松山智一が手がけた“うまい棒”が115万円で落札
『松山智一展 FIRST LAST』にあわせて制作され、1本10万円、限定50本で販売されたうまい棒が10カ月ぶりに市場に登場
ニューヨークを拠点に活動する現代美術家 松山智一が手がけたアート作品「うまい棒《げんだいびじゅつ味》」が、1月25日に開催されたSBIアートオークション主催の「第76回 SBIアートオークション|Modern and Contemporary Art」に出品され、バイヤーズプレミアム込みで115万円で落札された。
本作は、2025年3月から5月にかけて開催された個展『松山智一展 FIRST LAST』のサテライト企画の一環として誕生したもの。国民的駄菓子として親しまれてきた「うまい棒」を展開する「やおきん」と松山が共同開発し、“食べるもの”ではなく“鑑賞するもの”として再定義された。(※その際のインタビューはこちら。)
その際の価格は、1本10万円(税別)。美術品としての性格を明確にするため、作品は開封できない透明のアクリルボックスに収められており、パッケージに印刷された線画のみを松山自身が描き下ろしている。それ以外は、あくまで私たちが知る「いつものうまい棒」と同じ、という点も示唆的だ。
限定50本で販売された《げんだいびじゅつ味》は発売後すぐに完売。大量生産・大量消費の象徴とも言える駄菓子を、限定性と高額性を持つアート作品へと転換するこの試みは、アートと消費社会、価値の所在をめぐる問いを鋭く投げかけた。今回のオークション結果は、そのコンセプトがマーケットにおいても強い説得力を持ったことを示す象徴的な出来事と言えるだろう。日常に深く浸透したプロダクトを通じて、現代美術の価値や制度そのものを可視化してきた松山智一。1本のうまい棒が115万円で落札されたという事実は、作品そのもの以上に、私たちが「価値」をどこに見出しているのかを改めて考えさせる出来事となった。

















