NFT / Web3 座談会 with VERBAL / imma / 宮武徹郎
「NFT/Web3の考え方は日本に合ってると思うんです」

今やそのワードを見ない/聞かない日はないと言っても過言ではない「NFT」と「Web3/Web3.0」。2021年は“NFT元年”とも称され、我々『HYPEBEAST』でも積極的に取り上げてきたが、読者の中には「結局なんだかわからない」と敬遠している方や、Kanye West(カニエ・ウェスト)のように「自分には関係ない」と高を括ってる方も少なからずいるだろう。しかし、しかしだな、2020年代以降とNFT/Web3はもはや運命共同体なのだ。Web3の世界が、精神と時の部屋ばりに下界とは比べにものにならない速度で進行しているのも萎えてしまう点かもしれないが、しかし、しかしだな、今からでも遅くないというか、今から入ればむしろ先取りなので、安心してほしい。
前置きはこの辺りで切り上げて、このたび『HYPEBEAST Japan』では、トークセッション企画 “HYPETALKS(ハイプトーク)”をスタート。その第1弾として、先日ローンチされた〈AMBUSH®(アンブッシュ®)〉のPOW®! “Reboot” NFTとメタバース空間 “AMBUSH® SILVER FCTRY(アンブッシュ シルバーファクトリー)”も話題を呼んだVERBAL(バーバル)、同じくNFTコレクション “KANJO by imma”を発表しているバーチャルヒューマン imma(イマ)、テック系ポッドキャスト『Off Topic』を運営する「Aww Inc.」のアドバイザー 宮武徹郎という3者を迎えたNFT/Web3座談会を実施。筆者以外は、専門的なメンバーなので、ディープな方向に行き過ぎないよう……、昨年からの流れなど、初回は比較的ライトな内容を語ってもらった。
HYPEBEAST 阿部(以下A):僕は、去年の年末ぐらいまで正直NFT周りがそこまでピンと来てなくて、immaちゃんにいろいろと教えてもらって、ようやく理解し始めたというか、なんとなく話に付いてはいけるようになった感じなのですが、VERBALさんはどこのタイミングでNFTに興味を持ち始めたのですか?
VERBAL(以下V):僕はNFTにたどり着くまでは、テクノロジー全般が好きだったというか、アーティストとしての活動の中でステージで何か面白いことをしたいって思っていました。最初、Skrillexが上半身モーションキャプチャースーツ着て、アバターを動かしている映像を見て「どこがやっているんだろう」と思い調べたところ、Xsens(エックスセンス)っていうオランダの会社で。ゲーム会社とかに販売するように、BtoBだったんですよ。で、僕はそのために法人を立ち上げてそこから2体買ったんです。でも持っているのはいいけど、マニピュレーターがいないと動かせない。ただ当時マニピュレーターがみんなフランス人だったんで、4人ぐらいフランス人を日本に呼んで、今のAMBUSH®(アンブッシュ®)の前身となるオフィスの中で4人のエンジニアがずっとアバター作ったり、次のライブに向けた作業をしたりしてて。それをm-floのライブでやったのが2013年ぐらいかな。その時は「すぐやりたい!」とビビっときて、実践するのに1番早かったのが自分でスーツを買ってしまうことでした。ただ、年がら年中使うわけじゃないじゃないですか。それでレンタル事業を始めて。他の企業がイベントなどで使いたかったら貸し出したり。あとは、プロジェクションマッピングが当時流行っていたので、まだメルセデスファッションウィークだったときにC.E(Cav Empt/キャブ エンプト)のショーで僕たちがそのステージのプロジェクションマッピングを担当したりとか。何かそんなような会社をやってました。ただ、そればっかりやっていくのって結構維持が大変で、途中でちょっと断念して。その間にVRとかにはまって、何か面白いことできたらいいなと思っていました。元々ゲーム好きだったのですが、ゲームでミッションがあってクリアするっていう形じゃない、セカンドライフのようなものが、今後ソーシャルメディアみたいになるのかなと思っていたんですよ。
そしてコロナが流行り始めた頃、バーチャルの中でライブをやるのはどうか?という発想になって。「外出できないなら、VRの中で会えばいいじゃん!」と思ったのですが、日本だと意外とみんな入ってきてくれないし、ちょっとオタクっぽいみたいな感じで受け止められるんですよね。入って慣れてみたらすごくソーシャライズできるし、面白いプラットフォームだと思っていたんですけど、出口がない。ライブというと、投げ銭みたいな機能があったり、チケット制にすることもできなくないんですけど、僕はちょっとピンとこなくて。そんな矢先にNFTに出会ったんですよね。ブロックチェーンのテクノロジーを使えば、特定のNFTを持っている人だけがこの部屋に入れる仕組みが作れる。「もうこれだ!」思って(笑)。要はトークンゲート(アクセス権)というか、「このNFTを持っている人は、僕たちの特別なパーティーに入れる」とか他にもいろんなことができるので。今までなんでできないんだろう?みたいに思っていたことの答えが全部そこにあった感じがして、それでもう1回僕の中でVR熱が上がったんですよね。
初めてNFTを買ったのが2021年の5月なので、ちょっと遅咲きではあるのですが。2020年からチェックしていたんですけど、どっから入ろうと考えていたら、時間が経っちゃって。周りで話す人もいなくて分からないことが多かったのですが、話せる人が増えて自分の理解も増したら、急速にのめり込んでいきました。
imma(以下I):最初に何を買ったんですか?
