閉場中の国立劇場を舞台に RANSHOU による展覧会「FUTURE HISTORY」が開催
『京鹿子娘道成寺』を軸に100点以上の作品や資料を通して歌舞伎舞踊・女形の〈系譜〉と〈型〉を紐解く。
舞踊家・振付師の藤間蘭翔が代表を務める「RANSHOU(ランショウ)」が、展覧会「FUTURE HISTORY 歌舞伎舞踊・女形の〈系譜〉と〈型〉」を、9月12日(土)と13日(日)の2日間にわたって東京・半蔵門の国立劇場にて開催する。
今回会場となるのは、建て替えのため閉場中の国立劇場・大劇場の舞台上。歌舞伎舞踊・女形の成立と継承を、演目や舞台表現だけでなく、文学、思想・宗教観、出版文化、浮世絵、衣裳、身体表現など複数の視点から見つめ直す展覧会となる。17世紀以降の古典籍や版本、浮世絵、舞台資料など100点以上を通して、その背後にある思想的・文化的・社会的背景を辿っていく。
本展の中心となるのは、1753年に江戸・中村座で初演された、歌舞伎舞踊・女形の代表作『京鹿子娘道成寺』。同作は僧・安珍と少女・清姫をめぐる道成寺伝説を背景に語られることが多い一方、その成立には当時の思想や宗教観、古典文学、鐘をめぐる伝承、演劇表現、さらには江戸の世相や17世紀以降に広く普及した木版印刷による出版文化など、さまざまな要素が複雑に重なっているという。
本展では『京鹿子娘道成寺』をひとつの“結晶点”として捉え、初期浮世絵をはじめ、鳥居派、勝川派、歌川派による役者絵、歌舞伎番付、長唄正本、浄瑠璃本、古典籍・版本、現在の歌舞伎舞台で実際に使用されている舞踊衣裳などを展示。さらに、歴史的資料との対話を通して藤間蘭翔がさまざまなジャンルのクリエイターと制作してきた現代作品も並ぶ。これらの基盤となる「RANSHOU Archives & Collection」は、藤間が10代の頃から自身の表現の根拠を探るなかで形成してきたアーカイブだという。
展示は全5セクションで構成。『京鹿子娘道成寺』を50点以上の版本や浮世絵などから読み解く「憂き世から浮世へ:聖性、物語、記憶、そして型」を皮切りに、役者や観客、劇場空間、身体と衣裳の関係に着目する「役者・舞台・観客 / 魂・身体・衣裳」、女形が表現してきた人間界と異界、情念、執着などを紐解く「生と死」、江戸時代に大奥などで行われていた女性による歌舞伎舞踊の歴史、そして藤間蘭翔 / RANSHOUによる現代の表現へと展開していく。
なかでも興味深いのが、古典を単なる“過去の遺産”として扱わない藤間の視点だ。「古典は、私にとっては常に今だった」と語る藤間は、一般家庭に生まれ、幼少期から専門的に歌舞伎舞踊、とりわけ女形を学んできた。本展では、そうした自身の身体感覚を出発点に、古典を女性のレンズを通した“2026年9月時点の古典”として提示する。
過去の資料を歴史として並べるだけではなく、それらがどのように視覚化され、“型”となり、人から人へと受け継がれ、現在の表現へつながってきたのか。“FUTURE HISTORY”というタイトルが示す通り、約300年にわたる女形の歴史を辿りながら、その先にある未来を見つめる試みとなりそうだ。
FUTURE HISTORY 歌舞伎舞踊・女形の〈系譜〉と〈型〉
会場:国立劇場 大劇場 舞台上
住所:東京都千代田区隼町4ー1
会期:2026年9月12日(土)〜13日(日)




















