ANCELLM 2026年秋冬コレクション
岡山・児島の背景と職人技を基盤に、経年変化そのものをデザインするコレクションを披露
⼭近和也の手がける〈ANCELLM(アンセルム)〉が、横浜『BankPark YOKOHAMA』にて2026年秋冬コレクションのランウェイショーを開催した。ブランド設立5年目という節目を迎えた2026年、春夏シーズンに続き秋冬でもランウェイ形式での発表を実施。1年を通じてブランドのアティチュードを提示していくという強い意志のもと、本ショーは行われた。
〈ANCELLM〉は、明確なシーズンテーマを掲げるのではなく、その時々の感覚や試行錯誤の積み重ねから生まれるプロダクトを重視するブランドだ。日常の中で感じる違和感や美しさ、そして素材や加工の可能性を探るプロセスそのものが、コレクションの根幹を形成している。
今季においても、ブランドコンセプトである「視点を変えた経年変化の提案」を軸に、着用と時間の経過によって変化していく衣服の表情にフォーカス。手を加え、判断を重ねながら“経年変化そのものをデザインする”という思想が、コレクション全体を貫いている。
ランウェイでは、幾重にも重なり合うカラーグラデーションや、糸・生地が織りなす奥行きのあるテクスチャーが印象的だった。これらはすべて、岡山・児島の生産背景と職人との密な連携によって生み出されたもの。着用を重ねることでさらに変化していくことを前提に設計された素材は、完成された状態ではなく“未完成の美しさ”を宿している。
カッティングやシルエットにおいても、落ち感やバランスを重視しながら、着る人の日常に自然と溶け込む設計に。ブランドが掲げる「服は完成した瞬間ではなく、日常の中で変わり続けるもの」という思想が、具体的なプロダクトとして提示された。
また、今季のスタイリングには色彩の要素も強く反映。とはいえ過度な主張ではなく、あくまで生活の延長線上にある服としてのリアリティを保ちながら、着る人それぞれの時間とともに完成していく色の余白を残している。
“未完成であること”を肯定し、その過程に宿る偶然性や変化を美として捉える〈ANCELLM〉。積み重ねてきた時間とこれからの時間、その両方を内包するコレクションは、ブランドの現在地と未来を静かに示すものとなった。
ブランド:ANCELLM
シーズン:2026年秋冬


















