DEFENDER OCTA を軽井沢で乗ってみた──史上最強を謳う SUV の真価を体感

自然に溶け込むような、建築家 坂茂設計のホテル『SHISHIIWA HOUSE』の中で、その存在は静かに、しかし有無を言わさぬ威圧感を持ってそこに佇んでいた

オート
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「メルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)」のGクラスや、「ジープ(Jeep)」のラングラーとは異なり、インテリな表情の進化の道を歩んだ「ディフェンダー(DEFENDER)」。2019年にフルモデルチェンジを果たして、公式にも日本に上陸し、その人気は爆発的に拡大。高級SUVにもかかわらず5年間で世界累計販売は15,000台を突破。日本は世界トップ5に入る主要マーケットとなっている。

そして、90(ショート)、110(スタンダード)、130(ロング)という3つの基本ボディに加え、エンジンラインアップも拡充する中、ディフェンダーのヒーローモデルとして君臨するのが、今回試乗した“ディフェンダー オクタ(DEFENDER OCTA)”だ。

開発にあたり、世界中で100万km以上のテスト走行を重ねたというこの最強モデルは、日本市場には限定220台で導入され、すでに完売。OCTAという名前は、ダイヤモンドの八面体カット(オクタヘドロン)に由来しており、その名に恥じない研ぎ澄まされた存在感を放っている。大きなダイヤを欲しがるように、このクルマを求めた人が多かったというのも頷け、ゲレンデキラーの面もある。

さて、では、このディフェンダー オクタは、通常のディフェンダーと比べて何が違うのか。それはまず外観だ。数字で見ると、全長は5mm短く、全幅は70mmワイドに、全高は30mm高くなっている。確かに見た目には大きくなったように感じるが、ディテールを追うと“らしさ”と“新しさ”が共存しているのがわかる。

軽井沢でディフェンダー オクタとご対面

遠目には「お、ディフェンダーだな」と思わせつつ、近づくほどにただ者ではないオーラを放っている。いつものディフェンダーがジムに通って少し筋肉をまとったような体躯だが、過剰なマッチョさではなく、むしろ静かに威圧感を放つような品のある仕上がり。標準より30mm高くなった車高は、最大1mの渡河性能を実現する要因の一つであり、同時に圧倒的な見晴らしの良さにも寄与している。

フロントグリルはやや低めに構成され、これは大型化されたラジエーターとのバランスが考慮されたデザイン。また、見えない部分ではあるが、車体のアンダー部分には広範囲にわたるプロテクションが施されており、まさに“走る要塞”といった構えだ。張り出したフェンダーや刷新されたバンパー、そして大径タイヤへの対応など、細部にも走破性とスタンスの強さが刻まれている。

いざ試乗

2.5トンを超える巨体ながら、驚くほどすぐに馴染む。大きなクルマに慣れている人なら、むしろ「これこれ」と頷きたくなる感覚だ。で、特筆すべきは「Body and Soul Seat(ボディ&ソウルシート)」と呼ばれる独自のテクノロジー。音楽に連動して、座席がまるでリズムを刻むように振動する。好きなHip Hopを流せば、ビートに合わせてシートが震える。“演出”としては好みが分かれるかもしれないが、正直クセになる。ほかのクルマに戻るのが億劫になるほどだ。

DEFENDER OCTA を軽井沢で乗ってみた──史上最強を謳う SUV の真価を体感 試乗記  ディフェンダー オクタ

そして、いよいよアクセルを踏み込む。ディフェンダー オクタに搭載されたV8エンジンは、「BMW」との共同開発によるもので、最高出力635PS・最大トルク750Nmという怪物スペック。0-100km/h加速は4.0秒(ちなみに通常のディフェンダー V8は5.4秒)。軽井沢のワインディングでパドルシフトを使いながら走らせたが、驚くべきはこの巨体が軽快にコーナーを抜けていくこと。スピードと快適性が両立しているという事実が、オクタを“ただ速いSUV”にとどめない。

で、ドライブモードは「COMFORTモード」「DYNAMICモード」に加え、ディフェンダー オクタ専用の「OCTAモード」を搭載。このOCTAモードこそが、真の地力を発揮する局面だ。

DEFENDER OCTA を軽井沢で乗ってみた──史上最強を謳う SUV の真価を体感 試乗記  ディフェンダー オクタ

軽井沢にあるアサマレースウェイでのオフロード体験では、その真価が露わに。新開発の「6Dダイナミクスサスペンションシステム」は、車体の動きだけでなく荷重変化までもリアルタイムに検知し、路面追従性を最大化。凹凸の激しい未舗装路を走っているのに、タイヤがまるで「地面に吸い付く」ように動く。その結果、車体が跳ねない。つまり、ステアリングが常に正確に効く。オフロードの印象を塗り替えるような快適さに、思わずジャズを流したくなるほどだった。

さらに、プロのインストラクターによる同乗試乗も体験。山道をラリーカーのような速度で駆け抜けていくと、突然、仔鹿が飛び出してきた。ブレーキを踏む間もなくすり抜けたが、動揺することもなくスムーズに避けられた。ここで思わず思った。「ディフェンダー オクタは、大熊の皮をかぶった、インテリなチーターかもしれないな」と。

DEFENDER OCTA(2025年モデル/日本仕様)
全長 x 全幅 x 全高:4,940mm × 2,065mm × 2,000mm
ホイールベース:3,020mm
車両重量:約2,610kg(参考値)
エンジン形式:4.4L V型8気筒 ツインターボ(BMW共同開発)
トランスミッション:8速AT(ZF製)
最高出力:635ps(467kW)
最大トルク:750Nm
駆動方式:フルタイム4WD
燃料タンク容量:90L
乗車定員:5名
車両本体価格:2,099万円〜

主な装備・特徴:
6Dダイナミクスサスペンション(電子制御・前後ピッチ/横ロール制御機構付き)
ドライブモードセレクト(COMFORTモード/DYNAMICモード//OCTAモード)
ボディ&ソウルシート(音楽と連動するシート振動機能)
MERIDIANサラウンドサウンドシステム
電子制御式エアサスペンション(最大323mmの最低地上高)
渡河性能:最大1,000mm
オールテレーン対応22インチホイール(モデルによる)
ブレンボ製高性能ブレーキシステム
専用フロント&リアバンパー、スキッドプレート、フェンダー拡張
フルデジタルコックピット、12.3インチメーター+11.4インチセンターディスプレイ

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