RASEN OKINAWA TOUR ──沖縄から世界へ繋ぐ Hip Hop の未来

Awich、OZworld、CHICO CARLITO、唾奇の4人が成す土着の魂が融合した日

ミュージック
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去る7月13日(日)、沖縄を代表するラッパー Awich、OZworld、唾奇、CHICO CARLITOによる「RASEN OKINAWA TOUR」の東京公演が『Zepp DiverCity』にて開催された。『Zepp Namba』と『Zepp DiverCity』での公演がアナウンスされるや否やチケットは即完。さらに福岡・名古屋での追加公演もすでに決定しており、その勢いは留まるところを知らない。本ツアーは、「Red Bull」が主催する「Red Bull RASEN」シリーズから派生したもの。円を描きながら上昇するカメラに囲まれた4人のラッパーがマイクをリレーし、ラップの熱量とともに円が“螺旋”を描き高みへと昇華していくという同企画のもと、沖縄メンバーによる動画が1,000万回超の再生を記録するなど大きな話題を呼んだ。さらに、彼らのパフォーマンスをもとにした楽曲『RASEN in OKINAWA』のミュージックビデオは、すでに2,000万回以上の再生を突破。まさにこのムーブメントの熱狂を背負い、今回のツアーが実現した。

当日の『Zepp DiverCity』公演は、18:00スタートにも関わらず開演前から多くの人が溢れていた。AwichのバックDJであるU-Leeが現れると会場にはざわめきが溢れ、今か今かと主役の登場を待ち侘びる。そしてトップバッターのAwichが登場すると同時に、会場は更なる熱気に包まれる。まずは、Wu-Tang Clan(ウータン・クラン)の総帥 RZA(レザ)による全面プロデュースの元、NY・ハーレム出身のラッパー FERG(ファーグ)を客演に迎えた楽曲『Butcher Shop feat. FERG』をキック。スタートからフルスロットでパフォーマンスを行い観客の心をしっかりと掴んだAwichは、まさにジャパニーズフィメイルラッパー界の先駆者であり、トップランナーであると言える。その後は、『不幸中の幸い』や『GILA GILA』のソロVer、FERGに加えグラミー賞受賞歴を持つシカゴの知性派ラッパー ルーペ・フィアスコ(Lupe Fiasco)が参加した新曲『Wax On Wax Off feat. FERG & Lupe Fiasco(Prod. RZA)』を披露するなど、30分という短いパフォーマンスの中にも彼女の今を表現する時間は詰め込まれていた。

Awichの熱狂冷めぬまま続いて登場したのはOZworld。1曲目の『Hey Siri, ヒフミヨイ』の後、立て続けに『畳』を披露し会場全体をOZworldの世界観に包み込む。また4曲目には、「人種、国籍、宗教をも越えて人と人とが繋がり合い、多くの困難や悲しみを乗り越えていく力となるUTAGE(宴)を世界中に広めたい」という彼の想いを乗せた楽曲『UTAGE3.0』をキック。さらに客演として宮崎出身のオルタナティブHip Hopアーティスト KUJAが出演。『KARASU REMIX』は、リリース前でありながら、大切に歌い続けている楽曲だ。『Zepp DiverCity』でのパフォーマンスは圧巻そのもであったと言える。オーディエンスとの一体感を保ちつつ、その後は『Gear 5』や『MIKOTO 〜SUN NO KUNI〜』など、彼の代名詞ともいえる楽曲を披露。沖縄ムードは更なる熱を帯びていった。

