日本の Hip Hop 史において確かな足跡を残したラッパー JJJ の名盤をプレイバック
彼が残した軌跡をアルバムを通して辿る
日本を代表するビートメイカー/ラッパー/プロデューサーとして知られるアーティスト JJJ(ジェージェージェー)が、4月14日(月)に逝去したことが明らかになった。享年35歳。
JJJは、幼少期に両親の影響を受けて1980年代のコンピレーションアルバムを聴き始め音楽の世界へと浸っていく。中学・高校時代は、Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)やRIP SLYME(リップスライム)といった日本のHip Hopの先人たちから影響を受け、Hip Hopを聴くようになったJJJ。また同時期に、DJ FUMIYAのバトルDJにおけるスクラッチの技術に感銘を受けDJとしてのキャリアもスタートする。
そんな彼は、17歳頃から渋谷を拠点にライブ活動を始め、その後、伝説的な3人組クルー Fla$hBackSを結成した。メンバーのひとりであるFebb As Young Masonは、Hip Hop史に残る名盤『THE SEASON』を発表し、Cracks Brothersの一員としても数々の名曲を残した。もうひとりのメンバーであるKid Fresino(2017年に脱退)は、2013年に『Horseman’s Scheme』でソロデビューを果たし、2020年にはシンガーソングライター・カネコアヤノとの共作『Cats & Dogs』を発表。Hip Hopとロックを横断するボーダーレスなスタイルでユース層を中心に人気を集めてきた。近年では、第101回箱根駅伝にあわせたサッポロビールのオリジナルCMに楽曲を提供するなど、その活動と影響力は計り知れない。このようなメンバーで構成されたFla$hBackSは、JJJのキャリアを語るうえで欠かすことのできない存在である。
JJJ個人の活動はというと、2014年にソロ名義で初のアルバム『Yacht Club』をリリース。日本語Hip Hop界における新生が徐々に名を上げていく瞬間となった。2017年には、セカンドアルバム『HIKARI』をリリース。このアルバムは、Asian Kung-Fu Generation(アジアン カンフー ジェネレーション)のボーカル 後藤正文が主催する『Apple Vinegar Award』で大賞を受賞するなど、シーンの最前線へと駆け上がっていった。2023年には、ファン待望の名盤『MAKTUB』がリリースされる。『Apple Music』では、ひとつひとつの曲に対する想いが鮮明に語られ、ファンはその感情を音と重ねながら耳を傾けた。2025年の『POP YOURS』のヘッドライナーを予定していたことからも分かる通り、現在のHip Hopシーンにおいて彼の名前を無くしては語ることができないほどの記憶に残る存在となったといえる。亡くなった直後には、ラップスタアを制した若き天才 kohjiyaやゆるふわギャングのNENEなど、今のシーンで最前線に立つラッパーらが『Instagram』のストーリー上で追悼。新曲は2度と聴くことができないものの、残された我々は今ある彼の曲をただ聴き続けることこそが、亡き伝説への軌跡に敬意を表し、弔いとなるのではないだろうか。
『Hypebeast』編集部一同、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
アルバム:FL$8KS
リリース:2013年
JJJ、Febb As Young Mason、Kid Freshino(2017年に脱退)の3名からなるHip Hopクルー。ファンにとってこのアルバムは思い出深いものだろう。ファーストアルバムということを疑うほどのトラックのクオリティの高さ、リリックの切れ味、類を見ないオリジナリティはリスナーの耳に鮮明に焼きついた。特に『Sour Picture』は、曲の入りにおけるインパクト、リズムキープなどスキルフルな彼らの魅力が光る楽曲だ。また、『Fla$hBackS』は、近年ライブにて披露された時の歓声は壮大。まさしくファンの度肝を抜いた楽曲だ。
アルバム:Yacht Club
リリース:2014年
JJJにとってのファーストアルバムとなった『Yacht Club』。Kid Freshinoとの楽曲『vaquero!』は、1990年代のブーンバップを踏襲したようなビートと鮮明なリリックが心に刻まれる1曲に。また、ISSUGI、仙人掌、Mr.PUGの3人からなるアンダーグラウンドで高い評価を得るクルー『MONJU』との楽曲をリリースするなど、すでに彼の才能は目に付けれていたのだろう。他にも、JJJがリスペクトを送るRIP SLYMEとの楽曲『damm』など、客演はまさに並ぶ者のない豪華なメンツだ。
アルバム:HIKARI
リリース:2017年
セカンドアルバム『HIKARI』では、ラッパー/トラックメイカーである5lackとの楽曲『HPN』、シンガーソングライターの鋼田テフロンとの楽曲『BABE』など、シーンにおいて絶大な信頼を得るメンバーが客演に出演。特に『2024』では、亡きFebb As Young Masonの声が心に残る。ラッパーとしての進化を感じさせ、同世代とは一線を画す実力と才能の輝きを感じさせるアルバムだ。
アルバム:MAKTUB
リリース:2023年
日本語Hip Hop史における名盤『MAKTUB』。『HIKARI』をリリース以降6年かけて作り上げた彼の魂が響き渡るアルバムとなっている。『Eye Splice』は、noshプロデュースのもとドリルビートに声を乗せている。この楽曲は、彼がファンだと公言するアメリカ・ブロンクスのラッパー Ice Spiceを紐づけている。Ice Spiceは、UKドリルを代表するセントラル・シー(Central Cee)とも楽曲をリリースしていることで有名だが、『Eye Splice』は、まさにJJJなりのドリルビートを体現した楽曲なのではないだろうか。また、Daichi Yamamoto(ダイチヤマモト)との楽曲『Taxi』は、2ステップでどこかダンスミュージックぽさを感じさせる楽曲に。他にも、JJJと同郷である川崎出身のラッパー Benjazzyとの楽曲『Cyberpunk』など、ファンが首を長くしてまった1枚に、期待を超える楽曲たちが並ぶ。



















