_J.L-A.L_ x HOKA が紡ぐフットウェアの新章 | Interviews
最新コラボフットウェア Mafate X の制作秘話をジャン=リュック・アンブリッジと〈HOKA〉のキーパーソンが語る
英ロンドンを拠点とするブランド〈_J.L-A.L_(ジェイラル)〉は、今日のメンズウェアの世界におけるダークホース的な存在だ。過去に〈Goldwin 0(ゴールドウイン ゼロ)〉に参加した経歴を持つデザイナー ジャン=リュック・アンブリッジ(Jean-Luc Ambridge)の手掛ける同ブランドは、素材やテクノロジーに対するユニークな着眼点と、独自のカッティング技術によって生まれるプロダクトが世界中でカルト的な支持を獲得し、近年最も注目すべきメンズウェアブランドのひとつとして頭角を表している。そんな〈_J.L-A.L_〉が、〈HOKA(ホカ)〉とのコラボレーションを再び実現させた。
ジャン=リュックは自身のブランドを立ち上げる以前、既に〈HOKA〉のグローバル・コラボレーション&パートナーシップ担当 シニア・ディレクター トーマス・シカナ(Thomas Cykana)と出会い、プロジェクトを進行していたという。2023年初頭、二人は最初のコラボレーションとして、ハイブリッドアウトドアブーツ Tor Ultra(トゥー・ウルトラ)を再構築した2モデル(HI & LOW)を発表。そして今夏、このパートナーシップの第2章が幕を開ける。
今回のコラボレーションモデルのベースとなるのは、〈HOKA〉のテクニカル・トレイルランニングシューズ Mafate X(マファテ・エックス)。〈_J.L-A.L_〉は同モデルの持つパフォーマンスを重視しつつも、繊細なデザインアプローチを通じてライフスタイルとスポーツという2つの世界を融合させたコラボシューズを制作。この新作の全貌を掘り下げるべく、ジャン=リュック・アンブリッジ、トーマス・シカナの両名に話を聞いた。
Hypebeast:最初の_J.L-A.L_ x HOKAのコラボレーションモデルは、両ブランドのファンから高い評価を受けました。そもそも、どのようにして二人は出会ったのですか?
トーマス・シカナ(以下、T):ジャン=リュックがアパレルのデザインを始め、パターンを手作業でカットしていた頃に、私は彼にコンタクトを取りました。彼のセンスやシルエットの感覚は初期から明らかに際立っていました。2023年1月、_J.L-A.L_のウェブストアがオープンしたその日にHOKAとの初コラボレーションを発表できたのは、本当に幸運でした。彼がTor Ultraを新たにデザインしてくれたおかげで、パリ・ファッションウィークも成功に終わりました。
ジャン=リュック・アンブリッジ(以下、J):いまトーマスが話した通り、僕たちが繋がったのは自分のブランドを立ち上げる前でした。彼がInstagramのDMで連絡をくれて、一緒に何かやろうという話になったんです。そしてそのプロセスの中で、_J.L-A.L_というブランドが生まれました。ですから、この文脈でコラボレーションを発表するのは自然な流れでした。
第2弾のコラボレーションを始めるにあたって、最初に考えたことは何でしたか?
J:今回のプロジェクトの出発点は、「パフォーマンス」と「シルエット」でした。見た目の美しさだけでなく、本質的な価値を持ったプロダクトを作りたかったんです。僕はトレイルランナーではないけれど、山で過ごす時間は長いし、トレイルランにもよく行きます。このシューズは自分が実際に使うだろうなと感じられるし、実用性の面でも人々にとって意味のあるものになっていると思います。
T:HOKAは技術的に優れたプロダクトに慣れ親しんでいるので、革新的なシューズを選ぶのは当然の選択でした。Mafate Xは、HOKAのラインアップの中で初めてカーボンファイバープレートを搭載したモデルなので、このパートナーシップに最適な候補だったんです。
Mafate Xが今回のコラボモデルのベースとして優れている点は何だと思いますか?
T:Mafate Xは、HOKAの象徴的なトレイルランニングスタイルをプロポーションやフォルムで表現しています。ジャン=リュックによって反射素材やシューレースのディテールが強調されたことで、特別な1足になりました。
J:僕にとっては、Mafate Xの素材の質感や構造の多様性が魅力でした。視覚的にもっと発展させる余地が多くあって、さまざまな素材や技法にフォーカスするのが楽しかったですね。
このシューズを履く人に、どんな感覚を味わってほしいですか?
T:このシューズを履くことで、たとえ一瞬でも自分の殻を破って未知の世界へ一歩踏み出す、そんな体験をしてもらえたら最高ですね。HOKAは「人を動かす」ことを理念にしているブランドなので、今回のコラボは、フィジカルな意味だけでなく、創造性や感情の領域にも踏み込むという、私たちの姿勢を表現しています。テーマは「From Earth & Water(大地と水から)」。伝統的な素材を使いながら視点を再構築するというのも、トレイルランニングを超えた「動き」の意味を示していて、とても美しい表現だと思います。
J:もちろん、そういったコンセプトはあるんだけど、単純にこのシューズを楽しんでもらえたらうれしいですね。見た目でも、パフォーマンスの面でも。
一般的に、HOKAにとってコラボレーションはどのような意味を持っていますか?
T:我々にとってコラボレーションは、ブランドを新しい場所へと導き、より高みへと連れていってくれるものです。コラボレーターたちはHOKAというブランドの本質を明らかにし、私たちだけでは見つけられなかった新たなチャンスを引き出してくれるんです。
今回のシューズは、どの_J.L-A.L_のアイテムと特によく合うと思いますか?
J:このシューズは、_J.L-A.L_の2025年秋冬コレクションと連動してデザインしました。カラーパレットは今季のさまざまな要素からインスピレーションを受けていますが、同時にMafate Xのために僕らが構築していた内的ストーリーとも一致するようになっています。
_J.L-A.L_がHOKAのパートナーにふさわしい理由は何だと思いますか?
T:_J.L-A.L_は、ディテールへのこだわりと、型にはまらないユニークな感覚を持っていて、HOKAと完璧にマッチしています。パターンメイキングや装飾的なトリム、洗練された機能美などが彼の強みだと捉えていますので、まさに理想的なパートナーシップです。
HOKAは、_J.L-A.L_にとってどのような存在ですか?
J:僕はずっとHOKAをリスペクトしていました。彼らのデザインプロセスやアプローチは常識にとらわれないもので、それをずっと貫いてきたんです。その姿勢が本当の意味でのイノベーションを生み出しているし、流行のノイズにも惑わされない強さを感じます。僕もデザインに対して同じような献身を持ち続けたいと思っています。
〈_J.L-A.L_〉x〈HOKA〉Mafate Xは、8月21日に〈_J.L-A.L_〉の公式サイトにて先行販売を実施後、8月22日より〈HOKA〉の公式サイトおよび世界の一部取扱店舗にて販売開始。カラーは2種を展開し、価格は各250ドル(*日本での販売価格は40,700円、税込)。また、今回のキャンペーンビジュアルに作品を提供した3名のアーティストによるエキシビジョンが、ロンドンの『Gathering Gallery(ギャザリング・ギャラリー)』にて8月22日~24日(全て現地時間)の期間に開催予定だ。











