The Lonely Wanderer: スケートボードを通じて写真を進化させる Atiba Jefferson

「Atiba Jefferson(アティバ・ジェファーソン)」が選んだ“領域”の中で撮影しなかったものはほとんどない。彼は「Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)」、「Kobe

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Atiba Jefferson(アティバ・ジェファーソン)」が選んだ“領域”の中で撮影しなかったものはほとんどない。彼は「Michael Jordan(マイケル・ジョーダン)」、「Kobe Bryant(コービー・ブライアント)」、「Ice Cube(アイス・キューブ)」、「Lil Wayne(リル・ウェイン)」といった多くの面々を撮影してきた。この才能あふれるフォトグラファーは先月、ロサンゼルスのギャラリー〈HVW8〉と香港のライフスタイルコンセプトストア〈WOAW〉で開催された写真展“Lonely Wanderer”のため香港を訪れていた。 “If you… look back… would you… look back… what have you done… have you done… was it… was it worthwhile?” という「Panda Bear(パンダ・ベア)」の新しいソロアルバム『Panda Bear Meets the Grim Reaper(パンダ・ベア、死神に会う)』からトラックの一つである「The Lonely Wanderer」にインスパイアされた企画だ。仕事で飛び回っているとき、写真というのは時には孤独な仕事ともなりうる。勢いよく流れ落ちるキーと頭から離れないボーカルは、Atibaの感情をうまく説明してくれている。

音楽、ファッション、スポーツと幅広いジャンルに携わっているため、ロサンゼルスを拠点とするAtibaカテゴリーを特定するのは難しい。〈Nike〉、〈adidas〉、〈Pepsi〉、〈Mountain Dew〉といったビッグなクライアントのコマーシャルな仕事を通して、彼ははかなり印象的なポートフォリオを築きあげ、それは多くのフォトグラファーたちの羨望の的だった。〈LA Lakers〉やスケートボードサイト『Transwold SKATEboarding』のスタッフ・フォトグラファーとしての経験から、今もなお語られる歴史的瞬間を努力してとらえてきた。さらに『The Skateboard Mag』の創刊メンバーとして、「Andrew Reynolds(アンドリュー・レイノルズ)」、「Eric Koston(エリック・コストン)」、「Tony Hawk(トニー・ホーク)」、「Jason Dill(ジェイソン・ディル)」らを撮影してきたことは、スケートボードの新たなイメージを形成するのに貢献した。そのことによって迷惑行為や非行といった、スケートボードの従来のステレオタイプから離れて、スポーツをアートの一形態とした表現方法として人々に認識してもらえるようになったのだ。

“Lonely Wanderer”展では、Atibaはバスケットボールカルチャーにフォーカスしながら活動の多様さを見せようとしている。バックグラウンドの異なる非常に多くの人々にいかに彼の作品が語りかけることができるかということに喜びを見つけている。今回、そんなAtibaにインタビューを敢行。彼の注目するポートフォリオや文化的に意義のあるテーマを撮ってきた彼のこれからについて語り合った。


写真という言語の普遍性


“Lonely Wanderer”展の背景にあるインスピレーションについて教えてください。そして「Panda Bear」の新譜はあなたにとってどんな意味を持っていますか?

「Panda Bear」は僕の大親友なんだけど、新譜は本当に素晴らしい。タイトルはこのような写真展をするのに大きな意味を持っているんだ。地元でないところで写真展をやるのは、いつも変な感じだよ。そもそも普段あまり露出をしない、写真展もそんなにしない。本当にただ「HVW8」の創設者の一人である「Tyler(Tyler Gibney:タイラー・ギブニー)」とやってきただけなんだ。意識し過ぎているようでたまにちょっと変だと思うけど、彼らを家に連れて行くと派手なパーティになるんだ。だいたい僕らはバンドが演奏するように努力しているし、友だちがみんな来てくれるのをわかってるから、だからそれがパーティに“なる”ってわかってるんだ。でももし君が来てこういうことを自分で全部やったら、ひどく寂しいでしょ。 ホテルに行って、チェックインをする。そして新しい人々に出会う。でも6:30になったら、僕は自分の写真展で待ち伏せているただの変人なんだ。まあ、それも嬉しいことでもあるよね。楽しいし、ワクワクする。

 作品は、世界中のあらゆる人に語りかけているものですよね。

そうなんだ、だから僕はあらゆるものから全体を織り交ぜるということを試みてつくっている。 バスケットボールについての作品が多い。というのも、中国でバスケットボールカルチャーはかなり大きいと感じるからなんだ。アメリカ人バスケットボールファンとして、どれほど人気があるかを見るのは喜ばしいことだね。アメリカの一部の人々にとってそんなにクールなことではなくても、ここでは国全体として本当にかっこいいものと捉えてくれているから。

初めてのシューティングのときから今までのキャリアの中で、これは自分のものじゃないなと思ったことは?

