CarService 橋本奎 x SUGARHILL 林陸也 ── 10年の軌跡と現在地 | Interviews

『Hypebeast』企画 “Back To Film”で紐解く、両者が貫いてきたスタイル

ファッション
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10年。この時間は、決して単純な積み重ねではない。業態やビジネスモデル、個人のスキル、何を取っても、ひとつの姿勢を貫きながら同じ行為を反復し続けることには、並外れた持続力と覚悟が求められる。とりわけファッションの領域においては、その難易度はさらに高い。トレンドは絶えず更新され、SNSの浸透によって消費と評価のサイクルは加速度的に短縮されていった。瞬間的な話題性が優先される時代の中で、変わらず自身のスタイルを研ぎ続けることは、決して容易ではない。

林陸也の手掛ける〈SUGARHILL(シュガーヒル)〉と、橋本奎率いる〈CarService(カーサービス)〉。2人の歩みは、単なる表層的なイメージや『Instagram』上の断片だけでは語り切れない。ファッションとカーカルチャーという異なるフィールドを起点にしながらも、両者はそれぞれ独自の美学を築き上げ、ユースカルチャーに確かな影響を与え続けてきた。

本稿では、それぞれが歩んできた軌跡を辿りながら、次なる10年を見据えた現在地に迫る。同時に、目まぐるしく価値観が更新され続ける時代の中で、自らのスタイルを貫き続けることの意味とは何か。その言葉や姿勢は、これからのカルチャーを担うユース世代にとって、確かな示唆となるはずだ。“使い捨てカメラ”を託し、独自視点のフォトダイヤリー企画 “Back To Film”とともに、当日の熱量や空気感を感じ取ってほしい。


クリエイティブに対して嘘をつかないことですね。自分たちが本当に良いと思えるものを作るという感覚は、ずっと変わっていないです

Hypebeast:まず2人がSUGARHILL、CarServiceを始めようと思った動機は?

林陸也(以下、R):服そのものだけではなく、その背景にあるカルチャーやストーリーまで含めて表現したいという思いが強かったです。ヴィンテージや古いものにも惹かれていましたが、単なる再解釈ではなく、自分たちなりの視点で新しい価値として提示したい感覚がありました。

橋本奎(以下、K):元々車が好きだったのはもちろんなんですけど、いわゆる“車好き”だけの閉じたカルチャーではなくて、ファッションや音楽、街の空気感と自然に繋がるものとして表現したかったのが強いですね。

やり続けている中で、理想と現実のギャップを感じた瞬間はありましたか?

R:続けること自体の難しさはありました。作りたいものだけでは成立しない部分もありますし、ブランドとしての責任感も年々増えていったので。特に、クリエイティブだけに集中できる時間を確保することは、想像していた以上に難しかったです。

K:自分は基本的にポジティブなタイプなので、失敗したとしても「じゃあ次はどうするか」を考えることの方が多かったです。もちろん大変なことはありましたけど、その経験が次に繋がっていった感覚があります。

10年を通して守ってきた己のルールはありますか?

R:クリエイティブに対して嘘をつかないことですね。自分たちが本当に良いと思えるものを作るという感覚は、ずっと変わっていないです。時代や流れに必要以上に合わせすぎず、自分たちの感覚を信じることは常に意識しています。

K:無理に背伸びをしないことかもしれないです。等身大というか、自分たちのリアルな感覚を大事にすることは、昔から変わっていないですね。

逆に10年を通して変わった価値観はありますか?

R:昔より、服単体だけではなく、人との繋がりやコミュニティも含めてブランドを見るようになった気がします。ブランドを続けていく中で、周りにいる人たちを幸せにしたいという意識も強くなりましたし、人を雇うということに対する責任感にも繋がっていると思います。

K:僕は昔に比べると、他のヒト・モノに対する“尖り”みたいなものは少し薄くなったかもしれないです。良い意味で余計な力が抜けたというか。今は、より自然体で、自分たちのリアルな感覚を大切にしながら取り組めている実感があります。

10周年という節目で、お互いの活動をどう見ていますか?

R:CarServiceは車というカルチャーを独自の距離感で表現している印象があります。ファッションとクルマカルチャーをリンクさせている点は、他にない視点で面白いなと思っています。

K:SUGARHILLは服だけじゃなくて、背景の思想まで一貫しているイメージがあります。時間をかけて積み上げてきた説得力を感じます。

今回のコラボはどういった経緯で実現しましたか?

