Interviews: 初来日を果たした現役屈指のクラッチプレーヤー カイリー・アービング

NBA屈指のプレーヤーがバスケットボールへの向き合い方からスケートカルチャーまでを語った必読のインタビュー

スポーツ 
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2012年NBA新人王、2014年NBAオールスターMVP、2016年NBAチャンピオン、また、アメリカ代表において2014年FIBAバスケットボール・ワールドカップでMVP&優勝、リオデジャネイロオリンピックで金メダル。現代の若手バスケットボールプレーヤーの中で、Kyrie Irving(カイリー・アービング)ほど成功を収めた選手は存在しないだろう。1on1で発揮される類稀なハンドリングスキルとクロスオーバーは対峙した相手を文字通り“圧倒”し、ヘルプさえも置き去りにするドライビングで得点を量産。また、幅広い視野と判断力でPGとしての仕事もこなす一方、鍛え上げられた精神力、そして勝利への飽くなき貪欲さで、#2は数々のクラッチシュートを沈めてきた。

そのKyrieが、彼のもうひとつの“家”である〈Nike(ナイキ)〉主催の“CLUTCH BUCKET東京”で日本へ初来日。わずか三日間という短い滞在の中で、我々『HYPEBEAST』はNBA屈指のスーパースターへ話を聞く貴重な機会を得た。バスケットボールやシグネチャーシューズのこと、休みの日の過ごし方、お気に入りの音楽、そして#TEAMMATESHAKEのことまで、どんな質問でも真摯に、そして包み隠すことなく答えてくれたKyrie。“CLUTCH BUCKET東京”が開催された『大田区総合体育館』でもコート脇から彼の姿を追い続けたのだが、日本の若武者たちを迎えたトレーニングセッションでも決して手を緩めることなく(尚且つ笑いも忘れない)選手たちと向き合っており、“姿勢”でバスケットボールと向き合うことの意義を伝えている姿が非常に印象的に映った。

現役屈指のクラッチプレーヤー、Kyrie Irving。見逃し厳禁のインタビューを是非、下記よりお楽しみください。

ー日本へようこそ。すごく短い滞在と伺っていますが、何かしたいことはありますか?

興奮しているよ。なるべく多くの物事に触れたいなと思っていて、ここに存在するカルチャーから何かを吸収したいね。世界屈指のブランドの一部であることをすごく誇りに思っているし、現状から成長し続けたいんだ。何より、日本に来れて嬉しいよ。

ー確か最初にKyrieのシグネチャーが登場したのは2014年のことで、今は三世代目ですよね? 自身のシグネチャーを作る際に、〈Nike〉に要求したことはありますか?

市場に出回るわけだからね、僕の持つクリエイティブマインドと個人的な感覚を反映させるために、全てを出し切ったよ。実は、購入してくれた人や僕のファンには話したいことがたくさんあるんだ。これは僕にとって夢のようなことさ。子供の頃に〈Nike〉から自分のシグネチャーシューズが誕生するなんて思ってもみなかった。だから、僕ができる最善の方法で、本当の意味でのカルチャーを表現したかったんだ。ただのスニーカー的な見せ方だけじゃなくて、ファッション性も大切。それに、僕をサポートしてくれるチームと共に絶えず限界に挑んで、やれることはすべてやっていきたいね。仕事量が多いから、献身的に働くとも忘れてはいけない。それに発売するからには、何よりもディテールに注意を払う必要があるんだ。僕の可能な範囲内でコントロールしながら、常にトップをキープしていきたいね。

ーあなたの横に置いてあるKyrie 3の特徴をあげるのであれば?

メインとなる2つの要素は、やっぱりスウッシュと僕のロゴだね。この2つは、僕自身とこのブランドが〈Nike〉の一部であることを示すものだからね。ステッチ以外の部分やデザインプロセスは、全く異なるアイデアからインスパイアされているよ。僕の最終的な着地点は、周りにあるものをより良くすること。シューズデザインは、実際に欲しいものや見たいものとか、僕が仲間に伝えていることよりも、チームの努力の賜物なんだ。僕たちがシューズやブランドの商品をデザインする時は、まず僕が彼らに作らせて、それから僕が入り、全てをキュレートする感じだね。そうすることで、大きな塊となったものがひとつのアートピースになるんだよ。

ー自分のシューズとは別にお気に入りのスニーカーはありますか?

Kanye West(カニエ・ウェスト)がデザインした〈Nike〉時代のYeezyは持ってるよ。それに〈Nike SB〉はいつの時代もカルチャーの一部だよね。もちろん、共に育ってきたAir Jordanは欠かせないかな。Air Jordanの存在が僕を靴好きにしたからね。以前、僕がInstagramにとある写真を投稿したんだけど、それは女性の社会的地位の向上のためだったんだ。それは“Tiffany”カラーのシューズからインスパイアされているんだけど、僕は世界中で起こっている物事やムーブメントに何かを結びつけることをすごく大切にしているんだ。

ーシーズン中の一週間のスケジュールはどのような感じなのでしょう?

ウエイトルームには毎日行くよ、これはマストだね。正直、一週間に何試合あるかによるかな。とある週は4試合、また別の週には7日間で5試合を戦う時もあるんだ。まずそこに専念する。本当に色々な一週間があるんだ。最も重要なのは、自分の身体のために健康的な食事と睡眠をとること。年をとるにつれて食事には細部まで気を遣う。必要な休息をとって、コート上のパフォーマンスに望み、戦いに備えるために一週間を通して精神面、フィジカル面と向き合っているよ。

ー休みの時に嗜む趣味はありますか?

