Nike MAGの誕生と、2011年のオリジナルリリースにまつわるストーリー

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フットウエア
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現在特設サイトにて購入抽選が開催されている「Nike Air MAG」。プレゼンテーション等でも発表されているとおり、今回のモデルは自動でシューレースを調整する「HyperAdapt 1.0」を搭載したまさに未来のスニーカーだ。既に各所で報じられているが、「Nike Air MAG」のリリースは2011年以来2度目。今回も、2011年同様、売上金はパーキンソン病治療のための『Michael J. Fox Foundation(マイケル・J・フォックス ファウンデーション)』に寄せられることとなる。10月17日(月)の当選発表を前に、夢の実現とも言えるこのスニーカーの完成を祝して、5年前のオリジナルリリースにまつわるストーリーを紐解いてみよう。

1989年、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』にて登場した、「Nike Air MAG」。主演の「Michael J. Fox」演じる「Marty McFly(マーティ・マクフライ)」が、劇中の2015年で未来の靴として着用していたスニーカーだ。以来〈Nike〉がこの夢のモデルを発表する日を熱望し続けてきた映画ファンとスニーカーヘッズは数知れず。2007年4月には、とうとう「Mickey Maloof」と「Charles Maloof」の兄弟が、〈Nike〉へ「Air MAG」のリリースを喚起する署名活動サイト“McFly 2015: Make It Happen”を開設した。

Maloofブラザーズの呼びかけより4年も早くリリースされた「Nike Air MAG」だが、その2011年の登場を煽ったのは各界の著名人たちだったのかもしれない。特筆すべきは2007年から。「Air MAG」は、「村上隆」ディレクションによる「Kanye West」の“Good Morning”のアニメーションミュージックビデオに登場。Kanyeを模したクマのマスコットが誇らしげに着用している。更に2008年には「Kobe Bryant」がLA・サンタモニカの『UNDFTD』へあの「デロリアン」で乗りつけ、“McFly”仕様の「Hyperdunk」リリースを祝福している。そして2009年、〈Nike〉は「Air MAG」カラーウェイの「Hypermax」のワイドレンジリリースを示唆。しかしこれは実現せず、ファンたちのショックは計り知れないものとなった。そんなスニーカーヘッズたちの嘆きの中、「Tiffany Beers」、「Michael Friton」、「Tinker Hatfiled」率いる〈Nike〉チームは「Air MAG」のカラーウェイだけでなく機能の実現を目指し、自動レーシングシステムの特許申請をスタート。のちの「HyperAdapt」システム、そして2016年版MAGの基礎を形成したのだ。

こうして2011年、日を追うごとに期待が高まるMAGのリリースは、“McFly’s closet”と名付けられたティーザーとともに、9月に発表された(ティーザー公開の主が「ドック」というのも注目だ)。全1,500足を『eBay』にてオークション形式で発売し、売上はパーキンソン病研究のため『Michael J. Fox Foundation』に寄付されるとアナウンス。更に「Michael J. Fox」自身もテレビ出演し、「Air MAG」を手にオークションの開催を宣伝。視聴者に映画へのノスタルジーと完全治療策のないこの病気への意識と関心を与える出演だった。

オリジナルリリースイベント

  • Look Back At The 2011 Release of Nike Mag
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リリース時、ハリウッドの『Montalban Theater』ではファンや業界関係者、セレブリティを招き「Back for the Future」イベントがオープン。イベントをホストした「Joel McHale」によって「Tinker Hatfield」と「Christopher Lloyd」が壇上に招かれ、シューズのリリースについてコメントを述べたほか、「Michael J. Fox」のサインが入った「Air MAG」の記念すべき1足目のオークションが開催された。また会場には、「DeLorean DMC-12」をはじめとする映画に登場したアイテムが展示されるなど、ブランド、財団、映画の力を結集した盛大なイベントとなったのだ。
同年ハリウッドに続き、ロンドンでもスニーカーショップ『OFFSPRING & OFFICE』主催によるオークションが開かれ、オフィシャルイベントほど大スケールではなかったものの、映画を思わせるスペシャルパッケージに入れられた「Air MAG」が、最高落札額8,000ポンド (約105万円)を記録し、「Michael J. Fox」からのビデオメッセージも公開され盛り上がりを見せた。

オークションは「Michael J. Fox」基金にどれほど貢献したのか?

NikeTalk』と『Nice Kicks』のレポートによると、2011年のオークションの総売上げ額は5,695,190.53ドル(約5億9,000万円)。最高学がついたのはサイズ10の9,959.00ドル(約103万円)、最低額はサイズ7の2,300.00ドル(約23万円)とのこと。オークション期間中のの日ごとの売り上げは以下のとおりだ。

Day 1 = $911,927.34 USD(約9,436万円)
Day 2 = $647,539.91 USD(約6,700万円)
Day 3 = $554,120.31 USD(約5,734万円)
Day 4 = $508,077.50 USD(約5,257万円)
Day 5 = $511,112.10 USD(約5,289万円)
Day 6 = $492,481.97 USD(約5,096万円)
Day 7 = $488,076.90 USD(約5,050万円)
Day 8 = $499,851.16 USD(約5,172万円)
Day 9 = $511,479.82 USD(約5,292万円)
Day 10 = $570,523.52 USD(約5,903万円)

これに加え、「Google」のファウンダー「Sergey Brin」とその妻「Anne Wojcicki」は2011年中に500万ドル(約5億1,000万円)の寄付を約束。結果、『Wikipedia』によると、2011年の「Air MAG」によって集められた金額は940万ドル(約9億7,000万円)にのぼったことになる。

着用者は?

Business Insider』のレポートによると、この「Air MAG」を4足も入手したのは「Kanye West」と「Kid Cudi」。また英国のヒップホップアーティスト「Tinie Tempah」も莫大な金額を投じて落札したようだ。『サンフランシスコジャイアンツ』の元ピッチャー『Brian Wilson』の着用も確認されているほか、「Fabolous」、「The-Dream」、「Wale」、「Soulja Boy」、「Trinidad James」、「The Weeknd」といったアーティストや、コメディアンの「Pete Davidson」、そして「Michael J. Fox」本人も、この「Air MAG」を履いている姿が目撃されている。上記以外にも、多くの著名人がこのドネーション企画に入札したようだ。

転売価格

2011年にこの「Air MAG」を手にいれた人々の選択肢はおそらく3つ。自身のコレクションとして生涯大事に保管するか、価値が最大になるであろう時期を見計らって転売。もしくは実際に履きこなしストリートの目線を独り占め……。なかでも転売を計画した人々は、一体いつが絶好のタイミングだったのだろうか? 『Sole Collector』によると、オリジナルオークションのアベレージ価格が3,800ドルだったのに対し、2014年の平均転売価格は8,100ドル。最高額11,000ドル、最低でも7,500ドルで転売されていたとのこと。2016年現在も、変わらず7,500〜11,000ドルの間で取引されているようだ。

大注目のPower Lacesシステム搭載の2016年版「Air MAG」。『Michael J. Fox Foundation』へのさらなる献金を期待すると同時に、一体どんなセレブリティが手にするのか? どのように価値が変わっていくのか?今後の動向も気になるところである。

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