V:僕はDaniel Arsham(ダニエル・アーシャム)を買ったんですよ。親しみのあるアートなので僕にとってはわかりやすかったです。最初何を買おうってなった時に「OpenSea(オープンシー)見てみたら」って言われて。でもそれってファッションどうしようってなった時に「伊勢丹行けば」って言われても、自分に合うファッションがわからなかったらどこからみたらいいのか、まずわからない(笑)。
宮武(以下M):いやでも本当でもそうですよね、それ(ファッション)より広いですからね。
V:そっちの方が広いし、チャートアクション起こしてるのを見たら5,000万とか、買えないでしょって(笑)。
I:あたしも実際そうでした(笑)。所属させてもらっているAwwでは2021年春くらいからNFTについて議論続けていたんですが、まず出そう!という議論と買おう!って議論で別れて、結局いろいろ調べたりしてたんですが、まずは買わないと、そこの感覚がわかんないんじゃないかなってなって。最初はそこから!阿部さんもこないだとりあえず買わなきゃってことでーーーー(笑)。
A:(immaちゃんに)イーサ(ETH)を借りて……まだお返しできてないですが。
M:VERBALさんが初めて買った2021年5月っていうと、まだBored Ape Yacht Club(ボアード エイプ ヨット クラブ)ですら出てきたばかりなので、多分7月とかそこら辺でもまだPFP(プロフィール画像)とかそういう系のブームはまだ来てないんですよね。
V:早いですよね。だから去年の上半期がNFT1.0で、後半が2.0と言われていて「何が違うんですか」って聞いたら、1.0はそのままPFPとかが主流になって、2.0になったときにはUtility。これ持ってて何があるわけ?っていう会話になるっていう、1年でそんな進化するんだと思って。
M:本当に初期、去年の始まりの1つのアート分野とか多分すごい強かったので、それこそ2月とかBeeple(ビープル)さんのものがすごい高額で買われたりして、そこから一旦落ちたんですよ。落ちてそこでBored ApeとかAxie Infinity(アクシーインフィニティ)とかその他のC向けのアプリケーションがいろいろ出てきて、そこからまた人気になってさらにそこのユーティリティの需要が高まって今年はもうそればっかりの話。
A:初歩的な質問ですがNFTっていつからあるんですか?
M:NFTは2017〜8年ぐらいからコンセプト自体はあって、DapperLabs(ダッパーラボ)のCryptoKitties(クリプトキティズ)が多分1番最初の事例でした。CryptoKittiesも去年1月にちょっとブームになって。やっぱりそこが本当にオリジナルで。その後多分CryptoPunks(クリプトパンク)。
V:当時はどこで買ってたんですか?CryptoKitties買ってみようよって言ったらどこで買えるのか、Openseaって最近ですよね?
M:最近ですね。当時は自社サイトです。CryptoPunksも同じだと思います。自社サイトで取引できるので。CryptPunksの場合は手数料取らないパターンなので、それと似たような形で。
V:イーサリアムで売ってたんですか?ガス代はかからなかったですか?
M:ガス代はかかります。ただ当時はそこまでイーサリアムに人がいなかったので、ガス代がそこまで高くなるなかったので。
I:ガス代数百円とかそういう世界ですか?
M:いや多分もうちょっとしたとは思うんですけど。まだイーサリアムがそこまでスケールできてなかったタイミングだったので。ただ、それをもってじゃ何ができるんですかっていうのがすごい難しいところで。去年の1月ですと、NBA TOP SHOT(NBAトップショット)がすごい流行ったと思うんですけどそこが、スポーツカードを持つアメリカの文化が昔からあるので、そこが多分すごいわかりやすかったっていうところで。去年の2月3月ぐらいのデータなんですけど、7割ぐらいのクリプトユーザーが1番最初に買ったNFTは、NBA TOP SHOTだったみたいなんで。
A:宮武さんが最初に買ったNFTは?