スケートをしたり、テレビゲームをしたり、塗り絵をしたり、読書をしたりもすれば、娘と遊んだり、家族と出かけたり、散歩したりもするよ。何らかの方法でリセットするんだ。あとは、誰かと繋がることだね。僕は新しく知り合った人と何か新しい場所に行ったり、新しいことをするのが大好きなんだ。そのストーリーを誰かに話すと、また新たな出会いが生まれるんだよ。

ースケートについてですが、『Berrics』でスケートをしているクリップをYouTubeで見たことがあります。スケートにハマったきっかけは何だったんですか?

全然プロレベルとかではないし、それっぽいことはできないよ。ドロップインと多分5,000万回ぐらいトライすれば一度ぐらいはキックフリップも成功するんじゃないかな。(笑)僕が確か5年生ぐらいの頃だったと思うんだけど、石をオーリーで飛び越えようとしたら、膝が石に直撃したんだ。それ以降スケートするのをやめてしまったんだけど、僕はそのカルチャーとそれが意味するものをずっと愛している。もしトリックを決めるためのバランス感覚が備わっていて、自分の身体を思うままに操れたら、ランプに飛び込んで、ひたすらトライ&エラーを繰り返したいね。彼らはワイルドなトリックをメイクするために20以上の段階を踏んで、ようやく成功に辿り着くんだ。そこに何かがあるわけじゃないかもしれないけど、本当にリスペクトに値することだよ。彼らは心底スケートボードを愛しているから、何度失敗したって起き上がるよね。純粋にスケートが大好きで、違う場所に行っては違うスケーターと交流する。スケートボードはバスケットボールのように、自分を見たことない世界に連れて行ってくれる。だから、カルチャーは僕らに素晴らしい人たちと出会う機会を与えてくれるんだよ。

ーゲーム前のプレイリストはありますか?または、ロッカールームの音楽担当は?

いや、それがないんだ。僕はいつもヘッドホンを持ち歩いてはいるけどね。時々、ロッカールームで何かが流れているけど、それに僕が関与することはないかな。試合前はいつもJ.Cole(J・コール)を聴いていて、試合直前にはWax Fangの“Majestic”を聴くんだ。『アメリカン・ダッド』っていうアニメ、見たことある? この曲は『アメリカン・ダッド』のエンディングの曲で、僕のお気に入りだから毎試合聴いているよ。

ーチームメイトとのハンドシェイクを大事にされているかと思います。これはどれぐらい時間をかけて練習されているんですか?

2、3日あれば完璧にできるけど、これは僕たちにとって色々なことを意味するものだね。僕たちはハンドシェイクをすごく大切にしていて、これは挨拶のような意味合いも持つからとても大事なんだ。家族とハグしたり頬にキスするような感覚に近いかもね。つまりは愛情表現ということになるのかな。

ーキャリアで数多くのビッグショットを決めていますね。最も記憶に残っているショットは何ですか?

何かひとつを選ぶなんてできないよ。ボールを受け取り、ネットを揺らす。この時が何にも変えがたい最高の瞬間なんだ。努力をして何度も何度も練習を重ね、チャレンジする瞬間が訪れた時に完璧なジャンプショットやムービングを決める。これより嬉しいことなんてないよ。クラッチタイムにこそ真価が問われるけど、僕は子供の頃からその瞬間のためにトレーニングしてきたから、いつもその一瞬を楽しんでいるんだ。

ーシューティングとは別に、Kyrieと言えば卓越したハンドリングでもお馴染みですが、この技術を身につけるために何か注力してきたことはありますか?

僕には子供の頃、信じられないほどの想像力があったんだ。裏庭で想像を膨らませながら、NBAのオールスター選手たちとマッチアップしていたよ。相手がブロックも予想もできないように動きたくて、本当に色々なムーブやコンビネーション、ジャンプショット、レイアップをミックスしてたな。相手の逆をついて、コート上でバスケットカウントをもらうようなコンビネーションをしたかったんだ。僕は昔から速くて、クイックネスがあったわけじゃないけど、知識や身体の位置、スペース、距離感、手元のスピードなどを活かして、いかに素早くジャンプショットにもちこめるかを意識していたよ。得点を決めるためには、そういうところを向上する必要があるって気づいたんだ。試合中に色々なことを試すようになって、また次の試合では新たなことにトライする。そして、僕は歳をとって、今こうしてコート上のエキスパートになることができた。全ては子供の頃からの積み重ねだけど、おかげで今は色々なことが簡単にできるようになった。だから、若い頃からそういうことを練習するのはすごく大切なことだと思うよ。

ー子供の頃、憧れの選手はいましたか?

一番はやっぱり僕の父(Drederick Irving / ドレデリック・アーヴィング)だね、本当に大好きな選手なんだ。もう一人は僕のメンター的存在のKobe Bryant(コービー・ブライアント)かな。一番好きな選手は父親、それでKobeは師匠って感じ。僕は本当にたくさんのことを、この偉大な二人の選手から教わったんだ。僕の父は家族でもあり、GOATでもある。僕は彼らから得た知識を組み合わせて、それを試合で発揮することで、誰でも突破することができるよ。

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