草間彌生の人生
評価の裏側で、統合失調症に苦しみながら作品制作と格闘する日々
北欧を巡回し個展を開催中の「草間彌生」は、どのような人生を送ることで今のようなアーティストへと成長したのだろうか。永続的で複雑なドット柄に象徴される作風がお馴染みの彼女だが、上記のドキュメンタリーでは自らの口から幼き頃の苦悩について語っている。統合失調症を患い、幻覚に悩まされ、母を含む家族に強く反対されながらも描く手を止めることはなかったという草間氏。1957年に渡米し、巨大な平面作品、ソフトスカルプチャー、鏡や電飾を使った環境彫刻を発表した当時は、キャンバスや絵画ばかりにお金を費やし、貧しい日々を過ごしていた。「私はものすごく貧乏でした。お金が入ると絵やカンバス、絵の具などに変えてしまって。お腹も空かして、寒かったけど、死ぬ想いをしながら絵を描きました」。また、彼女の独特な世界観が世界中から評価を受ける一方で、本人は常に神経症と隣り合わせだったようだ。それを草間氏は「地球も、私も、月も、太陽も、星も水玉。ドットが無限大にあるので、私の人生は常に作品制作との戦いでした」と振り返っている。
日本が世界に誇る芸術家も、今年で87歳を迎えた。4分16秒のムービーから、作品を通して愛と平和を謳い、時代を超えて愛される草間氏の人生について理解を深めてみてはいかがだろうか。