自分にとって不思議に思うのは、年を重ねるにつれてスケートフォトが難しいこと。基本的に美化された犯罪者だからね。私有地に不法侵入し、荒らすのを記録している。38歳にもなって警察と関わりたい? ノーだよ(笑)。フェンスを飛び越えたくないし、関わりたくない。でも自分はスケーターで、いつも言っているんだ。スケートしている限り、スケートの撮影はするつもりだよ。写真について、僕は写真を仕事として見たことはないんだ。いつでも写真を楽しんでいるから、仕事をしているわけじゃないんだ。自分にとってただ、身についている習慣。いつだって写真を撮るのは楽しいし、僕がやりたいと思っていることだからね。


スケートのドアは開かれている。


写真の中でどんな道をスケートが拓いていっていますか?

スケートは、とても影響力のあるカルチャーだと思っている。特にアメリカン・カルチャーにとってだね。でも、今ではワールドワイドなカルチャーになっている。僕がいま香港にいてこの写真を展示しているのは、スケートだからだ。自分にとってスケートはアートの一形態で、自己表現だ。そして、それは君の身の回りのことでもある。ストリートのスケート場に行く。そこで現実を見るんだ。ホームレスの人々を目にする。正気でない人々を目にする。もし体育館にいて、インドアでバスケをしていたら目にすることはない。リアルな生活とは関わり合いを持たない。スケートは僕にアートや音楽についても教えてくれた。あまりにもたくさんのことに大きな影響を与えている感じだね。特に今となってはスケートはクールだから。自分が小さい頃は、スケートってクールじゃなかったんだ。スケーターになっていたら、こきおろされているよ(笑)。今は、「Justin Bieber(ジャスティン・ビーバー)」だってスケートしているし、当たり前のものになったよね。

スケートフォトグラファーは、どのように自分たちをアピールしていますか?

今はもう、雑誌にフォーカスしていないんだ。スケートフォトグラファーであることは、いい感じのスケートを撮るしかないと思う。世界で一番のフォトグラファーでありえるかもしれないけど、普通のスケートを撮ったら、誰も注目なんかしない。だから、自分は最高のスケーターと撮影するんだ、最高のトリックの出来の悪い一枚を撮るかもしれないし、 出来の悪いトリックの最高の一枚を予定時間を越えて撮るかもしれない。今、フォトグラファーであること。さあね。“どうやって始めたの?”って聞かれるけど、わからないんだ。

デジタルフォトはアートや手仕事についての観方を変えましたか?

うん、でも自分はいつも機材の進歩にはかなり気合を入れているからね。35mmで仕事を始めて、中判、4×5とやっていった。一つの方法で撮るのは好きじゃない。あらゆる方法で撮りたいんだ。デジタルフォトが誕生したときは、それをすぐ利用できたし、テンションが高まったよね。今は誰もが携帯で持っていて、でも僕は、それがまだクールじゃなかったときに経験していたから、今とは違ういろんな目的や意味を持っていたと思うよ。

脚光を浴びている人々を多く撮影していると思いますが、これから撮りたいものは?

(笑) ちょうどこのことについて話してたんだ。Tylerは「もしやりたいなら、そうなるようにアクション起こせばいい」って言うんだよ。いつも誰かいたら素晴らしいよね。「Aphex Twin(エイフェックス・ツイン)」はきっと撮影するのが難しいかな。先日、「Marshawn Lynch(マーショーン・リンチ)」を撮影したばかりなんだ。彼は撮影したい人物リストの中でビッグな人物だったよ。

そのリストは今も増えていますか?

僕は僕が楽しめるものを撮影するし、「Drake(ドレイク)」を撮影したい。新鮮なことをしている誰かはフォトグラファーとして、何がしかを得るのはいつも格好いいよね。フォトグラファーになる前にキッズとしてたくさん格好いいものに見て育って、それを撮らなかったことにはかなり心折れているんだ。「Nirvana(ニルヴァーナ)」や「Fugazi(フガジ)」のプレイを見てきたのにね。「Ice Cube」で育ったから彼を撮るのは、もう興奮どころじゃないんだよ。「The Neptunes」が一番熱かったときに撮ったのはアツかったよね。だって「Nirvana」のライブにカメラを持ってきた友だちを目にしていて、「うわ、マジかよ」って思ったけど、僕は撮らなかったからさ。僕はいつもワクワクしている、殊に音楽ではね。「Animal Collective(アニマル・コレクティヴ)」はお気に入りのバンドの一つで、彼らと仲がよくなってから本当に光栄なことに、もう5、6年はずっと撮らせてもらってるんだ。もし常に異なる対象を見つけようと注意をしているのであれば、このリストはずっと大きくなり続けるはず。自分が撮りたくてたまらない故人も多い。「Ian MacKaye(イアン・マッケイ)」や「Henry Rollins(ヘンリー・ロリンズ)」を撮影させてもらえたことはラッキーだと思っている。だって彼らは25年前、僕が13歳のときに会って、そのときはカメラを持っていなかったけれど、今になって彼らを撮れることに今でも熱くなるからね。