M:僕もNBA TOP SHOTでした。
V:あれってフロー(Flow)じゃないですか。フローっていうとDapperLabsのプライベートチェーンなんで、トレードしようかってなったらどうするんですか?
M:あれはNBA TOP SHOTのマーケットプレイスで売買するっていうだけってことですね。クレジットカードで購入できたっていうところがやっぱり大きいので、自らMetaMask(メタマスク)のウォレットをダウンロードしなくていいとか、カードで決済して勝手に裏でウォレットを作ってくれるっていう概念はやっぱり大きかったですね。
V:高いときは、LeBron James(レブロン・ジェームズ)のダンクで2,500万とか。
A:2,500万ですか!?
V:当時そういうのがポンポンあって。正直、フローだけでしかトレーディングできないって、リスク高くない?と思っていたんですが。好きじゃないとできないなと。
I:NBAって選手もそうですけど、団体全体で取り組んでましたよね。
M:はい、NBAがDapperLabsが提携してて。
I:その仕組みがすごいですよね。
M:そうですね。そこはやっぱりDapperLabsの強さ。その後に何社かやっていますが。
I:要はなんかもう業界全体含めて、あと選手も個人で買ってますし。選手で頑張るとNBA自体も盛り上がっている。全体で上がっていく感じが、構造としてうまいなぁと。
M:ちょうどそのコレクタブルの概念がすごい2020年から盛り上がり出して。ポケモンカードが爆上がりしてたタイミングでもあったので、同時にスポーツカードの市場がすごい上がってて、それに対していろんなスタートアップも部分投資をできたので、それと若干似たような概念でNFTも捉えられた。
I:HYPEBEASTも結構積極的にカバーしてましたよね?
A:本国では、HypeMoon(ハイプムーン)っていうWeb3専門のプラットフォームが着々と動き出してます。Twitter(ツイッター)は以前からあって、先日、Instagram(インスタグラム)アカウントも運営を開始しました。サイトも今月末とかには立ち上げます。
次のインターネットを作る勢いでいかないと世界は変えられない
M:VISA(ビザ)がCryptoPunks買ったのも、やっぱり今までマーケティングコスト、コストだけを払ってCM作る終わりっていうパターンだったのが、CryptoPunksがCMになって、プラスそのアセットの価格が上がる可能性もある。
V:ROI(投資収益率)としてもすごいし「そんなことしてるんだ、VISAいけてるじゃん!」ってなりますしね。
M:特に初期でやったからこそですね。うまくそこのコミュニティに入り込めるための入り口としてそこのNFTを買ったっていう。
V:あと、Tiffany & Co.(ティファニー)も、TiffCoin(ティフコイン)っていうのをエイプリルフールで発表(※後日、フィジカルのゴールドコインとして限定販売)した後に、Alexandre Arnault(アレクサンドル・アルノー)が、CryptoPunksのティファニーオリジナルのペンダント作ったりして、面白いですよね。そういうのもArnaultさんの世代だから、できることかもしれませんね。
I:おっしゃる通り、NFT周りって若い世代の人が多く活躍してる人じゃないですか。それが個人的にものすごく好きで。何か変えようとかっていうこと以前に、その若い人たちが新しい改善で新しいコミュニティを作って新しい価値を作って……しかもそこで経済を動かしてくみたいな。なんとなく、想いとか気持ち。みたいなことより、どれだけやってきたかとか、経験がないとものも言えないような概念が変えられるから、個人的にはすごい好きなんです。特に日本は、高齢の人が社会を動かしてるので、何かこのNFTとかWeb3をきっかけに何か変えられていくと、もっと面白くなる気がするの。ジェンダーレス/エイジレスビジネスじゃないですけど、クリプトTwitterの中で1個何かバズった例として、そのスペースだけ、10代と50代が対等に会話し、何かこうわからないっていうのもそうです。女性なのか男性なのかもわかんないし、このスペースに入ってきた同士でみんな普通にイコールみたいな。
