Interviews : A$AP Rocky が語る古着のすすめ

Rockyに学ぶ賢い買い物術

ファッション 
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A$AP Rocky(エイサップ・ロッキー)のような影響力を持つ人間は、ほんのひと握りしかいない。〈Balenciaga(バレンシアガ)〉のライフジャケットから〈Gucci(グッチ)〉のバブーシュカ風ヘッドスカーフまで、彼が流行らせたアイテムは多岐にわたる。さらに、多くのハイプビーストたちが〈Raf Simons(ラフ シモンズ)〉〈Prada(プラダ)〉〈Ann Demeulemeester(アン・ドゥムルメステール)〉といったブランドへ熱い視線を送るようになったのもRockyがきっかけだ。現行のファッションやストリートシーンに多大な影響を与える様子は、まるで1990年代のKurt Cobain(カート・コバーン)や2000年代初頭のKanye West(カニエ・ウェスト)を見ているよう。A$AP Rockyは、今日のファッションのベースを作った1人と言っても過言ではないだろう。

現在、彼は次なるステージへと足を踏み入れようとしている。多くの若者にもその傾向が見られるが、彼もまたヴィンテージ志向が強くなっているのだ。Rockyにとっては新たなフィールドであり、目下さまざまなことを吸収中といったところだろうか。しかしながら、10年以上にわたって育んできた独自の嗅覚があれば、自らの役目を十分に理解したうえで、唯一無二の何かをやってくれるだろう。

彼には心強い味方もいる。ファッションシーンにおける次なる時代を築くために、彼をサポートしているのがスウェーデン発のショッピングアプリを運営する「Klarna(クラーナ)」だ。Rocky自身も株主であり、先日彼の1日CEO就任を発表した企業である。このたび同社は。新たなヴィンテージプロジェクトに彼を迎え入れた。

自身のヴィンテージクローズに対する愛、確かな目利き、そして「Klarna」での新しい役割を結びつけることで、A$AP Rockyは購買のあり方が変えようとしている。自身のビジョンをイメージしやすいよう、ヴィンテージのカプセルコレクションを手掛け、「Klarna」のキャンペーンにも名を連ねている。しかも、リリース前のA$AP Rockyの音源が使われ、Skepta(スケプタ)がカメオ出演しているという贅沢ぶり。

今回の独占インタビューでは、“賢いショッピング“からヴィンテージクローズに対する想い、そしてファッションおける独自のアプローチまでを語ってくれた。

HYPEBEAST:ヴィンテージクローズに興味を持ったキッカケはなんですか?

A$AP Rocky:ノスタルジアからは得るものがたくさんあるってことさ。かつての流行からスリフトストア(さまざまなユーズドの商品を販売するリサイクルショップ)で見かけるような古着まで、どこか排他的なところに魅力を感じるんだよね。誰も持っていないであろうアイテムを見つけることには、すごいスリルがあるしね。

誰も持っていないアイテムって、あなたにとっても大切であり、エキサイティングなものですか?

そうだね。エクスクルーシブだから。

女性のファッションに多大な影響を受けていると聞きましたが、例えばヴィンテージクローズを買うとき、ヴィンテージクローズでコーディネートするときも、女性のファッションを意識しますか?

控えめに言うと、そうかもね。女性のファッションがファッションの始まりであって、彼女たちが男性のファッションを作り始めたのさ。ファッションは女性から生まれたわけだから、学ぶことしかないんだよね。スタイル、イノベーション、デザイン……、新しい何かを始める最前線には、常に女性のファッションがあるのさ。

それを踏まえ、メンズとウィメンズではどちらのヴィンテージクローズが好みですか?さらに深堀りしていきたいことはありますか?

もちろんメンズだけど、女性のファッションも十分に理解しているよ。

ヴィンテージクローズを探しているとき、何を考えながら物色するんですか?