タイムレスなフォトグラフィ


いつでもカメラを持っている必要があるのですね。

一番大事なことだよ。もしカメラがなかったら、撮影できていない写真がけっこうある。今ここにある写真を振り返ってみると、結局そこなんだ。カメラを持っていたから撮れたということ。それが写真の最高に楽しいところじゃないかな。「Lakers」の試合に来ていたベッカムの写真もあるよ。彼を“仕事で撮影”はしてないけど、もっと「いいね、ベッカムの写真を持っているよ」という感じ。ただ撮って、「少なくとも自分にはその写真がある」みたいな感じのときも多い。

ちょっと後になってみないと、その大事さはわからないですか?

絶対にわからない。バンドに会ったら、いつも数枚の写真を撮る。僕らが「Nirvana」を見たとき、誰かの他の人のためにオープンにしていたんだ。アメリカではかなりのビッグバンドの「Explosions in the Sky(エクスプロージョンズ・イン・ザ・スカイ)」に会ったときでさえも、 最初に出会ったときはオーディエンスが3人くらいしかいなかったんだ。すごく感動して、彼らの音楽のファンになった。実際彼らはスケーターで、ライブで彼らも僕のことがわかって。今では1万人のためにプレイしている。3人のために彼らがプレイしているのを目にした夜、僕はカメラを持っていなかった。ね、カメラがあったらよかったのに。

今は携帯があるので、写真に対する考え方が随分変わったと思います。

子どもの頃はフィルムがとても高かったからね。昔は、それが大きな問題だったんだ。1週間でフィルム1本撮影するとする。仲間がスケートする写真を数枚撮影する。彼らがとき、それを撮影したいと思うけど、彼らに待ってくれと頼まないといけないんだ。フィルムは1本10ドルで、現像に10ドルかかる。高校生で20ドル……そんなにいつも20ドルなんてかけられないからさ。

フォトジャーナリズムに行こう、転向しようって思ったことは?

いつも多くの人々が僕に聞くことだよ。「ファッションを撮れば?」みたいにね。でも、自分はそういうファンではないんだ。フォトジャーナリズムの写真は強烈だよ。そういった写真のイメージで、僕は戦争写真を思い浮かべる。彼らは最高にクレイジーだ。『National Geographic(ナショナルジオグラフィック)』からフリーランスの人間までみんなそろいもそろってね。この年齢になって考えてみると、自分は自分のニッチを見つけていて、そのニッチのフォトグラファーなんだと思う。ニッチを見つけて、それを開拓した。自分が今していることができることにとてもハッピーなんだ。 それを変える必要はないと本当に思っている。個人的にもっと改善できることがあると思っている。今ある活動を僕がちゃんと継続していく必要があるという世界の中でね。

今開催中の「HVW8」展の次に予定していることは?

本当に今は、特に何も注目していることがないんだ。こういった写真展はあまりやらないから、かなりレアなことだよ。最近はTylerがこういったことをもっともっとやるようにうるさいんだ。でも、自分には〈Bravo〉というバックアップのための会社があるから、その仕事をしているよ。〈Black〉というバーと〈St. Archer〉というビール会社のそれぞれ一部を担っている。自分は写真のほかに、起業家的な仕事をたくさん抱えているんだ。あと、写真集に取りかかりたいと本気で思っている。前はそんな風に感じたことなかったんだけど、今まで20年間撮ってきて、大量の作品があるなあって。4年前まではそんな風に思わなかったんだけどね。フォトグラファーとして思うことなんだけど、長くそれに携われば、よりよい活動に恵まれる。この写真展でさえ、作品のあるものは古いけれど、ここ4年で撮ったものがけっこうあって、それが結構いいものだったんだ。何点かの作品は前から知られているものだよ。というのは撮った作品がアイコニックなイメージで、みんな本当にそれが好きだし、引き寄せられるものだからね。

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Photographer
Stanley Cheng/HYPEBEAST

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