M:若者層が入ってくるっていうのは、今の多分Web2.0やGAFAの世界には、結局そこまで何か変えられないっていうのも感じてる部分もあるのかなと思って。新しい世界を作るためにはこういういわゆる、次のインターネットを作る勢いでいかないと世界は変えられない。
I:宮武さんと1番最初に喋ったときに、インターネットが生まれるその起源の話を聞いたんです。インターネットって、最初に決裁権システムを付与させて公開される予定だったっていう。それって結構大きなことじゃないですか。要はもう全ての考え方が変わっちゃいますよね。、常に個人でも売り買いがインターネットでできちゃう。それを本当はその中央集権じゃないWeb3のこの先の考え方に近いっていうか。
M:もともとブラウザに決済機能を埋め込もうとしてたんですけど、それが技術的にできなかった。それでインターネットが広告のビジネスモデルに寄ってしまったので、そこからそこのアテンションしたりSNSだったり、インターネット内の売買っていうのが、ECという概念しかなかったというのが、インターネットのミスだった。でもそこがこのクリプトっていう領域で変わってくるのかと。
I:だからネクストレベル入っていく感じがあるっていうのをずっと感じてて。NFTバブルだバブルだって言われて、実際にそうなところもあると思うんですけど、それよりはWeb3の考え方が、結構既存の考え方とはもうガラッと変わっていく感覚がすごい自分の中にあって。
M:Web3はどちらかというとバックエンドの話なので、一般普及するにはそこのバックエンドを理解してもらう必要はないと思います。だからこそこういうPFPプロジェクトとかユースケースっていうのが必要になります。例えばSpotify(スポティファイ)を聴く人はSpotifyの裏側にAWS(Amazon Web Services)があることを多分誰も気にしてないじゃないですか。ただ音楽を聞きたいので、それをNFT領域とか、Web3領域で似たような形でどうやって新規アプリケーションを出していくか。
I:確かにそうですね。それぐらいシンプルな概念になると、世の中も変わってきそうな感じがしますよね。
A:NFTが騒がれ出した時に、非代替性トークンという訳語だけが1人歩きしてて、みんなそのワードの意味を理解しようとして、わからなくて諦めるみたいな(笑)。
V:確かに……UI(ユーザーインターフェイス)の時点で萎えちゃって入れないっていうのはもったいないですよね。
I:あとは言語もハードル高くなっちゃってる要素なのかなぁ。
V:HYPEBEAST Japan企画で、ちょっと買ってみよう!と思えるような価格帯でNFTを作って「これもっている人たちでコロナ明けにパーティーしよう!」みたいなことできたら、アクティビティとしてもわかりやすくて面白いかもしれないですね。
A:確かにそういう経験がないとやっぱり手が付けられないというか、始めるきっかけがないですよね。
M:でもアメリカでさえ、1番使われてるウォレットのMetamaskでも月次アクティブユーザーが3,000万しかいなくて、その中でデイリーアクティブが800万と900万人しかいないので、毎日使ってる人がそれぐらいしかいない。
I:1イーサ以上買ってる人がすごく少ないみたいですね。会社の人が言っていました。
V:ビットコインマイアミという、ビットコインカンファレンスをYouTubeの生配信で見てたんですが、世界でクリプトを保有してる人って2%が3%しかいないらしいですね。
M:本当に1997年とか8年ぐらいのインターネットと同じぐらいの成長スピード感なんですよ。インターネットの初期のユーザー数の伸び具合と、クリプトのユーザーの伸び具合がほぼほぼ同じで。なので、まだまだこれからって言われている。インターネットですと、インターネットバブルが1回起きて、そこでほとんど会社がなくなって、でも生き残ったのがAmazon(アマゾン)とか。そういう会社が生き残ってるので、多分そういう会社が今作られてる段階だと思います。
I:本当にインターネットの始まりに近いってよく言われますね。
A:その速度でいくともう完全にひっくり返るとか当たり前になるのってどれぐらい先なんですかね?
