Republic Records が今後音楽ジャンルにおいて“アーバン”という用語の使用禁止を発表

アメリカ音楽業界の保守的な価値観に一石を投ずる動き

ミュージック
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Universal Music Group(ユニバーサル ミュージック グループ)」傘下の「Republic Records(リパブリック・レコーズ)」が、全米に拡がるBlack Lives Matter運動を受けて、所属アーティストの音楽性を定義するジャンルにおいて、“アーバン”という用語を今後使用しないことを公式声明で発表した。

「Republic Records」は、Drake(ドレイク)やThe Weeknd(ザ・ウィークエンド)、Lil Wayne(リル・ウェイン)、Kid Cudi(キッド・カディ)、Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)、Ariana Grande(アリアナ・グランデ:*母方の曾祖父がアフリカ系アメリカ人)といった多くの才能のある黒人アーティストを擁するレーベル。そんな同レーベルがこの声明を発表したことの意義は大きい。

“アーバン”という用語自体は、約50年前に、ニューヨークのFMステーション 「WBLS」の名物パーソナリティーであったFrankie Crocker(フランキー・クロッカー)がリスナーにブラックミュージックを紹介する際に、その音楽性をわかりやすく定義するために名付けたとされている。当初この言葉には否定的な意味はなかったものの、時間の経過とともに、“アーバン”の意味合いは変化し、どのような音楽性であれ黒人アーティストの音楽全般を指すようになっていった。

2020年1月、Tyler, The Creator(タイラー・ザ・クリエイター)がアルバム『IGOR』でグラミー賞の“ベスト・ラップ・アルバム賞”を受賞した際もこのことが話題になった。Tylerは、自身の音楽が“ラップ”や“アーバン”に分類され、“ポップ”のカテゴリーに入れられないことを痛烈に批判。さらに彼は、“アーバン”という言葉は単にNワードをポリコレ的に言い換えた言葉だとまで発言した。また、先日Billie Eilish(ビリー・アイリッシュ)も人種や見た目、服装などによって音楽がジャンル分けされてしまう業界の現状に苦言を呈した。彼女は白人女性なら“ポップ”、黒人女性なら“R&B”か“ラップ”にくくられてしまうと批判し、先のグラミー賞でのTylerの発言への同意を示した。

このような背景もあることから、今回の「Republic Records」の決定は未だ保守的な価値観が支配するアメリカの音楽業界に一石を投ずることになる。また、同レーベルは複数のソーシャルメディアへの投稿で、音楽業界全体にその実施を呼びかけた。「他の音楽企業も、過去の古い構造に固執するのではなく、私たちが望む未来を形作ることが重要だと思いますので、今回の決定に倣うことを推奨します」。

“アーバン”という用語を終わらせることに加えて、「Republic Records」は「Black Lives Matter」「Colin Kaepernick Foundation」「全米黒人ジャーナリスト協会」「Silent the Shame」などの様々な組織に2,500万ドル(約27億3,700万円)を寄付することを発表した。

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