4番目のクレドール ロコモティブ “Dawn Blue” が登場 ── 歴代4モデルを並べてみた

待望の新作を実際に試してもみた

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SEIKO(セイコー)〉は、1979年に誕生した知る人ぞ知る名作時計“クレドール ロコモティブ(CREDOR LOCOMOTIVE)”が、実はジェラルド・ジェンタ(Gerald Genta)によるデザインであったことを2024年5月に正式公表。それ以来、同モデルは年に1度のペースで新作が発表されている。

復活第1弾となったのは、2024年8月に登場したクレドール50周年記念モデル。世界限定300本という希少性もあり、瞬く間に完売した。続く2025年には、深みのあるグリーンダイヤルを採用した“ヘキサゴナルグリーン(Hexagonal Green)”が、限定数を設けない初のレギュラーモデルとして登場。そして2026年6月、その系譜に連なる4作目として加わったのが、“ドーンブルー(Dawn Blue)”である。

基本設計は昨年の“ヘキサゴナルグリーン”と共通だ。ケースを象徴する六角形モチーフをダイヤルへ落とし込み、蜂の巣のようなパターンを形成。その上から重ねられたストライプブルーは、角度によって表情を変える。

もっとも、ロコモティブの進化は色だけではない。1979年のオリジナルがクオーツとステンレススチールを採用していたのに対し、現行モデルは自動巻きムーブメントとブライトチタン製ケース&ブレスレットを採用。オリジナルのデザインコードを受け継ぎながら、素材とムーブメントは新たな時代に合わせて見直された。

ロコモティブは中古市場でも高い人気を集めており、新作が発表されるたびに注目を浴びる存在となった。正直なところ、もっと頻繁に新作が登場しても不思議ではない。しかし、そう簡単にはいかないらしい。その理由のひとつが、ジェンタらしい造形を支えるブレスレットにある。リンク同士をつなぐヒンジ部分には手作業による工程が多く含まれ、生産には想像以上の手間がかかるという。

新作を含む歴代4モデルを並べてみた。一見するとダイヤルカラー以外に大きな違いはないように見える。しかし細部を見比べると、その変遷は意外と興味深い。

まず注目したいのが12時位置のインデックスだ。1979年のオリジナル(左)は1本のみだが、復活後のモデル(中左、中右、右)は2本に変更されている。これは、どの角度から見ても12時位置を瞬時に判別できるようにするための仕様であり、実はジェラルド・ジェンタが描いたオリジナルスケッチにも見られるディテールである。

また、1979年のオリジナルと2024年の50周年記念モデルが、光が放射状に広がるようなダイヤル仕上げを採用していたのに対し、2025年以降のレギュラーモデルは、前述の通りケースデザインと呼応する六角形パターンへと変更されている。こうして並べてみると、1979年のオリジナルと新作“ドーンブルー”は、他のモデルに比べて光の表情が豊かで、角度によって印象が大きく変化することがわかる。

復活後は素材がブライトチタンへ変更されたことで、ブレスレットの色味もオリジナルよりわずかに濃く映る。しかし、どのモデルにも共通しているのは、ジェンタ作品らしい独特の存在感だ。ロイヤルオークやノーチラスとも通じるラグジュアリースポーツウォッチの文脈が、そこには確かに息づいている。

では、なぜブレスレットにはステンレススチールではなく、ブライトチタンが採用されたのだろうか。一般的なラグジュアリースポーツウォッチであれば、金属ならではの重厚感を魅力とする考え方もある。

その疑問を〈SEIKO〉に改めて尋ねてみたところ、返ってきたのは「クレドールはあくまで高級ドレスウォッチブランドだから」という答えだった。ロコモティブもスポーティになり過ぎることなく、エレガンスを保つことが重要。その思想を体現する素材として選ばれたのが、軽量なブライトチタンだったのである。

