ファッションブランドの初期費用: 決断&デザイン編

仕事の確保、安定した収入、予測可能なキャリアパス、貯蓄。こういったことはすべての人にとって共通のトピックだろうか?

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仕事の確保、安定した収入、予測可能なキャリアパス、貯蓄。こういったことはすべての人にとって共通のトピックだろうか? これらはすべて、自分のブランドを立ち上げるとき、犠牲になると思われることのほんの一部だ。すべてをあきらめさせる厄介ごと、自分のブランドを立ち上げることには多くのリスクが付きもの。でもそれによって得られるものは、金銭的な充足をはるかに越えるものだ。自分の足で立つ人間となる。始めるにあたって、一般にそれはお金の問題ではなくて、パッションがあってこそだし、趣味として新しいもの、気分を新たにしてくれるものをつくれることが大事だ。このデジタル時代は多くの人々が建築資金なくして、オンラインストアから飛び込める時代になっている。ファッションビジネスに携わる世界中の業界人が目を通しているウェブメディア『The Business of Fashion(ザ・ビジネス・オブ・ファッション)』によれば、ファッションは今、1.5 兆ドル規模の業界となっている。

多くの機会に恵まれて、これからブランドを立ち上げるにあたってのビジネスとしての側面について、信念から決心して自身のブランドを立ち上げた人々を特集する。〈Filling Pieces〉の「Guillaume Philibert」、〈Naked & Famous〉の「Brandon Svarc」、〈Haerfest〉の「Benny Gold &Tim Joo」たちだ。生産やマーケティング、流通といった、ブランドを築く上でのキーとなる数々のパートがある中で、すべての中で一番難しい部分に迫る。それは決断するということだ。

以下で語られる彼らの経験からわかることは、外からの投資なしに何もないところからスタートしているということ。そしてブランディングのスタート時に、ほとんどあるいはまったくお金を使っていない。これらはファイナンシャルな価値が見合わないかもしれないコストだが、時間の投資として時間的に結果的にリスクとなるかもしれない。次回「ファッションブランドの初期費用」Part2では、生産とマーケティングにおいてお金が大事な要素であるという部分に迫る予定だ。


決断


ブランドを立ち上げるとき、それで生活を成り立たたせることをどのように決断したのか? できると思っていたのか?

Guillaume Philibert

〈Filling Pieces〉を2009年の終わりから2010年の初めにかけて始めた。建築を学んでいるときで、使えるお金はそんなになかったから、小さな仕事からいくらか貯金をしていたんだ。最初の2年は本当に大変で、辛かったよ。取扱店がなかなか決まらなかったし、自分で全部工面しなきゃいけなかったからね。だから、利益を産み出していたウェブストアがなかったら、週末や放課後に働かなければならなかった。ようやく2年でブランドがもっと人気が出てきて、売上も順調になっていった。建築の学位で卒業して、自分でデザインしたシューズを販売して生活していきたいって決めたんだ。取扱いのあるリテイラーは30あった。ちょうどオンラインストアをオープンさせたばかりだよ。家賃や他の経費を十分カバーできるようにね。

Tim & Dan Joo

〈Haerfest〉を始めたとき、僕らは仕事の確保、安定した支払い、僕ら共同の貯蓄すらも、すべてを犠牲にした。リスキーだったけど、僕らが絶対ベストを尽くす限りいつも、それで得られるものは手に届くものだと信じてるんだ。事業計画を一緒につくって、実績のあるマーケットで僕らのプロダクトを立ち上げた。だけど、ビジネスっていうものは常にマーケットを進化させているものの中で成長して、変化が早かった。ずっとでこぼこ道だったけれど、僕らはがんばって、製品の舞台裏では手堅くあり続けた。僕らのねばり強さは価値があるものだと証明されて、僕らの意見では、それは大当たりだったんだ。結局、愛はどんな失敗も克服させてくれる。それが幸せなことで、この暮らしは他の何ものにも代えがたいものだと思っているよ。

Ouigi Theodore

マーケットにすき間を感じて、そのすき間で僕らが取り組むことができると思ったから〈The Brooklyn Circus〉を始めた。10年前はまだ若かったから、お金の工面は僕らの決断には重要な要素ではなかった。課題を解決することにもっと関心が強かった。楽しめることがやりたかったし、日常的にそれができる自由が欲しかったんだ。会話を盛り上げるようにハッピーでありたかったんだ。

Terrence Kim

はじめからブランドで稼げるなんて思っていなかった。だけど〈IISE〉のヴィジョンは本物になっていったし、もっと大きなアパレル企業もいつもそこにはあった。自分の会社で生活するというのは、疑いなく経営者が誰しも懸命になる一番重要なことだよ。