普段は、マスクとグローブが必須さ。ヴィンテージクローズには埃がつきものだからね。クシャミ防止さ。でも、ヴィンテージショッピングに行くと、毎回かなり掘っているよ。

かなり漁る感じですか?端から端までくまなくチェックするタイプですか?

基本的にはそうだけど、極度にひどいものが集まったラックやランダムなTシャツばかりのラックは避けるね。でも、いろんなブランドのものが集まったラックもあったりするんだ。きっちり整理されている店もあれば、ランダムに散らばっている店もある。陳列の仕方もお店によって様々さ。

もしヴィンテージショップを経営するとしたら、どんなお店にしますか?

そうだな〜、いろんなものをミックスするだろうね。ヴィンテージを織り交ぜながら未来的な要素や時間の逆行を表現したり、みんなが必要としていたもの全てを網羅するというか。さらに、新しいものもミックスしてさ。例えば、自分の店がVivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)のヴィンテージピースやIssey Miyake(イッセイ ミヤケ)をベースにしていると装ったりね。で、そういったブランドから、ヴィンテージとモダンなアイテムの両方をお店に並べたりさ。お客さんは両方のオプションがあるわけ。それらを全てミックスしちゃうんだ。そういったコンセプトのもと、いろいろなブランドを取り扱うよ。

あなたの口からVivienne WestwoodやIssey Miyakeの名前が出てきて嬉しいです。多くの人は、古いスケートTシャツなどからヴィンテージに足を踏み入れるようですが、同時に“アーカイブ”という側面もあります。ヴィンテージからアーカイブへの移行を経験したことはありますか?

洋服は洋服で、ヴィンテージやアーカイブは“ピース”さ。もちろん違いはあるし、その2つは区別しないといけないね。

違いとは?

そうだね、例を挙げよう。仮に今日のRaf Simonsがラウンウェイショーをやるとして、パンツやジャケットなんかを発表する。そして飛ぶように売れる。一方で、ランウェイにはそれほど数を作らないピースもある。もしかしたら、販売すらしないかもしれない。多くのバイヤーが高過ぎると考えるからだ。わかるでしょ?

ファッションのトレンドに移り変わりはあるけど、そのピースは永遠にキミと一緒さ

もしかしたらジャケットやセーターかもしれない。1年に2回しか着ないような。それが洋服とピースの違いだと思うんだよね。ピースはレアで、アーカイブ性が強いものさ。超限定や販売すらされないようなものだね。

実にストレートな視点ですね。

その通り。

ストレートな考えをお持ちですが、同時に情熱も持っていますよね。ヴィンテージからアーカイブのステータスへは、どのように移行するのでしょうか?

それは、個人個人の趣向やスタイルによるんじゃないかな。ヴィンテージに興味があるのなら、まずは年代、コレクション、デザイナーを選ぶところから始めるといいよ。自分とのつながりを最も感じられるものなら何でもいいのさ。

ファッションでよくあるのが、みんなが同じことをするんだ。例えば、数年前はストリートウェアのブランドとハイブランドのコラボレーションがあったよね。Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)とSupreme(シュプリーム)の前からね。いちいち名前を挙げる必要はないよね。その辺は、みんな俺の話についてこれるでしょ(笑)?

たくさんのブランドがコラボレーションしていたね。今を見てみなよ。全てがグリーンでしょ。Bottega Veneta(ボッテガ・ヴェネタ)もやったし、LVもやったしDIOR(ディオール)もそうさ。みんながグリーンなんだ。今のカラーでありパレットなのさ。グリーンコレクション。みんながグリーンをやっているね。全部同じだよ。

1993年、デザイナーは競い合っていたような気がする。その後、彼らはお互いに影響され合っているよね。それが時代に反映されているというか、広く行きわたっているし、10年単位で見ても一定の年月に見てとれるんだ。あなたのスタイルは?何が好きなの?それらの類似性は理にかなっている?

現在は何に興味がありますか?どんなヴィンテージピースが頭にありますか?

