東京デザイナーに訊く10の質問 ── YOKE 編
「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」期間中の短期連載企画。今回は〈YOKE〉デザイナーの寺田典夫をフィーチャー
東京デザイナーに訊く10の質問 ── YOKE 編
「Rakuten Fashion Week TOKYO 2026 A/W」期間中の短期連載企画。今回は〈YOKE〉デザイナーの寺田典夫をフィーチャー
東京のファッションシーンにとって、いまや年に2度訪れる風物詩となった「Rakuten Fashion Week TOKYO(楽天ファッション・ウィーク東京)」。ストリートとハイエンド、伝統と革新が交錯するこの舞台は、単なるコレクション発表の場ではなく、次世代の価値観や美学がリアルタイムで更新される現場だ。今季も、国内外から注目を集める全33ブランドが参加し、東京ならではの熱気を放っている。そんな中、『Hypebeast』では独自の視点でフィーチャーすべきブランドをセレクト。単なるルックの紹介やトレンドの分析にとどまらず、デザイナー自身の言葉からそのクリエイションの核に迫る短期連載企画を敢行する。題して“東京デザイナーに訊く10の質問”。創作の源泉から日常のインスピレーション、そして未来のビジョンに至るまで、彼らのパーソナリティを掘り下げることで、ランウェイの向こう側にあるストーリーを明らかにしていく。
〈YOKE(ヨーク)〉デザイナーの寺田典夫は、文化服装学院デザイン専攻科を卒業後、国内ブランドやセレクトショップでデザインや生産管理を経験。2016年に独立し、2018年秋冬シーズンよりスタートさせた。ブランド名の〈YOKE〉は、「繋ぐ」「絆」「洋服の切り替え布」などを意味する言葉に由来し、“つなぐ”という概念をブランドの核に据えている。一着の服が完成するまでには、原料、糸、生地、裁断、縫製、仕上げといった数多くの工程が存在し、その過程には多くの人々の仕事が連なっている。〈YOKE〉はそうした“人と人”“人とモノ”の関係性に意識を向け、デザインから生産に至るまで自身の目の届く範囲での丁寧なものづくりを大切にしている。素材やパターンワークへのこだわりを軸に、クラシックで普遍的なアイテムへコンテンポラリーな解釈を加えることで、性別を問わず着用できる洗練されたユニセックスウェアを提案。静かな存在感と緻密な設計が共存するコレクションは、国内外で支持を集めている。
Q1.2026年秋冬シーズンのコレクションテーマを一言で表すと?
“BEYOND FORM”。
Q2.今回のデザインを進める上で、特にインスピレーション源となったものは?
今シーズンのインスピレーション源は、シュルレアリスムを代表する彫刻家であり画家のジャン・アルプ(Jean Arp)です。彼が唱えた「自然界に直線はない」という概念に基づき、“BEYOND FORM”というテーマに掲げ、有機的な曲線やシュルレアリスムの偶然性が生み出すシルエットを多面的に解釈し、それらを現代の心地よい日常着へと落とし込みました。
Q3.2018年にYOKEを立ち上げた背景や、ブランドを始めたきっかけを教えてください。
文化服装学院を卒業後、複数の企業や国内ブランドで企画・デザイン、生産管理、そして販売までを経験しました。その歩みの中で実感したのは、一着の服が完成する背景には、驚くほど多くの人の手と想いが関わっているという事実です。ブランドを立ち上げる際、単に形をデザインするだけでなく、原料から糸、生地、裁断、縫製、仕上げ、そして物流に至るまで、すべての工程に携わる人々を「つなぐ」ものづくりを志しました。服が生まれる「川上」から、お客様に届く「川下」までを一本の線でつなぐこと。それが自分たちのやりべきことであるという想いから、2018年にYOKEをスタートさせました。
Q4.ブランド名の由来でもある「つなぐ」というコンセプトは、現在のクリエーションにどのように反映されていますか?
ブランド名の「YOKE」は、服の切り替えパーツである「ヨーク」に由来し、「繋ぐ」「絆」といった意味を込めています。現在のクリエイションにおいては、“日常とアート”、“作り手と着る人”、“クラシックとコンテンポラリー”、“ローカルとグローバル”といった、一見対極にある要素を調和させ、それらをお客様へと“繋いでいく”こと。そのプロセス自体が、YOKEのフィロソフィーだと考えています。
Q5.ファッションに興味を持ったのはいつ頃ですか?
高校3年生の時に友達に連れられて行った地元千葉県の柏の古着屋に行ったことがきっかけです。
Q6.使用した生地や素材において、特にこだわったポイントは?
今季は、これまでで最も「尾州」のウール素材を多用したシーズンとなりました。なかでも、高密度に織り上げたウールカシミヤのダブルフェイスメルトンは、今季の象徴的な美しい曲線のシルエットを生み出すことが出来た素材の一つです。また、ツイード素材に感覚的なシワを施してボンディングし、さらにニードルパンチを加えたテキスタイルも今季を象徴するピースです。あえて「偶然性」を狙うことで、固定されたシワやランダムなラインは、2つとして同じものが存在しない、唯一無二の表情の素材です。
Q7.尊敬するデザイナー、またはライバルだと感じている(あるいは共感する)デザイナーはいますか?
尊敬するデザイナーはdoubletの井野将之さんですね。既存の枠にとらわれない圧倒的なクリエイティビティと、見る人を驚かせ、楽しませるというサービス精神にはいつも大きな刺激を受けています。ジャンルやアプローチは違いますが、毎シーズンプロダクトに対しての向き合い方がすごく、テーマの深掘り方と1点1点アイテムの強さ、ファッションを通して新しいコミュニケーションを生み出そうとする姿勢には非常に刺激を頂いています。
Q8.東京ファッションウィークという舞台で発表する意義をどのように感じていますか?
東京で発表することは、日々共にものづくりに励んでいる生地屋や工場の皆さんと一緒に、世界へ向けてブランドのクリエイションを発信するためにとても重要な場であると考えています。また、ランウェイという場所は、ブランドの持つ空気感や素材の質感を、五感を通してダイレクトに体感できる非常に意義のある舞台だと思います。
Q9.今季のコレクションを通して、観客や着る人にどんなメッセージを届けたいですか?
今季は“BEYOND FORM”というテーマを掲げ、抽象芸術が持つ“偶然の美しさ”を服に落とし込みました。決まった正解があるわけではなく、着る人がその時の気分でシルエットを変えたり、素材の凹凸やシワを楽しんだりすることで、自分だけの「形」を見つけてもらえたら嬉しいです。
Q10.YOKEとして今後の展望、または挑戦してみたいことはありますか?
今後もパリでのランウェイ発表を続け、数シーズンのうちにパリの公式スケジュールに入ることが今の目標です。それは同時にビジネスとしても成長していかないといけないと思っています。また数年以内に海外や国内でのリテール店舗も作りたいとも考えています。少しでも多くの方にYOKEの世界観が伝えられる場を増していきたいです。



