OZworldに次いで登場したのはCHICO CARLITOだ。未発表曲『南一局』、そして『Ryukyu Style』といった彼の代表曲を中心に構成されたステージで、沖縄の世界観がさらに場内へと充満していったのではないだろうか。その後は、楽曲『国産』を通して巧みなフロウやライミングなど高いクオリティのパフォーマンスを発揮するラッパー ELIONE、『画面の中』では、元BAD HOPのメンバーで現在ソロ活動が活発化している最注目ラッパー Yellow Patoらが出演。沖縄をルーツに持ちつつつ、東京のカルチャーを体現しているラッパーが織りなす空間は、日本のHip Hopを最大限に体現することができるのではないだろうか。ラッパーと客が常にフィールし合う場所こそが、Hip Hopとしての本来の在り方であり、成すべき姿である。その前提を彼らは最大限に理解し、最高級のパフォーマンスを提供していた。まさに長年シーンに携わってきたCHICO CARLITOこその、唯一無二のムードを作り上げたといえる。

ロースモークが焚かれ、会場が静まり返った中最後に登場したのは唾奇だ。スポットが当たり、1曲目に披露された楽曲は『PAGEONE』。メロウなサウンドと彼の声がマッチし、落ち着いた空気感が場内を満たす。その後は、『雨傘』や『Ghost』といった楽曲を披露。2025年12月16日(火)には、初の『日本武道館』でのワンマンが控えている彼は、シーンのトップを走る今もなお、等身大の視点と研ぎ澄まされた言葉でリスナーの胸を深く打ち続けている。後半に差し掛かり、『KIKUZATO』『未完の石材』などを披露しミステリアスな雰囲気を演出。そして最後には、多くのファンが待望にしていたであろう楽曲『愛のままに』を披露した。直接的な“愛”の表現とフューチャリングで入っているBASIの温かな世界観が融合した1曲は、トリを飾るに相応しい。沖縄の面々が会場で作り上げてきた空間を唾奇がまとめ上げたといえる。

唾奇の幕引きとともに会場は静まり返る。そこで正面から登場したのがAwichとOZworldの2人。ファンの熱は再度高まり、ホットな会場になって披露された楽曲は『369 feat.Awich』だ。同郷同士の楽曲からスタートした4人全員によるパフォーマンスは、この日で一番“沖縄”を感じさせる。その後は、『弥栄LIT feat. CHICO CARLITO』や『IROCHIGAI feat. 唾奇』『一陽来福 feat. 唾奇』など、それぞれの感性で沖縄のスピリットを映し出す楽曲が次々と披露された。矢継ぎ早に届けられるパフォーマンスの中で、特に盛り上がりを感じさせたのは沖縄発のヒップホップクルー SugLawd Familiarとの楽曲『LONGINESS REMIX』。世代を超えたルーツを持った本楽曲は、沖縄の新たな才能と軌跡を辿るかのようであった。盛り上がり冷めぬまま『NINOKUNI feat.唾奇』をパフォーマンス。そして本公演の終盤に差し掛かった時には、なんとMONGOL800(モンパチ)のヴォーカル兼ベーシストであるキヨサクがサプライズ登場した。RASENメンバーとキヨサクによる『琉球愛歌』は、彼らだからこそ成し得た、ジャンルを超越した唯一無二の空気感を演出。沖縄出身かどうかに関係なく、そこにはRASEN TOURの本質を体現する彼らの姿があった。ラストは、互いへの感謝と敬意がにじむ空気の中、キヨサクが静かにステージを後に。最後に、4人にとっての代表曲『RASEN in OKINAWA』を披露。本イベントを経て、沖縄という土地は間違いなく、日本のHip Hopを語る上で欠かせない場所となった。それはラッパーたちの力だけで成し得たものではなく、ジャンルを超えて集結した多様なアーティスト、そして熱量を共有したオーディエンスとのセッションによって生まれた、一種のカルチャー現象と言えるのではないだろうか。

『RASEN OKINAWA TOUR』
日程:8月2日(土)
時間:18:00 OPEN
場所:Zepp Nagoya
住所:愛知県名古屋市中村区平池町4-60-7
チケット料金:1Fスタンディング(7,980円)、2F指定席:(9,980円)
チケット購入先:イープラス

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