Brandon Svarc

実家が70年ワークウェアとジーンズを手がけていたから、そもそもスタート時は有利だったんだ。若い起業家みんなに伝えたい。使えるものは何でも使おうって。僕は最初、マスマーケットのアパレル企業でマーケティングをしていた。そこでPRの仕事にはまったよ。実際、媒体掲載は無料だし、広告よりずっと効果的だ。だから仕事を辞めて、PR会社を始めて、基本的にはカナダのアパレルやアクセサリーの企業のファッションPRをやっていた。そこからこのPR会社をトランポリンのようにハネさせて、実家の家業から自分のブランドをローンチできることわかったんだ。小学生のときから自分は家業を継いで、“Shmata” ビジネスで働くことになるとわかっていたよ。

Rav Matharu

他のブランドのヘッドデザイナーをしながら、〈Clothsurgeon〉で働いていた。自分で完全にクリエイティヴ・コントロールをしたいと思ったとき、〈Clothsurgeon〉をきちんと始めようと決めたんだ。口コミで売っていた何点かが、よく売れ始めて、先行するコレクションやウェブサイトの資金となって以来、継続できているよ。ハードワークや長時間労働もありつつね。

Benny Gold

〈The Benny Gold〉は、自分のためのクリエイティブな発表の場のためのサイドプロジェクトとして始まったんだ。さまざまなクライアントのためにデザインする、フリーランスデザイナーとして生活していたよ。〈HUF〉との仕事をしているとき、そのブランドがようやく牽引力を持ち始めた。クライアントの仕事をやめて、完全に自分のブランドに集中できるようになるまでコンセプトを発展させるのに何年もかかった。自分は恵まれていて、今は家族や10人以上のスタッフを養えているよ。

Laurence Chandler

事業を始める前に名刺をつくったんだ。プロスケーターの「Vinny Ponte」が オープンした〈Rival〉ショップで、チルなキッズの集団が始めたものは〈Rochambeau〉に進化した。友達や周囲の人間を表現する方法としてスタートしたんだ。ニューヨークのダウンタウンから来た〈King Stampede〉、〈J Money〉、〈SSUR〉、〈DIY〉といったアパレルシーンにインスパイアされながらも、同時に〈Rick Owens〉、〈Damir Doma〉のようなハイファッションブランドも見ていた。 “ギャップ”を埋めたかったから、ニューヨークファッションウィークのショーものぞいていたよ。 スタート時は、レッドフックに行ってTシャツのシルクスクリーンをしたり、フーディをデザインしたりした。カットや縫製、自分のアパレルの作り方を理解しながら過ごして、本当に試行錯誤だったよ。〈Rochambeau〉の本格的なビジネスへの発展は、僕らの努力からきている。結局、成功する人々はやり遂げた人々だし、たとえ、そうすることに幸運を得た瞬間でさえも、自分たちの責務を果たしていたということだから。僕たちはたとえ苦しいときでさえも、いつもデリバリーできるように努めている。それがビジネスとして成立するか、僕らがわかっているかどうかは、自分たちのものをしたいという欲望に比べたら二の次なことなんだ。スタート時から大分変化したし、ブランドは何もないところから生み出すことができるし、可能性があるように見える。僕らは最初から外部の資金援助なしにブランドを経営している。何が人気かということよりもブランドの浮き沈みを見ることで僕らが信じている前進していくことへの信念を強くしてくれているよ。


デザイン

自分のブランドを立ち上げると決め、スタートしたら、次は生産の前にデザインをよく考える。服づくりやウェブサイトのためにデザイナーを雇うことはロジカルなステップのように見えるかもしれない。でも、初期の段階でブランドから見える共通のテーマは、すべてが基本的にできたのは我慢強さと友達のちょっとしたサポートからだっということだ。デジタル時代はすぐ利用できる情報に富んでいて、し好を同じくする多くの人々と際限なくつながることのできるツールを持っている。そして、デザインワークの多くが外部委託よりも社内で行われていて、くり返し現れるテーマを目にすることができる。これらのブランドの初期段階でおそらく一番顕著なトレンドは、成功までの途上で純粋に彼らが信じているものに対して、彼らがどれだけ情熱と愛情を受けているかということだ。


アパレルとウェブサイトのためのデザイナーを雇うことの経費とは?

Guillaume Philibert

これは本当に状況によるよね。僕のチームでは3人のデザイナーが働いてくれている。2人のジュニアデザイナーと1人のデザインコーディネーターのチーム。彼らの収入はみんな平等な金額になっている。これは一年前から始めたんだ。そのうちの1人は会社を設立してから2年間、僕のために働いてくれている。ウェブサイトはウェブデザインの会社につくってもらったから、そのために特には社内デザイナーを雇わなかったよ。