R:以前からお互いに共通する感覚はあると思っていて、自然な流れで今回の話に繋がっていきました。お互いに10周年というタイミングだったことも重なって、すごく良い流れで実現した感覚があります。

K:カルチャーの捉え方だったり、“かっこよさ”に対する感覚が近い部分は以前から感じていました。だから今回も、無理に何かを合わせるというより、すごく自然な感覚で進んでいった印象があります。

お2人のなかで“かっこいい服”と“かっこいい車”でリンクする点はありますか?

R:時間が宿るところかもしれないです。新品の状態が完成じゃなくて、その人が使い続けることで完成していく感覚は近い気がします。

K:完璧すぎないことですね。少しヤレていたり、その人の生活感が見えるものに惹かれます。

陸也さんはいすゞの117クーペに乗られていたり、奎さんはスニーカーを履き倒して自分のスタイルに合わせたりと、使い込まれたものへの美学があるように感じます。そういったアイテムや車に惹かれるようになった経緯はありますか?

R:ヴィンテージや古いものに触れていく中で、時間が経つことでしか出ない魅力を感じるようになりました。

K:スニーカーでも車でも、その人の癖や使い方が出るものが好きなんですよね。綺麗すぎるより、その人らしさがある方がかっこいいと思います。

コラボレーションにおける映像にも車が使われていたり、両者の価値観が互いに惹かれあっているような印象が見受けられました。互いに何か共通項を感じることはあったのでしょうか?

R:表面的なデザインだけじゃなくて、その奥にある空気感を大事にしている部分は近いと思いました。

K:どちらも“ライフスタイル”としてカルチャーを見ている感じはありますよね。

 

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今回のコレクションで、2人が共通して大事にしたかったムードや温度感はありましたか?

R:作り込みすぎない自然な空気感ですね。

K:リアルさはかなり意識していました。無理に飾りすぎないというか。

お互いの視点によって、自分だけでは生まれなかった発想はありましたか?

R:CarServiceの持つストリート感覚やコミュニティとの距離感は、自分たちだけでは出てこなかった部分だと思います。

K:SUGARHILLの細かいディテールへの向き合い方はすごく刺激になりました。

今回の協業でお互いに大変だったことはなんですか?

R:撮影中に車のバッテリーが上がってしまったことですね(笑)。結構大変ではあったんですけど、そういうハプニングも含めて、今回らしい空気感だった気がします。

K:俺は企画から撮影、ポップアップまで本気で楽しめました。各現場での空気感も良く自然体で進められたと思います。感謝です。ありがとう。

10年前の自分たちに何か伝えるとしたら、何を伝えたいですか?

R:思っているより時間はかかるけど、続けることにちゃんと意味があるということは伝えたいです。すぐに結果が出なくても、積み重ねた時間が後から繋がっていく感覚はあると思います。

K:今も変わらず、自分たちのスタンスで楽しく続けられているよ、とは伝えたいですね。

音楽、ファッション、カーカルチャーでも既に20代前半の動きは多くみられます。そんな若者たちにお伝えしたいことは?

R:流行だけじゃなく、自分が本当に好きなものを掘り続けてほしいです。

K:遠回りに見えることでも、自分の感覚を信じて続けることは大事だと思います。

最後に次の10年へ向けた抱負を教えてください。

R:これからも自分たちらしい形でカルチャーと向き合っていきたいです。流れに合わせるというより、自分たちが本当に良いと思えるものを積み重ねながら、長く続けていけたらと思っています。

K:とにかく継続していきたいです。無理に大きく変わろうとするというより、自分たちのペースで楽しみながら続けていけたらと思っています。

SUGARHILL
2016年に林陸也が設立したファッションブランド。ヴィンテージやカルチャーの背景を独自の視点で再解釈し、経年変化やストーリー性を重視したクリエイションを展開。デニムをはじめとしたプロダクトを軸に、国内外で支持を集めている。

CarService
橋本奎が手掛けるカーカルチャーをベースとしたブランド/プロジェクト。車を起点に、ファッションや音楽、ストリートカルチャーを横断する独自の視点で活動を展開。コミュニティやリアルな空気感を反映したクリエイションを展開している。

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