デムナによる Gucci 2026年秋冬コレクション
ケイト・モスらアイコンから、フェイクミンクやネットスペンドといった新世代までがランウェイに集結
「私の考えるGucciは、ヘリテージとファッションが共存する場所だ」と、ランウェイデビューに先駆けて公開したロングレター。その中でデムナ(Demna)は次のようにも語る。「ここでは両者は対立するものではない。恋人同士のような関係だ。ふたつが同調し、互いを養い合うときにのみ、Gucciは存在する」。
2026年秋冬のミラノ・ファッション・ウィークでもっとも注目を集めたのが、デムナによる〈Gucci(グッチ)〉の初ランウェイショー。それは、強烈なインパクトを放った。薄暗い空間の中央には、鋭い白い光のラインがランウェイを照らす。観客席の両側には、ストロボに照らされたローマ神話の神々の白い彫像が立ち並び、テクノとソフトトラップが大音量で鳴り響く。
その緊張感ある空間演出は、ヘリテージとファッションを対等に置くデムナのビジョンを体現していた。そしてキャスティングも同様だ。ケイト・モス(Kate Moss)、カーリー・クロス(Karlie Kloss)、エルザ・ホスク(Elsa Hosk)といったアイコニックなスーパーモデルが、フェイクミンク(Fakemink)やネットスペンド(Nettspend)ら新進気鋭の才能と並んで歩く。フロントロウにはロメオ・ベッカム(Romeo Beckham)とドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)の姿も見られた。
「昨年はGucciの“グッチネス”を理解することに没頭した。その研究の断片を『La Famiglia』や『Generation Gucci』コレクションで共有してきた」とデムナは説明する。トム・フォード(Tom Ford)期に着想を得た2026年プレフォール同様、2026年秋冬のミニマリズムは、〈Gucci〉を官能的に押し上げたフォード時代を彷彿とさせる。
ここには、〈Balenciaga(バレンシアガ)〉で見せたような極端なオーバーサイズはない。メンズはタイトなTシャツにラミネート加工のスリムなトラウザー、レザージャケットを合わせ、ウィメンズはミニブレザーやスキニージーンズ、膝丈スカート、煌めくボディコンシャスなドレスが登場。イタリアンテーラリングやフィレンツェのフローラルモチーフ、贅沢なファー、モノグラム入りダッフルからミニクラッチまで揃うクラシックなバッグ群など、ヘリテージは随所に息づいている。
一方でフットウェアは、伝統的な〈Gucci〉のシグネチャーをトレンド志向のシルエットへ再解釈。超スリムなスポーツローファーにはスニーカーのようなオーバーレイを施し、ダメージ加工を加えたモノグラムアッパーが、レースレスかつフラットソールのブーツを強調する。
デムナが手がける〈Gucci〉が驚くほど日常的に“着られる”ように見えるのは、明確な意図があってのことだ。彼は、このブランドを“メゾン”と呼ぶことを拒む。なぜなら、オートクチュールはもともと彼らのフィールドではなかったからだ。「〈Gucci〉は感情だけでなく、実用的なプロダクトでもあるスーパーブランドだ。ドラマであり、情熱であり、過剰であり、矛盾であり、愛と憎しみ、勝利と崩壊、誇りと脆さ、忍耐、混沌、そして天才性を内包している」。
〈Gucci〉2026年秋冬の全貌は上のギャラリーからチェックを。
ブランド:Gucci
シーズン:2026年秋冬






















