“飾らないスタイル”を体現した IO 初の単独日本武道館公演「JUST SHOW」をレポート
彼のスタイルが色濃く反映されたMC一切なしの1時間半をプレイバック
2月13日(木)、デザイナー非公開のアパレルブランド〈VALLAD(バラッド)〉による初の主催ライブイベント「VALLAD PRESENTS “RYDE ROMANCE”」にて、自身初の単独日本武道館公演「JUST SHOW」の開催およびニューアルバムをリリースする予定であることを発表し、シーンの話題をさらったラッパー IO(イオ)。そこから約5カ月の間、大型フェスへの出演や客演での参加はあったものの、ニューアルバムの正式な発売日などは明かされてこなかった。しかし、武道館公演を目前に控えた頃、突如として6月中旬にニューアルバム『JUST ALBUM』のデモ・リスニングパーティーを実施し(その様子はこちらよりチェックしよう)、そこから公演の約2週間前に自身のレーベル『VERETTA SOUNDS』を設立、4日前には待望の『JUST ALBUM』をリリース。7月16日(水)、満を辞して「JUST SHOW」当日を迎えた。
当日は、悪天候ながらも多くの人が足を運び、見切れ席も含めて満席状態に。デザイン性に富んだマーチャンダイズも開演前にはほぼ完売しており、会場に足を踏み入れる前からその人気の高さが伺えた。受付を済ませ、実際に客席に到着すると、華美な装飾やデザインは一切ない、シンプルなステージが目前に広がる。これは、彼が支持されるスタイルのひとつである“飾らないクールさ”をまさに体現したような作りであったといえる。
そのこだわりは楽屋エリアにも反映されており、IOと縁の深い『FADE & LINE』が、出演アーティストらのヘアスタイルのリクエストに応えるスペースを特別に用意。加えて、この日のために作成された世界で30本限定のオリジナルデザインのドン・フリオ 1942(非売品)が並ぶなど、ほかではあまり見ることの無い彼ならではの空間造りが行われていた。
後に気づいたことだが、開場後IOが自身の『Instagram(インスタグラム)』のストーリーにて「SESSION 00 ONSET」と綴られた画像をアップするという粋な演出も用意も。
19:00を少し過ぎた頃、会場が暗くなると歓声が上がり、サイドモニターに「SESSION 01 TALK IS CHEP」という文字が浮かぶ。中央のステージに光が差し、『JUST ALBUM』のファーストトラック “Just Intro”が流れると、ステージ横より〈VALLAD〉のトップスに身を包んだIOが登場。続けて、クレイジーケンバンドのCrazy KenがAdditional Voiceで参加する“本牧カーチェイス”が始まると、会場はこれから始まるショーへの期待感に包まれる。アルバムリリースより4日ほどしか経っていないにも関わらず、サビの部分を口ずさむ観客もちらほら見られた。曲を歌い上げると、サイドモニターにIOの横顔が映し出され、そのまま1分半ほど微動だにしないままストップ。このムーブは、故マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)が1992年にルーマニア・ブカレストでのツアーで行った、伝説の“沈黙”を彷彿とさせるもので、彼の演出への細やかなこだわりを感じさせた。
静寂が終わると、アルバムのトラックリスト通り3曲目には先行でリリースされていた“Spotlight”のイントロが鳴り響く。IOが「照らしてくれよ Spotlight」と歌うと、歌詞の通り無数の光が下からステージを照らしあげ、会場の熱を高まらせた。“Recognize”では1人目のゲストとなるC.O.S.A.が参戦し、力強いリリックで観客を沸かせた。続いて、Neetz手掛ける“Say My Name”では、盟友 Ryohuが参戦。曲の途中にはそのタイトルをなぞってIOの名前を叫ぶオーディエンスもおり、終始明るい雰囲気で曲を終えた。夏らしいテンポの“Your Breeze”ではYo-Seaが現れ、透き通る歌声でオーディエンスを魅了。そのまま名曲 “Feel”のイントロが響くとステージには唾奇が登場し、客席からは歓声が沸き起こった。