I:あたしは結構早いんじゃないかって思っちゃいました。インターネットみたいな、やっぱハードウェアとソフトは両方兼ね備えてないといけない概念とはまたちょっと違うじゃないですか。もう既にハードはみんな持ってるし。
M:一応インターネットの歴史で見ますと、大体10億人当たりが最初のターニングポイントなのかなっていうところで、10億人の直前にMySpace(マイスペース)とかFacebook(フェイスブック)とか出始めて、そこからSNSが伸び始めた時代なので、20億人ぐらいのタイミングでAirbnb(エアビーエヌビー)とかUber(ウーバー)とか、そういうサービスが出始めた。
A:インターネット利用してる人って、20億人とか、そんなものなんですね。
M:はい、でもクリプトではまだまだなので。Facebookで2004年とか5年ぐらいですよね。なので1996年ぐらいにインターネットが生まれたとすると、10年弱ぐらいはかかったっていうところですよね。
I:人間は習慣になるスピードが結構速くなっている気がします。3〜5年ぐらいのスパンで何か概念が変わってるし、年齢の幅も含めて。日本は高齢の方が多いので、企業もなかなか参入しづらいのでしょうかね?その点、欧米や東南アジアとか早いとこは本当早いですよね。
I:NFTLA(※3月にロサンゼルスで開催されたNFTのカンファレンス)では、2割ぐらいはセキュリティの話をしてました。Axie Infinityのハッキング事件がちょうど当日だったから、結構NFTLAはその会話になってましたね。
M:セキュリティの問題は、のちのち解決されるもので、例えば50年前とかアメリカとか日本も銀行強盗ってある程度の頻度で起きてたんですけど、今だともう全く聞かないじゃないですか。それが多分今のNFT業界にも当てはまっていて、同じようにスキャムがめちゃくちゃ起きるんですけど、のちのちセキュリティは強まる。最初のうちはリスクはあるものの、後にそれが一般化してそれが安全になるはずです。
V:あとBored Apeのハックもちょうど4月1日なんで、それエイプリルフールでしょ!って言っていたら本当だったっていう。
M:やっぱりスキャマーは色々考える人たちなので、いろんなパターンで潜入してくる。まさにBored Apeとかそうですけど、運営のボットが乗っ取られた。運営者を信じられないっていうのは、本当怖い世界だなと思います。
V:オフィシャルのannouncement(アナウンスメント)ですら変えられちゃうという可能性があるっていうことですよね。少し話が飛びますが、“Reveal(リビール)“という仕組みがよくできているなと思ったのが、例えばファッションでいうと、ランウェイである程度見せちゃったら次の日にファストファッションが全く似たようなデザインで出せるみたいなことが起こるじゃないですか。NFTはそのもっとさらに加速バージョンだから、「コレクションを1,000体出すんでお楽しみに」って言ってビジュアルを公開したら、その当日には多分全く同じようなNFTやサイトできちゃいますよね。そこで後日“Reveal“することによって、それをある程度防げるのはいいなと思って。オフィシャルで“Reveal”した後は似たようなデザインで偽サイトを作って騙そうとしても、売り上げは多分二束三文なので抑止力にはなりますよね。
I:あたしのファン層は、基本日本よりは国外が多くて「こういうものが欲しい」みたいなファンは結構海外にいて、でも物理的に何かグッズを作るのを考えると、なかなか難しいなっていうのを感じてて。ってときに、Web3の概念とかNFTみたいな考え方を知って、まさにここしかないなっていう。ああいう存在体自体をもう宮武さんとずっと言ってるんですけど、DAO(Decentralized Autonomous Organization/分散型自律組織)化する仕組みを今進めてるので、なんか運営元がバーチャルヒューマン自体を何人で持つか誰で運営するかみたいなことになっていくっていうのと、多分この先、メタバース、さまざまなクオリティがありますけど、100%高クオリティのメタバースっていうのは、Epic(エピック)筆頭に絶対生まれてくるはず。多分そこでやっとバーチャルヒューマンも本当にこう生きる世界みたいなのが生まれてきて、自由にあの人間と変わらないクオリティの見た目のIPがうごめき始めてくると結構面白いなと思ってて。AMBUSH®がそうですけど、そこに着目していて、ファッションっていうのはずっと注力したい。それがリアルのファッションではないバーチャルで着飾る、バーチャルでしかない日本のコンテキストなおかつゲームとかアニメとかあたしが育ってきたような環境下で影響を受けたものを、今実は夏に向けて準備してて、それをもうバーチャルファッションとしてワーッて出そうとしてるんですよ。LAって面白かったのが既にファッションDAOをやってるチームが結構いっぱいいるんですね。あと「そんなものまでDAO化するの」っていうのも結構あって。もはやギャグに近いような。でもその感じが斬新で面白い。日本の界隈でもっと生まれてくるといいな。ファッション界隈だと、誰に話しても「わからない」しか言ってくれなくて……。
