MONCLER GRENOBLE 2026年秋冬コレクション──月明かりのロッキー山脈に響いた“西部劇”の旋律
2024年のスイス・サンモリッツ、2025年のフランス・クールシュヴェルに続き、〈MONCLER GRENOBLE〉は3シーズン連続の雪山ランウェイをアメリカ・アスペンで開催した
2010年に誕生した〈Moncler(モンクレール)〉のハイパフォーマンスライン〈MONCLER GRENOBLE(モンクレール グルノーブル)〉。その真価を最も雄弁に語るのが、実際の雪山を舞台に行われるランウェイショーだ。2024年のスイス・サンモリッツ、2025年のフランス・クールシュベルを経て、今回選ばれたのはアメリカ・コロラド州アスペン。ブランドにとってアメリカで初となるショー開催であり、同時に3シーズン連続の極寒雪山ランウェイでもある。
ゲストはヘルメットを装着し、スノーモービルで夜の森を抜けてショー会場へと向かう。会場は標高およそ2,500メートル。人工的な演出よりも、自然そのものへの没入感が強く印象に残る導線だ。月明かりがロッキー山脈の稜線を照らし、手つかずのモーグルバーンがランウェイを縁取る。アルプスの森を想起させる光のプロジェクションが周囲に浮かび上がり、ヨーロッパとアメリカ、ふたつのマウンテンカルチャーが交差する象徴的な風景が立ち現れた。
そして、ショーの1曲目として流れたのは、映画『荒野の用心棒』の“さすらいの用心棒”。この選曲が示す通り、今季の〈MONCLER GRENOBLE〉は、これまで以上にアメリカンなムードを強く打ち出している。
コレクションは、コロラドの広大な自然、1950年代アメリカの洗練されたエレガンス、そしてブランドが長年培ってきた高い機能性とスタイルのヘリテージを融合させたもの。ウエストを絞り、ボリュームを持たせたクラシックなシルエットは、ダウンのキルティングによって再構築され、過去と現在をシームレスにつなぐ。
アスペンを象徴するリーフモチーフは、プリントやキルティング、ニット、刺繍、ジャカード、レーザーカットなど多彩な技法で展開。移ろう光や風景はカラーパレットや素材選びにも反映され、再構築されたワックスドコットンやテクニカルデニムといったタフな素材が、雪山におけるリアリティを支えている。ウエスタン調のパイピングやフリンジのディテールなど、随所にアメリカンカジュアルの要素が忍ばされているのも印象的だ。
機能面でも、〈MONCLER GRENOBLE〉の中核をなすハイパフォーマンス性は健在。防水性・防風性・透湿性を備えたスキーおよびスノーボードギアは、過酷な環境下での動きを想定した構造となっている。なかでも注目を集めたのが、ブランドアンバサダーであるショーン・ホワイト(Shaun White)の〈WHITESPACE(ホワイトスペース)〉とのコラボレーションによるスノーボード。新たなカラーバリエーションで登場し、パフォーマンスとカルチャーの結節点を示した。また、〈Moon Boot(ムーンブーツ)〉とのコラボブーツも引き続き登場し、雪山における機能とファッションの融合を象徴する存在感を放っていた。
来場ゲストの顔ぶれも、このショーの性格を雄弁に物語る。ジェニー(BLACKPINK/Jennie)をはじめ、新田真剣佑、ショーン・ホワイト、生沢舞、ヴァンサン・カッセル(Vincent Cassel)、エミリー・ラタコウスキー(Emily Ratajkowski)、オーランド・ブルーム(Orlando Bloom)、エイドリアン・ブロディ(Adrien Brody)、ダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)ら、世代やジャンルを越えたアイコンたちが集結。過剰な演出に頼ることなく、「山」と「人」に真正面から向き合ったからこそ、ブランドの奥行きが際立った。
サンモリッツ、クールシュヴェル、そしてアスペン。雪山という極限の舞台で3度のランウェイを重ねることで、〈MONCLER GRENOBLE〉は、ハイパフォーマンスウェアの概念を更新し、スノーリゾートスタイルをラグジュアリーへと引き上げてきた。アメリカの雪原に鳴り響いた西部劇の旋律は、その新章の幕開けを静かに、しかし確かに告げている。アメリカンカルチャーとスノーマウンテンカルチャーに心を掴まれてきた者ほど、忘れがたい余韻を残す一夜だった。
ブランド:MONCLER GRENOBLE
シーズン:2026年秋冬






















