UK パンクを遡る ── 藤原ヒロシをクリエイティブ・ディレクターに迎えたアニバーサリープロジェクト OMOTESANDO HILLS 20th
UKパンク誕生から50年を踏まえて「inception (1976)」展の意図に迫る。
UK パンクを遡る ── 藤原ヒロシをクリエイティブ・ディレクターに迎えたアニバーサリープロジェクト OMOTESANDO HILLS 20th
UKパンク誕生から50年を踏まえて「inception (1976)」展の意図に迫る。
東京・表参道のランドマーク『表参道ヒルズ』が、開業20周年を記念したアニバーサリープロジェクト OMOTESANDO HILLS 20thを始動する。
本企画では、〈fragment design〉を主宰する藤原ヒロシをクリエイティブ・ディレクターに迎え、ファッション、アート、音楽を横断するプログラムを展開。5月2日(土)より、館内外で複数のイベントが順次スタートする。
館内の象徴的空間である吹き抜け大階段では、藤原のディレクションによるポップアップ ODORIBAを期間限定で開催。『V.A.(ヴイエー)』を手がける『JUN』が運営を担い、コラボレーションプロダクトなど本企画限定のアイテムがラインアップする。また、アーティスト 森本啓太による描き下ろしビジュアルも館内を横断して展開される。
加えて、本展の目玉とも言える1976年のUKパンク誕生から50年を辿るエキシビション inception (1976)も開催。藤原ヒロシのアーカイブを軸に、パンクの源流とその広がりを再考する内容となっている。
既存のビジュアルに新たな文脈を与えたプロダクト
会場には、既存のTシャツやグラフィックを改変したプロダクトが並び、プリントやメッセージの追加によって新たな意味を付与した事例が確認できる。寄宿学校の制服に由来するピーターパンカラーのシャツや、ライブフライヤーを全面に使用したアイテムなど、当時のデザイン手法が具体的に示されている。また、1976年前後の初期パンクから1980年代の〈Vivienne Westwood(ヴィヴィアン・ウエストウッド)〉の伝説的なショップおよびオリジナルブランド〈World’s End(ワールズエンド)〉期までの衣服を展示。ボンデージジャケットなどの代表的なアイテムに加え、実際に藤原ヒロシが中学時代に購入し着用していたセーター(スライド3枚目)や、セックス・ピストルズのドラマー Paul Cook(ポール・クック)が刺された際のダメージが残っているレザージャケット(スライド4枚目)なども展示。さらに、ブリーチ加工やスローガンを組み合わせたアナーキーシャツなど、思想を反映したデザインも紹介されている。加えて、パンク以前のカスタムTシャツや希少なジャケットも展示されており、スタッズや異素材を用いた改造表現が、後のパンクファッションへとつながる過程を示している。
雑誌、ポスター、映画資料に見るパンクの視覚的展開
また別セクションでは、Sex Pistolsを中心としたパンクカルチャーの周辺ビジュアルとメディアの広がりを紹介している。当時、日本では『平凡パンチ』などの週刊誌や雑誌がグラビアを掲載し、それらの写真がレコード会社のポスターにも転用されるなど、異なるメディア間でビジュアルが流通していたことが確認できる。あわせて展示されているのは、バンドが着用していた『Seditionaries(セディショナリーズ)』のショップの記録写真。同店はロンドン・キングスロードに位置し、現在も〈Vivienne Westwood〉の店舗として同地で営業を続けている。店内は意図的に荒廃した空間演出が施され、当時のパンクの世界観を体現していた。さらに、映画『The Great Rock ’n’ Roll Swindle』関連の資料も多数展示。ポスターやサウンドトラック盤、各シングルのプロモーションビジュアルに加え、劇中のアニメーション制作に使用されたセル画の実物も含まれる。各国で制作された公開ポスターも並び、地域ごとのデザインの差異が見て取れる。そのほか、レコード店頭用のプロモーション資材や、シド・ヴィシャス(Sid Vicious)のソロ作品、テストプレス盤など、解散後も継続した商業展開を示す資料も網羅。当時の新聞も展示されており、事件報道を含めた時代背景を補完する内容となっている。
そして本稿では藤原ヒロシにミニインタビューを実施。UKパンクの文脈から、本企画の背景を探る。
Hypebeast:今回の展示を見て、“ファッションとしてのパンク”ではなく、より本質的なパンクに触れている感覚がありました。
藤原ヒロシ:今回の「inception (1976)」展のきっかけは1976年にSex Pistols(セックス・ピストルズ)がデビューしてからちょうど50年というタイミングだったからですね。半世紀経ったのか、という感覚もあり、まとめて展示することにしました。パンクって、自分みたいに直接影響を受けた人もいれば、影響を受けた世代の別のアプトプットから影響を受けた世代もいる。パンクは、どんどん広がっていっています。DNAみたいに受け継がれていくというか。知らないうちに影響を受けている人も多いはずです。
1976年はやはり大きな転換点だったのでしょうか?
そうですね。当時はいろいろな出来事が重なっていて、今年はイギリスでも“パンク50周年”と言われていますし、起点として象徴的な年だと思います。
パンクと聞くと、いわゆるダメージのあるレザーなど、視覚的なイメージが先行しがちでした。
一般的なイメージだけじゃなくて、実はもっとエレガントだったり、緻密にデザインされているものも多いんです。DIY的にラフな印象もあるけど、根底にはしっかりした思想やデザインがある。そのバランスが面白いですね。
今回の展示物はどのように集められたのでしょうか?
当時自分で買ったものもありますし、その後もずっと集めてきたものです。安藤くんや細谷くんと一緒に形成しているコレクションで、実際に自分が着ていたものも含まれています。
今回の展示の、ヒロシさん的な見どころを教えてください。
ディテールですね。裏縫いだったり、切りっぱなしだったり、今では当たり前になっているデザインの源流がこの時代にあると思います。年代としては1976年前後から1980年代前半くらいまでをカバーしています。
商業施設という枠を超え、“メディア”として都市とカルチャーを接続してきた『表参道ヒルズ』。藤原ヒロシの視点を通して再構築される本プロジェクトは、パンクの系譜とともに、東京の現在地を静かに映し出す試みとなりそうだ。
inception(1976)
会期:5月2日(土)~5月17日(日)
時間:11:00~20:00
会場:表参道ヒルズ 本館B3F スペース オー
入場料:大人 2,000円(税込、現金不可)/学生および15歳~18歳 無料
※[R15]本展は、当時のパンクカルチャーを忠実に再現するため、一部に過激な表現が含まれるため、15歳未満の方のご入場は不可能
POP UP STORE「ODORIBA」
会期:2026年5月2日(土)~7月20日(月・祝)
時間:11:00~20:00
会場:表参道ヒルズ 本館吹抜け大階段




