V:コミュニティビルディングがうまい子たちっているじゃないですか。多分今だとコミュニティをTwitterでビルドアップして、そこで盛り上がっても何にもならないのですが、DAO作って少しずつみんなでビルドアップしていたりして。ファッションショーやるためにDAOを作る→成功してコレクションが売れたらまた次やろうとか、自分たちでできる環境があるので、すごく夢があるなと思います。
I:そうそう。そこに旧来とは言わないですけど、あたしが仲良くしてるUNDERCOVER(アンダーカバー)の高橋盾さんとかもずっと気にしてくれてるんですけど、なんかやっぱり悪いわけじゃないんですけど、日本式というか、一旦何かが全部終わってから、入りたいっていう、日本のIPも全部そうですよね。
M:アメリカも割と似てたりします。アメリカですと、大企業も試してはいるんですけど、例えばクリプトゲームだと、スマホのゲームで無料で遊べるのは、日本だと普通だったんですが、アメリカだと普通ではなくて、無料で遊ぶっていう概念がすごい皆さん怖くて、なのでやらなかったのですが、そこにSupercell(スーパーセル)とかKing(キング)が入ってきて。いわゆる新しいプレーヤーが入ってこないと、業界で盛り上がらないケース多いと思うので。まさに若者層が入って、もっともっとDAOでも立ち上げるべきというか、そこでなんとなく学ぶ、そしてコミュニティビルディングとは何かっていうのを知るっていう。あと、最近の各PFPプロジェクトの配下に、そのグッズをDAO化して作るっていうパターンが多いので。Doodles(ドゥードルス)もコーヒーDAOみたいなものを作って、イベントすごい成功してましたね。
V:それってロスのホームレス問題解決じゃないですか!アメリカの統計によると9割以上のホームレスの方がスマートフォンを持っているとのことですので、食事を支給してもらえるトークンをエアドロップするとか?
I:確かに。募金の話もNFTLAでは結構出てましたね。募金をトークン化して、ブロックチェーンで繋ぐことで、募金したという行為がトークン化されて、その先コンテンツにまで繋がるとかって意味でてきますよね。お金の概念も変わるっていうか。今まで募金ってやっぱりその、良いことではもちろんありますけど、不透明性が高くて難しい問題があるなっていつも思っていて。もう何かパーって消えちゃう感じ?で。
V:どっかがしれっと8割ぐらい持っていって一部を寄付みたいなことをしようとしても、それが全部見えちゃうから。
I:どこか何に使われているかが可視化されていなかったのが、どこでどう貢献されてるかっていうのをポイントやトークン化していくことで、何かそういうのは結構概念が大きく変わる気がするの。
クリエイターとかコンテンツとか、NFTを皮切りに変わりそうな気がしますよね
I:NFTLAでも次はアジア次はアジアって結構話題になってて、あたしもそう感じています。特にみんな言ってたのは、すでにある体制ではなくて、新しい体制をちっちゃく作って何かこう壊していくことが、正義みたいな。そういう意味でもIP大国な日本や、アジアのコンテンツIPは、なんだかんだで期待値が高いし、正直期待してるみたいな。
M:これから上がっていくのがアジアであろうっていうのは言われますよね。最近は特にアニメ系のPFPがすごいここ数カ月前から流行っているので。だからこそよりポケモンやNARUTO-ナルト-がやればとか言われてたり。
V:でもリスク高いと思われますかね。分散型だと、どうなるかわからないじゃないですか。それこそフローとかだったら、一旦中断もできる。NFTで超盛り上がるかもしれないけど、その反面、お金目当ての人が集まってしまったら、ここまで作り上げてきた世界観が、お金の匂いしかしないとなってしまうと止められない。IPホルダーの人たちは、そういうリスクを恐れてるのかなと思います。
M:そこは多分めちゃくちゃ大きいですよね。特に日本ですと、クリエイティブをすごい尊重する文化でもあるので、アメリカですと、クリエイティブ+コマーシャライズっていうその2軸をしっかり考える国なので。日本だとそこの金融化するっていう概念がやっぱりコミュニティを汚すとか、そっちの方向性に考えがいくのかなって。日本のアーティストさんですと、あまりお金の話ってなんかしちゃいけない雰囲気がやっぱりどうしてもあるじゃないですか。でもアメリカですと、大成功したアーティストお金持ちってのは当たり前の世界でそれが喜ばれる世界なのでだからこそNFTも何か、いわゆるそのファンとしてお金出すっていう概念はそこまで躊躇しないっていうところはあるのかなと思いますね。
V:アジアだと香港とシンガポールが進んでいますけど、お金の話に対して抵抗も躊躇もないじゃないですか。聞いていないのに有名なDJのギャラの話してくれたり(笑)。それぐらいコミュニティでシェアして盛り上げていこうみたいな。からくりも知らないとできないじゃんみたいな。そこがなんかすごい今までのクリエイティブ環境の中で、いろんな意味で凄清々しいっていうか。
I:あたし個人の意見としては、その文化はもう少し日本も変わってほしい感じはありますけどね。本当におっしゃる通りで、お金の話をするのが嫌いっていうのが美徳になってるじゃないですか。クリエイターとかコンテンツとか、NFTを皮切りに変わりそうな気がしますよね。
M:クリエイティブの力はこの国はあるので、個人レベルでも。
I:そこだけとても期待してます!!