全てさ。マジで、ベルボトムが気になっているよ。本当だよ。

コーディネートに関して、「今日はヴィンテージだけを着たい気分だ」という感じですか?それとも、先ほどお話しした想像上のブティックみたいにいろいろミックスしたいですか?

そうだね、お店同様ミックスしたいかな。もちろんフルでヴィンテージの人をとやかく言うつもりはないけどさ、時々スリフトストア臭が過ぎる人もいるからね。ヴィンテージとスリフトストアルックは違うものだから。君も俺と同じ意見だろうけど、あまりヴィンテージに行き過ぎるとね。

では、90年代スタイルをやめるのは、必ずしもいいことではないと?

結局のところ主観であって、スタイル的な好みということさ。俺は全身80年代のストリートには行かないし、ヴィンテージって個人のスタイルが出るんだよね。自分に合うものなら何だっていいのさ。時々タイムカプセルから出てきたようにスタイリッシュな人を見るけど、誰もができるわけじゃない。着る人によっても大きく変わるのさ。

新しいものと古いものをミックスできれば、あなたみたいになれるということですかね。

勘違いしないでよ。頭からつま先までヴィンテージで固めている人は、頭からつま先まで現行品を買っている人と同じなんだ。ただ、やり過ぎはよくないってこと。少しのヴィンテージ、少しのアーカイブ、少しの現行、少しのストリートウェア。これが無難だろうね。「さっきFendi(フェンディ)のお店に行ってきたんだ」って、Fendi、Fendi、Fendi、Fendiだらけだと、ちょっと趣味が悪いよねって話だよ。

では、賢い買い物についての発言を聞きましたが、どういう意図だったんですか?

確かに言ったよ。俺は史上最も倹約的な顧客だよ。理由はたくさんある。第一にKlamaで買い物をするよ(笑)。でも、本当にセールには賛成さ。

本当に必要だと思うピースだけで十分なんだ。そのピースをキープすればいいのさ

セールが大好きなんだ。例えばMaison Margiela(メゾン マルジェラ)とかすごい高価なものを買ったとして、その半年後にセールで半額になっていたら、なんて間抜けなことをしたんだって気分になるでしょ。

倹約もそうだけど、“着用回数に応じたプライス”というコンセプトに夢中だとか?

その通りさ。誰だって大掃除の連続は嫌でしょ。そのうち意味のないコレクターになっちゃうよ。本当に必要だと思うピースだけで十分なんだ。そのピースをキープすればいいのさ。ファッションのトレンドに移り変わりはあるけど、そのピースは永遠にキミと一緒さ。

そこでKlarnaはどう関係してくるんですか?

ハイプビーストなキッズでも、そうじゃないキッズでも、ドロップを逃さない可能性をもたらしてくれるんだ。ドロップにはハッスルが付き物で、転売のためだけに群がる人たちもたくさんいる。でも本当に好きで、実際に身につけたい人たちがいるんだ。Klarnaは、そんな人たちの購買経験を劇的に変えるものなんだよ。

あなたはKlarnaのキャンペーンに出演し、アプリとユーザー向けに、100以上のアップサイクルしたヴィンテージピースで成るカプセルコレクションも手がけました。クリエイティブ面でのプロセスについて聞かせてもらえますか?

まず、ブランドは関係なかった。全体的なピースにまつわるものだった。ベルボトム、ブーツカット、オーバーオール……、でも俺はヴィンテージのセルヴィッジデニムは買わない。ジーンズやオーバーオールなら買う。そんなノリでアイテムを選んだよ。どのブランドにいくべきかを伝えるのは複雑だからね。70年代には、たくさんのブランドが世に出て、また消えていったわけだから。

ヴィンテージに関して言えるのは、多くのアイテムが大量生産されなかったということ。同じものがたくさん存在しないからこそ、今日の何よりもエクスクルーシブなんだ。

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