「SESSION 02 SWING」ではジャズバンドセットに切り替わり、まずは2014年にKANDYTOWN名義で発表された『KOLD TAPE』より本セッションにふさわしい“kidy”を披露。その後の“1942”にはスーツ姿のYZERRが参加し、曲が終わる頃には力強い握手を交わした。続く“Racin’”ではもちろんKohjiyaが登場したのだが、曲が終わっても彼はステージを去らないまま、本日2度目の“Spotlight”が流れると会場は騒然。未発表曲として、KhojiyaとまさかのTeteも加わりリミックスバージョンをお披露目した。
ステージが暗転したあと、再びDJセットに戻り「SESSION 03 SCHEME」がスタート。“Feel My Minute”ではZeus、DJ TATSUKI名義の“City of Dreams”ではMonyHorseと$MOKE OG、そしてKANDYTOWNの“Last Week”ではGottzとMUDがそれぞれ姿を見せ、オーディエンスを沸かせた。その後、それまで明るかったライトが切り替わり、ダンスホールのような雰囲気の照明の中で3Houseとの共演作 “Show Me Love”を演奏。ロマンティックな雰囲気のまま、続く“Mamatica”ではバックライトが照らすステージに奥さんをエスコートするシーンも。映画のワンシーンさながらの演出に、会場中がおもわず息を呑んだ。
ライブも終盤に差し掛かる頃、ステージ中央に置かれたイスに腰掛けると、“Trust Me”でCrysal Kayと姫路出身のラッパー Shurkn Rapと共演。IOの安定感あるヴァースと、ふたりのメロディアスな歌声が広大な会場中に響き渡った。息をつく暇もなく“4L”が流れると、BarkとBenjazzy、そしてC.O.S.A.が再登場。明るいバイブスのまま、KEIJU、Gottz、Holly Qと“You Came Back”を歌い、客席からは大歓声が上がる。会場のボルテージは最高潮となり、そのままクルーのメンバーとともに“One More Dance”をダイナミックに魅せた。
ゲストらがステージを立ち去り、彼がラストに選んだのは“Bill”。いくつかのライトがステージを照らすと、「あの日見てた Dreams 今じゃ手の中に」とメロウな歌声を届ける。観客席いっぱいにオーディエンスが光らせたスマートフォンのライトがキラキラと輝き、一体となって「JUST SHOW」の有終の美を飾った。曲が終わると彼は静かに立ち去り、モニターには「SESSION 04 JUST SHOW」の文字が表示。最後に、今冬『JUST TOUR』を行うことが発表された。
驚くことに、公演中MCは一切なし。1時間半、ただひたすらに自身の音楽と仲間とのパフォーマンスだけで、満員の武道館を揺らしきったIO。それは彼のこれまでのキャリアの集大成であると同時に、自身のレーベル『VERETTA SOUNDS』を率いて新たなステージへと向かう、高らかな決意表明だった。今冬実施予定の『JUST TOUR』も楽しみに待ちたい。
IO『JUST ALBUM』
リリース日:2025年7月12日
トラックリスト:
01. Just Intro(Prod. GooDee)
02. 本牧カーチェイス(Prod. GooDee)
03. Spotlight(Prod. KORK)
04. 1942 feat. YZERR(Prod. llouis)
05. Say My Name feat. Ryohu(Prod. Neetz)
06. Recognize feat. C.O.S.A.(Prod. C.O.S.A.)
07. Mamacita(Prod. YoungBeat’s Instrumental)
08. SEIKO(Prod. Chaki Zulu)
09. Kento Yamada’s Interlude(Prod. Kento Yamada)
10. Show Me Love feat. 3House(Prod. GooDee)
11. Trust Me feat. Crystal Kay, Shurkn Pap(Prod. YoungBeat’s Instrumental)






















