Interviews:Children of the discordance の志鎌英明が DSMG 限定コレクションのモデルにラッパーの ralph を起用した理由とは?
〈COTD verse〉を生む志鎌デザイナーと“verse”を紡ぐralphの邂逅
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志鎌英明の手がける〈Children of the discordance(チルドレン オブ ザ ディスコーダンス)〉はこれまで、『DOVER STREET MARKET GINZA(ドーバー ストリート マーケット ギンザ)』限定のコレクションを3度発表してきたが、11月28日(土)に3カ月ぶり4度目となるコレクションが発売を迎える。
今回から“Children of the discordance verse”と名を改めた『DSMG』限定コレクションは、手染めしたスモーキーカラーのバンダナを用いたパッチワークシャツやアノラック、〈meanswhile(ミーンズワイル)〉とのネックギアなど〈COTD〉らしい7型のアイテムを揃える中、グライムやUKドリルを独自に咀嚼したタイトなラップを魅せる新鋭ラッパー ralphのポートレートを配したTシャツもラインアップ。ralphは今回のルックブックでモデルを務めたりとフィーチャーされているが、きっかけは志鎌デザイナーの熱意からだという。
そこで『HYPEBEAST』では志鎌デザイナーとralphにインタビューを敢行。こんなご時世なのでやや短めとなっているが、2人の出会いからアイテムが制作されたきっかけなどを伺った。
まず、知り合ったきっかけと協業の経緯を教えてください。
志鎌:一方的に今年の年明け頃にralphさんの存在をYoutubeで知って、SNSで連絡をとったのが最初ですね。それから駄目元で今回のコレクションのモデルの話をしてみようと声を掛けさせて頂きました。
ralph:2020年の春にリリースした楽曲に志鎌さんが反応くださったのが最初のコンタクトです。ただ、個人的には以前からCOTDの服を持っていたので志鎌さんの存在は存じ上げていました。それから地元が近いという事もあり、一緒に何かできればという話をする中で今回のお話を頂いたんです。
なぜ志鎌さんはralphさんをモデルに起用し、アイテムを作ろうと思ったのですか?
志鎌:まず曲が本当にかっこよかったし、ralphさんの人の力に頼らず道を切り開いていくような人間性やスタイルが、どこか自分にリンクする部分が多いなと。それに今回のコレクションから、DSMで取り扱われるコレクションがChildren of the discordance verseという名称に変わるタイミングだったんです。“verse”には詩という意味がありますが、DSMGさんで展開するコレクションはほぼ1点モノなのでコレクションピースと同等の熱量を込めていて、特別な1着という思いから“verse”のワードを付けることにしたんです。こうしたこともあって、“verse”では覚悟を決めて人生を賭けている人と仕事をしたいと思っています。ralphさんからはそのような熱量を感じていて、DSMGの方にもチームのみんなにも相談したら大賛成だったのでオファーさせていただきました。ralphさんも最高な“verse”を書くアーティストなので、本当にこのタイミングでチームアップが実現できてよかったです。
ralphさんがモデルのオファーを引き受けるのは意外でした。
ralph:自分はラッパーとして飯を食えるまでの6年間アパレル業をしていました。何千着と服を見ているうちにデザインよりもブランドが持つ意思やバックボーンで自分が着る服を選ぶようになっていったんですが、COTDは人種や家庭環境、土地柄など22年間周囲の人間となじむ事がなかった自分と重なり共鳴する部分が多く、初めて見たときに喰らったのを覚えています。そんなブランドからオファーを頂いたので、断る理由はありませんでした。
志鎌さんにお伺いします。スモーキーカラーのバンダナで構成されたコレクションは初ということですが、なぜこのようなコレクションを展開しようと?
志鎌:常に新しいアプローチを模索している中で、バンダナを手染めして使用するのが新しい見え方で新鮮だと思い採用しました。パキっとしたコントラストをスモーキーなカラーパレットで染めることで幾分か落ち着いた色味になっているので、よりスタイルを選ばず着ていただけるのではないでしょうか。同じようなプロダクトが世に増えてきたので、振り幅というかそういうところを見せつつリリースできたのでよかったです。
COTDでポートレートをプリントしたTシャツをリリースするのは珍しいですよね?
志鎌:2度目になるんですが、実はralphさんの楽曲“BLACK BANDANA”のリリックをイラストレーターのNaoto Yoshidaさんが手書きで書き起こし、ralphさんのポートレートに仕上げていくというとんでもないことをしていただいているんです。こんな芸当はNaoto Yoshidaさんにしかできないと思いますし、今回のコレクションにぴったりなので気に入っているアイテムです。ralphさんのファンの方も反応してくれたらうれしいですね。
志鎌さんから挙がりましたが、ralphさんは“BLACK BANDANA”をリリースされているように普段からバンダナを着用されているイメージがあります。
ralph:理由は控えますが、10代の頃にフルフェイスのヘルメットを被ったりフードを深く被って動く機会が何度かあり、その際に熱がこもって汗が視界に影響してくるので対策として下にバンダナを巻いていたんです。それ以来、勝負事のときはバンダナを巻くルーティンができていて、ライブのときなどは基本着用しています。
最後に、今後も両者がチープアップしていく可能性は?
志鎌:実は別のストアからもralphさんとの企画のオファーを頂いていまして、これからどのように進めていこうか相談しようと思っています。地元が同じ横浜っていうのが実はかなりうれしくて、そういうところも自分は大切にしたいタイプなので定期的にやっていきたいですね。
ralph:形は異なりますがアウトプットに至るまでの意思や姿勢は生意気ながら近いと感じるので、自然とそうなっていく気がしますし、そうなったらと思います。