布から音が鳴る── HYSTERIC GLAMOUR 北村信彦が語るファブリックスピーカーの可能性 | Interivews
産総研が開発した“音の出る布”「ファブリックスピーカー」を用いたプロジェクトが国際ファッション専門職大学で発表。〈HYSTERIC GLAMOUR〉のデザイナー 北村信彦に、この新素材がもたらすカルチャーの可能性について話を聞いた
布から音が鳴る── HYSTERIC GLAMOUR 北村信彦が語るファブリックスピーカーの可能性 | Interivews
産総研が開発した“音の出る布”「ファブリックスピーカー」を用いたプロジェクトが国際ファッション専門職大学で発表。〈HYSTERIC GLAMOUR〉のデザイナー 北村信彦に、この新素材がもたらすカルチャーの可能性について話を聞いた
ファッション・ビジネスの未来を担う人材育成を行う国際ファッション専門職大学が、2026年3月10日(火)、新宿の総合校舎コクーンタワーにて「ファブリックスピーカー(音の出る布)」を内蔵したプロダクトの成果発表会を開催した。
このプロジェクトは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)が開発した特許技術「ファブリックスピーカー」をベースに、学生たちが自由な発想でファッションやインテリアの試作品を制作する産学連携プログラムとして2025年よりスタート。薄く柔らかい布素材でありながら音を発することができる新技術を用い、カーテン、ラグマット、クッション、ヘッドウェアなど、さまざまなプロトタイプが披露された。
会場では、竹林をモチーフにした“音の出るカーテン”や、宇宙をテーマにしたラグマット、音を内蔵した帽子など、学生ならではのユニークなアイデアが次々と登場。そんな中、日本を代表するストリートブランド〈HYSTERIC GLAMOUR(ヒステリックグラマー)〉のデザイナー 北村信彦も本プロジェクトに参加し、トートバッグやキャップ、ぬいぐるみなど、ファブリックスピーカーを内蔵した試作品を発表した。
〈HYSTERIC GLAMOUR〉はロックやサブカルチャーと深く結びついたブランドとして知られるが、「音の出る布」という新しい素材は、北村にとっても初めての体験だったという。そこで『Hypebeast Japan』は、今回のプロジェクトについて北村にミニインタビューを実施。ファッションと音楽、そして未来のカルチャーについて話を聞いた。
昔ながらの手作業とか、素材とか、そういうものと組み合わせることで、もっと面白い表現ができるんじゃないかと思います
Hypebeast:今回の“音の出る布”を使ったプロジェクトは、これまでのデザイン経験の中でも珍しいものだったのでは?
北村信彦:そうですね。長くデザイナーをやっていますけど、「布から音が出る」という発想は初めてでした。音楽とファッションが結びつくケースはこれまでにもありましたけど、布そのものがスピーカーになるというのは、今まで考えたことがなかったですね。最初に小さなサンプル生地を見せてもらったとき、試しに自分が持っていたトートバッグに貼ってみたら、本当に音が出たんですよ。「これ、いけるじゃん」って思って、そこからアイデアが広がっていきました。
今回、トートバッグや帽子などの試作品を制作されていますが、商品化の可能性は?
もちろん商品化もできると思います。でも僕としては、まずは店舗空間とか、インスタレーションのような形で使ったら面白いんじゃないかと思っています。例えば、フィッティングルームのカーテンから音が出たり、玄関マットから音が聞こえたり。普通のスピーカーが見えないのに音が鳴るという体験って、かなり新しいですよね。海外のアーティストの友人にも少し話してみたら興味を持ってくれていて、インストアの展示やアート的なプロジェクトでも使えそうだなと感じています。
今回のプロジェクトで印象に残ったことは?
最近はAIがすごく進化していて、デジタルで何でも作れる時代になっていますよね。でも、布から音が出るというアイデアは、すごくフィジカルな発想なんです。今回展示したぬいぐるみも、実は90年代から工場で余った生地を集めて作ってきたシリーズの続きなんです。そこにこの技術を入れるだけで、また新しいストーリーが生まれる。デジタルだけじゃなくて、昔ながらの手作業とか、素材とか、そういうものと組み合わせることで、もっと面白い表現ができるんじゃないかと思います。
この技術の未来についてどう考えていますか?
例えば、お寺や神社のような場所で、スピーカーが見えないのにお経が聞こえてくるとか。自然の空間の中で、どこから音が鳴っているのかわからない。そういう体験って、日本の美意識ともすごく相性がいいと思うんですよね。これが単なる量産プロダクトになるだけじゃなくて、日本の伝統文化や空間と組み合わさって、新しいカルチャーとして広がっていくと面白いんじゃないかなと思っています。
──ありがとうございました!
布そのものがスピーカーになる──。そんな新しい素材は、従来の「音を出す装置」という概念を大きく揺さぶる。今回のプロジェクトでは、竹林をモチーフにしたカーテンや、宇宙をテーマにしたラグマットなど、空間そのものが音を発するユニークな試作品が次々と披露された。ファッションブランドのデザイナー、研究者、学生、そして日本の伝統工芸。異なる領域が交差することで生まれた「音の出る布」は、ファッションの未来だけでなく、空間体験そのもののあり方を更新していくかもしれない。
北村信彦
ファッションデザイナー。東京モード学園を経て1984年に〈HYSTERIC GLAMOUR〉をスタート。ロック、アート、ヴィンテージ、サブカルチャーを横断する独自の美学で、日本のストリートファッションを代表するブランドへと成長させた。音楽カルチャーへの深い造詣でも知られ、ファッションと音楽、アートが交差する表現を長年にわたり発信している。