M:そこをどう使うかっていうところと、ただ日本だけに向けてやる時代ではなくなるので、グローバルにどう向けていくか。そうすると言語の問題も出てくるっていうところですね。
V:言語は最悪喋れなくても、ガツガツ営業力あれば面白いってなりますよね。例えばアニメは別に言語わからなくても、受け手が勝手に翻訳してくれる。あとは、そこに乗っかるかどうかをその当事者の人たちが判断できるか。それをしていないうちは、アニメ文脈/アニメタッチなPFPプロジェクトが、どんどんパクられる形で流行ってくみたいな。
M:今海外がメインですよね、アニメ系のPFPプロジェクトは。CloneX(クローンエックス)やAzuki(アズキ)もそうですけど、日本から生まれてるものが少ないっていうところはあります。
A:日本がIP多いのにっていうのはありますよね。
日本に、いかに凄いものあるかっていうのをもっと世界に自慢していくべきだと思うんですよね
M:ストリートウェアも多分同じ概念ですか。日本の凄さを見て、USの人たちがそれを自分の国に持ってって自分でブランド立ち上げて人気にさせるっていう、やっぱり日本のクリエイティブ能力は昔からすごい見られてるものだと思うんですけどそこをコマーシャルライズそこまでうまくできてない課題かなと。
V:アニメイベントもすごく良い例だと思って。自分も2018年にアニメエキスポっていう4日間で延べ120万人以上が集まるアメリカ最大のアニメイベントに出演させてもらったのですが、初のライブで、「現地にファン来るのかな」とか「日本語で歌ったらどうなのかな」と思っていたのですが、本番を迎えると現地ファンが日本語で歌ってくれて。展示会場に行くとブースが沢山出展されていて、ブースの中がちょっとしたクラブになっいたりとか、アニメの背景を使った映えるブースとかもあったり、アメリカ人が勝手に日本の文化を祀ってくれてるんですよ、日本最高みたいな。
なのに日本の人たちは、ほとんど現地パートナーに任せている傾向があって。ちょっともったいないですよね。日本の人がどれだけ日本のカルチャーがすごいか?って、あまり自分たちで認識していない感じがして。日本のアニメや漫画のファンが海外には沢山いますが、それは我々が日本で「Marvel(マーベル)かっこいい!」と言ってるのと同じというか。日本に、いかに凄いものあるかっていうのをもっと世界に自慢していくべきだと思うんですよね。
I:日本は不思議と売れちたりすると「あ〜」みたいな、ばれちゃったなみたいな。それを嫌う文化があるじゃないですか。ここ僕らのスペースだから、広げたくないみたいな、ここの価値は僕らの仲間にしか共有させないよみたいな、アニメの世界とかオタクの世界って結構それがうごめいて。それって良い面でもあると思っていて、今議論させれているコミュニティに近いですよね。そしてそれが何十種類も何百種類もあって。あれをもうちょっとうまくコミュニティビルドできたりしていくとより面白そうだなって思います。それがホワイトリスト化で広がってって、ホワイトリストがここまでいった人には、実はここまでのことが見えてないみたいな。何かそういう仕組みができてくと面白そうだなって。
V:NFTは、すごい速度ですごい価格が動いているから、日本ではチャラいとか思う人いるかもしれないけど、意外とそうじゃなくて。クローズドのコミュニティが沢山ありますよね。
M:NFTはTier(ティア/階層)を作れるのがいいですよね。今までの広告のビジネスモデルって、コアファンからその一般層でも平等に扱うっていう。例えば、Spotifyだと、コアファンでも誰が聞いても同じ額がアーティストに支払われるんですよ。でもNFTの概念ってそれではなくて、どちらかというとコアファンでしたり、場合によってはTierを作ると、いろんなファン層にマネタイズができるっていう概念ではあります。コアファンからしかマネタイズしない他サブスク型のサービスがありますが、その次の進化がもしかしたらNFTでそこがTier化してるっていうんですよ。
V:音楽でいうと、否定はしないですが、大型ストアの前に広告を打っても、そこに自分のファンの人が来なかったら、あんまり意味ないというか。それ以外の人が見ても「ふーん」で終わっちゃうのに対して、サブスク型だったら欲しい人に欲しい情報が届く。不特定多数の1億人よりも手堅い1万人の方が絶対いいですよね。