Tim & Dan Joo

経費は必要としているもの、どれだけ自分が多くのリソースを持つことができるかどうかで決まる。特に少ないリソースで多くのことをしなければならない初期段階ではね。今ある自分の技術やネットワークのつながっている人々の技術をどうやって利用する?自分(Dan)のバックグラウンドはウェブの開発で、Timはデザインだった。ブランディングには僕らの良き友達の「Gino Reyes」をパートナーとして、ブランドディレクターとしてなってくれるように招待した。僕らは自分たちの強みを知っていたから、僕らは多才なチームをつくることができた。でも一番大切なことは自分の会社のための自分のビジョンとミッションが何であるかにフォーカスし、正確にわかっているべきだということだよ。 自分のしたいことを正確にわかっていたら、プランはずっと楽になるからね。

Ouigi Theodore

ブランドを経営することってとても高くつくんだ。専属デザイナーはスタートアップ時の小さなブランドには普通はないオプションだよ。何年も僕らはフリーランスの人々と仕事してきたし、普通はデザインのビジネスを学びたいハングリーな人をフルタイムあるいはパートタイムでデザインアシスタントとして雇うんだ。

Terrence Kim

今は すべてのデザインワークは弟と自分で行っていて、インターンの小さなチームも抱えている。ラッキーなことに僕らは素晴らしい人を見つけたんだ。そのブランドを本当に信じていて、直接経験を得るために参加して、彼ら自身のクリエイティブなアイデアを僕らの会社へ投入してくれる人をね。ウェブサイトの制作は、〈Shopify〉や〈Squarespace〉といった素晴らしいプラットフォームがたくさんある。自分のブランドのサイトを美しく、しかもとてもわずかなコストでつくることができるんだ。それで僕らはShopifyというeコマースのプラットフォームのベーシックプランから2、3年前にオンラインストアをスタートさせた。今はその外部で新しいウェブサイトを開発している最中なんだ。僕らの最初のサイト/オンラインストアは、2時間でつくったもので、月々の経費は49ドルだよ。

Brandon Svarc

自分のコレクションでは自分でデザインしているから、この質問は当てはまらないね。専従の見事なパターンナーはいるよ。30年以上もジーンズのパターンをつくっているんだ。最初のウェブサイトは、シンプルで、面白くて、ユニークだったけど高くはなかったよ。試着のページでは、ビジターはモデルからパンツを引っ張って下ろすことができたから、みんなそれが大好きだったんだ!

Rav Matharu

自分で全部デザインしている。自分でサンプルもつくるし、ファブリックの仕入れや時々、投函なんかもする…。新しいビジネスとして、経費削減を継続的に行なうことは絶対不可欠だよ。服づくりの始めから終わりまで自分でできるということは本当に役立っている。僕らフルタイムのチームはParvと僕たちだけなんだ。だから、僕らは華やかとは言えない仕事もやらなきゃいけないんだ。

Benny Gold

雇用したり会社を育むには、隠れた経費がたくさんかかる。従業員税や給料に上乗せする費用などもある。ブランドが育てば育つほど、出費もかさむんだ。すべてにトレードオフが存在する。自分だけを支えればよかったときは物事はもっとシンプルだったけれど、ブランドとして大きくなって、成熟した今手にしている多くの素晴らしい機会や豊かにしてくれる関係性は、その当時の自分にはなかったものだよ。

Laurence Chandler

経費は常に変化している。どんなプロジェクトでも開発中のときに重要なことは、ビジネスの全体的な成功に危険を及ぼすようなものへ入れ込むようなことはしない、ということだ。見逃さなければならない機会もたくさんあった。初期段階で特に大事なことは自分自身で、そして仲間たちとでできることが多くあるということを知ることだ。僕らには幸運にもそういった 強いネットワークが、モデルやフォトグラファー、スタジオ、グラフィックデザイナー、アーティストといったつながりがあったんだ。1万枚の名刺とともに多くのブランドがローンチしては一年以内に消えていくのを見てきたけれど、つまり、どれだけ機転がきくかということだよね。機会に対してどう投資すればよいのかを学んで、常に点と点をつないでいくんだ。普通は受け取って、それに値する誰かのための予算がないところで、時間があるのだったら、僕らは彼らから受けた親切に報いるためにその人物を他のプロジェクトに推薦するべく常に努めていた。多くの人が彼らのコンタクトにとても用心深かったけれども、僕らはその対極のアプローチで良い人々とつながることで、いつも10倍のリターンがあるようだということがわかったよ。

ファッションブランドの初期費用」では6つのパートからなるシリーズ連載でブランドを立ち上げる際のビジネスとしての側面における疑問を掘り下げている。ここでは、事業計画を練り上げるところからスタッフを雇ったり、生産コストや流通にいたるまで、そのブランドをそのようにさせている込み入った事情や舞台裏で起きていることなど、〈Filling Pieces〉の「Guillaume Philibert」、〈Naked & Famous〉の「Brandon Svarc」、「Benny Gold」といったファッション業界の多彩な人物から、彼らが自身のブランドを何とか成長させて今の彼らとなるまでの経験を聞き出している。
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