HAROSHI の個展 “ABACO” が NANZUKA UNDERGROUND にて開催

こけしとそろばんの珠をモチーフにした新作彫刻を制作

アート
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東京・原宿にある『NANZUKA UNDERGROUND』にて、東京都在住のアーティスト ハロシ(HAROSHI)による個展“ABACO”が9月12日(金)から開催される。

2003年より独学で習得した技法を駆使し、スケートボードデッキの廃材を用いて作品を制作してきたハロシ。その使い込まれたスケートボードへの敬意を表した彫刻作品“GUZO”
シリーズや、古いプラスチックビニール製フィギュアを修復・改造し、新たな命を吹き込むことでモノの愛情を表現したソフビシリーズ、そして、使い終わったスケートデッキを刻んで再構成し、スケーター1人1人の個人史とスケートボードカルチャーの総体を描き出したモザイク平面作品“Mosh Pit”が、これまでの代表的なシリーズである。

一方、本展“ABACO”では、人々に必要とされなくなり、中古市場で安価で取引されているこけしとそろばんの珠をモチーフに制作。これら新作彫刻を、完成作品として一堂に会したインスタレーションを発表する。現代の私達がその価値を忘れつつある素材に着目した背景には、ハロシが長い年月をかけて独自の視点で探求を重ねてきた日本の土着文化への関心があるからだ。万物に神の存在を見出す日本人の美意識が生み出した道祖神(お地蔵様など)と、ハロシが制作する“GUZO”との関係性はその一例で、打ち捨てられたものへの尊敬や愛情もまたハロシの作品の重要な文脈の一つ。そして、ハロシは、今回の新作個展“ABACO”について以下のようにコメントしている。

僕の作品のコンセプトは救済にあります。それは使い終わったスケートボードであったり、ソフビであったり、打ち捨てられ、忘れられていくものを救い、新たな進化のかたちを創造していくことです。2003年にこの活動を始めた当初の私たちのコンセプトはこの活動を世界的なものにして、スケートボードをリサイクルしてものを作る人を増やして、捨てられるスケートボードを無くそうということでした。今はもう、私たちのことを知らないでスケートボードからものづくりをする人が世界中に溢れています。

そんな時、私はこけしに出会ったのです。こけしはソフビなどの石油製品のおもちゃが誕生するまでは子供のお供の一つでありました。ですがその存在はバービーやソフビなどに取って代わられ、今では一部の愛好家のみが収集する工芸品になっています。中でも古くなって真っ赤に日焼けしたこけしたちは行き場もなく、リサイクルショップや骨董市で格安で売られていたわけです。

傷だらけのこけしが投げ売りされているのを見た時に、飽きられて捨てられたトイストーリーズのバズ・ライトイヤーを思い出しました。その時、彼らのためになにかできるのではないか?と思ったのです。

古くなったこけしを彫刻している時に、3Dプリンタのことを調べる機会がありました。私のやってきたことと3Dプリンタのようなテクノロジーの最先端の技術との対極さが面白いなと思った時に、コンピュータが計算をするという行為をアナログに表現してみてはどうだろうと思いました。そこで古くなり使われなくなったそろばんの収集が始まりました。そろばんにはコンピュータのようにテクノロジーのアップデートはありません。ですが、使い込まれたそろばんには膨大な回数の計算をこなした記憶が、その飴色に変わったそろばん球には刻み込まれています。そろばんで装飾されたこけしは、計算することによってあらゆる物事を理解し、作り出そうとしている我々人間の歴史を象徴しています。

なぜかここ数年、日本を旅する機会が増え、日本の文化を見直す経験を多くしました。ずっとアメリカの文化に魅了されてきた私にとって、自分の中に実はあった日本的な部分にも向き合うことができました。今回は全て純国産の素材と向き合うことになったのも、そんな経験があったからかもしれません。

宇宙に果てがないように、私たちの体の中にも宇宙のように果てない奥行きがあるのです。私たちが理解できる範囲を果てなのではないかといっているだけで、我々の外側にも、内側にも実際はそんなものはないかもしれません。

2017年“GUZO”、2021年の“I versus I”に続く、今回の個展“ABACO” 。興味のある人はぜひ訪れてみよう。

HAROSHI “ABACO”
会場:NANZUKA UNDERGROUND
住所:渋谷区神宮前3-30-10
会期:9月12日(金)〜11月9日(日)
時間:11:00〜19:00(日曜・月曜日休業)

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