M:どっちのパターンもありだと思うんですよね。ただ最終的にどっちの方で、アーティストさんとかクリエイティブの方ってマネタイズできるのかというと、よほどマス向きのものを作らない限りはおそらくコアファンなのかなと。
V:マスで当たるのってやっぱり宝くじみたいな感じなんですよね。「ヒット作ろうよ」と言って、サクッとヒット作れたら苦労しないよって(笑)。
一同:1番説得力がありますね(笑)。
I:逆に言うとそういうことが、小さいコミュニティの中でできる可能性は増えたってことですよね、NFTで。
M:そこがインターネットの進化というか、今までクリエイティブの人たちが生きていけない世界がインターネットなんじゃないかっていうのがよく言われてたんですけど、インターネットではなくてWeb 2.0がクリエイティブに対して相性が良くなく、インセンティブが揃ってなかったっていうところが大きいと思います。
I:アニメとかそういうコンテンツもそうですけど、日本って良質なものが本当たくさんある。例えば、野菜でもなんでも日本の本質的に素晴らしいものをWeb3の概念に乗っけれるすごく面白いと思うんです。「この人ってもっと知られてたらめっちゃ売れてるのにな」みたいな人って、たくさんいるじゃないですか。それで50年後に気づかれるっていう。そういう人たちがWeb3の概念に紐づくと、すごい日本ってこんないいものあるんだ!みたいなのがコミュニティ化されて、そこで価値が生まれてくるみたいな。世界がまだまだ知らない日本の良質な価値って本当にたくさんあると思っていて、それをDAO化して、ちゃんとその価値を感じた人に届けて、それが広がっていく未来って本当に面白いと思うです。野菜DAOなんていうのとかあたし自身やりたいかもしれない(笑)。
V:NFTプロジェクトでアートワークも普通、コンセプト普通、ロードマップあるようでないのに、何かボーンって跳ねるのって大体VC(ベンチャーキャピタル)がめっちゃついてて、超手堅い。
M:世界観がうまく作ったりとか、VCやテック業界がうまく盛り上げてくれたりとかそういう感じですよね。
I:アメリカって価値が少ないものでもビジネスにしてうまく道を作る。日本は価値が本質的にあるのに、ビジネスがうまくできず広がらない。価値がこれだけあるんだったら、Web3が乗っかってくれれば日本が苦手なビジネスとかを助けてくれるんじゃないかという。そうなると日本はめちゃくちゃ面白いですよね。日本とか東洋の文化ってコンテキスト価値って持ってるじゃないですか、その辺りがWeb3に包まれたらむちゃくちゃ面白い時代が来る気がしてて、そのためにもっとこの価値を理解してくれる人が増えてほしいと思います。野菜が良い例なんですけど、寿司とかも絶対そうですよね。面白いなってやっぱつくづく思っちゃいますね。NFT/Web3の考え方は日本に合ってると思うんです。
M:しかも貢献者をちゃんとトラッキングできますから、そうすると、彼らに対してトークン発行するとか、彼に対してちゃんと対価があるっていう。
I:日本の良い価値は変えずに残ったままで、Web3を扱う良いビジネスマンが増えてほしいなって。あまりにもアメリカナイズされすぎて、コンテンツが希薄になるのも嫌なんですよ。醸造してる味噌とか醤油とか、そういう感じでWeb3っていうビジネスを扱うビジネスマンがコンテンツを理解して入ってくると、すごく良い未来が訪れる気がしてて。もの作りってあたしが1番概念として変わったのは時間だと思ってるんですよね。もの作りで時間をかければかけるほど爆発力がある。時間の概念って日本の中で大事とされてるんで、それを希薄にはしたくないけどビジネスでは勝って欲しい。盛り上がってるし。そこのバランスがうまく掛け合うと、日本の産業は多分、一気に後半強くなる可能性を持ってる。けど、そこに気づいてる人はまだそんなに多くないっていうのが悲しい。だからよくプロデューサーがもっと増えてほしいなって。作る人もいっぱいじゃないですか。どんな業界産業においても。それをちゃんとビジネスにするとか、それを理解して、広げてく人が、増えると、めちゃくちゃ面白いなと。
A:話は尽きないですが、今回はこの辺で。また次回に取っておきましょう(笑)。