そう、この軽さは単なるスペックではない。ロコモティブにとっては、ドレスウォッチとしての品格を支える重要な要素なのだ。

そして今回、このクレドール ロコモティブ“ドーンブルー”を実際に数日間着用する機会を得た。まず驚かされたのは、やはりその軽さである。

普段から1979年のオリジナル ロコモティブを愛用している身としては、なおさらそう感じる。調整コマを含むフルブレスレット状態で、その重量はわずか79g。いちごで例えると、中サイズが約4個分の重さ。余計わかりにくい例えになってしまった(笑)が、一般的なステンレススチール製スポーツウォッチが120〜150g前後であることを考えると、79gがいかに軽量かがわかる。実際に腕に付けると、時計というよりブレスレットを着けているような感覚に近い。

普段、原稿を書いたりキーボードを叩いたりするとき、時計を外してしまうことがある。しかし、このロコモティブではそうした場面がほとんどなかった。存在を忘れるほど軽いのだ。そして一度ブライトチタンの軽さに慣れてしまうと、しばらくステンレススチールには戻れなくなる。快適なスニーカーを履き続けてしまう感覚に少し似ている。

今回はサッカーイベント「Hypebeast Cup」にも着けていった。スポーツ観戦はもちろん、突然の雨にも気兼ねなく付き合ってくれる。ヴィンテージウォッチにはない安心感と、現代の時計ならではの頼もしさ。その軽さも相まって、気づけば腕に載せる機会が増えていた。

さらに、ヴィンテージモデルとの大きな違いとして、現行モデルは夜光塗料がしっかり機能する。暗所での視認性は想像以上で、ラグジュアリーウォッチでありながら実用時計としての完成度も高い。

そして今回、個人的に最も気に入ったのが“ドーンブルー”という色だ。“ヘキサゴナルグリーン”と比べても光による表情の変化が大きく、角度によって濃紺にも鮮やかなブルーにも見える。ハチノスの陰影もより強調され、歴代ロコモティブの中でもひときわ立体感のあるダイヤルだ。

そんな“ドーンブルー”を眺めていて思ったのは、このモデルが歴代ロコモティブのなかでも、とりわけインディゴデニムと相性の良い1本ではないかということだ。光を受けて濃紺からブルーグレーへと移ろうその表情は、長年穿き込まれ、濃淡が刻まれたヴィンテージデニムにもどこか通じるものがある。

そもそもラグジュアリースポーツウォッチにおいて、ブルーは特別な色だ。黒は重厚さを強調し、白は時に無機質に映る。その点、ブルーは金属素材との相性に優れ、スポーティさとエレガンスを自然に共存させることができる。同じくジェラルド・ジェンタが手掛けたロイヤルオークやノーチラスにおいても、ブルーはブランドを象徴するカラーとして定着している。

そう考えると、この4作目となる“ドーンブルー”もまた、ジェンタが築いたラグジュアリースポーツウォッチの系譜を、クレドールなりの解釈で受け継いだ1本に見えてくる。もし財力が許すなら、ロイヤルオークのブルー、ノーチラスのブルー、そしてロコモティブのブルーを並べて所有してみたい。その中で最も気軽に手が伸びるのは、おそらくロコモティブだろう。わずか79gという軽さはもちろん、その気負いのなさもまた、この時計ならではの魅力だからだ。

ジェンタの名作たちが“憧れ”だとすれば、ロコモティブは“日常”である。そこにこそ、この時計の価値がある。

CREDOR LOCOMOTIVE
品番:GCCR995
価格:198万円(税込)
発売開始:2026年6月
限定数:なし
ケース・ブレスレット:ブライトチタン
ムーブメント:Cal.CR01(日差+15秒〜−10秒)
ガラス:サファイアガラス(内面無反射コーティング)
ケースサイズ:縦41.7mm × 横38.8mm × 厚さ8.9mm
裏ぶた:6本ねじ固定
防水性能:日常生活用強化防水(10気圧)
りゅうず:ねじロック式
MADE IN JAPAN

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