバルチームと懐かしいって話で盛り上がり、結局そのミーティングで復刻する流れとなりました。そこからトントン拍子に話が進んでいって、今回の「HYPEFEST」限定モデルで2種類のCELLシリーズを僕がデザインさせていただくこととなりました。
ファッション/スポーツ業界での〈PUMA〉の立ち位置をどう思いますか?
〈PUMA〉はラグジュアリーやファッションブランドとのコラボレーションにおいて先駆け的存在だと思います。その後、いろいろなブランドが追随してきましたが、スポーツとファッションの両者がクロスオーバーしている時代なので、他ブランドに与えた影響は計り知れないですよね。スニーカーシーンで言うと、〈PUMA〉=SUEDEというクラシックな方向に目が行きがちですが、90年代のCELLシリーズ復活でソールユニットのテクノロジーが見直されていけば良いなと率直に思います。そして、今後また〈PUMA〉の違った魅力がスニーカーヘッズに届けられれば良いなと考えています。
今回のコラボレーションのインスピレーション源は何ですか?
スポーツとファッションという両極なジャンルを行き来するスニーカーという意味を込めて超攻撃的戦闘機から着想を得て“Stealth(ステルス)”というキーワードを掲げてます。特にこのCELLシリーズは、〈PUMA〉の伝統的なエッセンスや現代的なテクノロジーの一面も持ち合わせているので、SUEDEに並ぶくらい同ブランドの象徴になってくれることを信じています。
国井さんがおすすめするPUMA CELLシリーズのスタイルサンプルはありますか?
靴屋なのであまりファッションは普段から意識していないんですが、やはり十人十色の履き方がありますよね。復刻を迎える今では昔よりもファッションのジャンルも増えてますし、ミックススタイルもOKとされている。だからこそ新しいCELLシリーズのイメージをみんなで構築していければ良いですね。
市場には様々なスニーカーが出回っていますが、この現状をどう思いますか?
今のスニーカーってものすごく緻密な計算のもと作られているものが多く、ブランドのロゴを取っちゃうとどのブランドかわからないものばかりだなと思います。90年代に誕生したスニーカーはそれぞれデザイナーがいて、人が創り出した感があるんですよ。当時のアナログなデザインが反映されるスニーカーは、今作ろうと思っても逆にデザインの効率化が重視されているので作れないと思います。今はチャンキーなソールを搭載したスニーカーが支持されていますが、今後はロープロファイルなスタイルも注目を集めそうですね。
ずばり国井さんが選ぶ“至高の1足”は何ですか?
海外の方たちからも良く聞かれるのですが、僕は彼らに「あなたは自分の子供に順番を付けられますか?」って聞いていますね。それくらいどのスニーカーにも個性があってブランド/モデルのバックボーンもある。なのでコラボをする際も10年経ったときに後悔しないプロダクトを手掛けようと心に決めています。音楽を聴いてその時代を思い出すように、例えば今ずらっと並べて見ても全く当時の記憶が蘇らないスニーカーというのは一つもないですね。
その他、『HYPEBEAST』による〈PUMA〉関連の最新トピックもこの機会にチェック。