雪舞う−3℃ の滑走路で披露された Moncler Grenoble 2025年秋冬コレクション

標高2,008メートル。仏・クールシュヴェルの空港を舞台に、オーケストラが鳴り響く中、140ルックのモデルが登場

ファッション
321

2010年に誕生した〈Moncler(モンクレール)〉のハイパフォーマンスライン〈Moncler Grenoble(モンクレール グルノーブル)〉が、2025年秋冬コレクションを発表。開催地はフランス・クールシュヴェル──世界最大級のスキーリゾートだ。前回、2024年秋冬のショーはスイス・サンモリッツで行われたが、本格的な雪山でのランウェイショーは今回で2度目となる。

会場は、標高2,008メートルのクールシュヴェル空港の滑走路。世界中から集まった250人のゲストには、ファッションアイコンやブランドアンバサダーの姿も。日本からは山下智久も駆けつけた。筆者も現地入りしたが、日本からの長旅、さらには乗り継ぎトラブルを乗り越え、約30時間をかけてようやく到着。それでも、これほどの規模でゲストを宿泊付きで集める〈Moncler〉の手腕には圧倒されるばかりだ。

気温−3℃、雪が舞う中、来場者には白いケープが配られ、幻想的な一体感を演出。そして、空港ラウンジを模した待合スペースにはバーが設置され、極寒の中で楽しむ1杯が、これ以上ないほどのラグジュアリーを演出する。さらに滑走路に目を向けると、そこには生演奏のオーケストラ。雪の中でもヴァイオリンの音色は透き通るように響き渡り、シートの下に仕込まれた電気ヒーターのおかげで寒さを感じることはない。

Moncler Grenoble FW25 Runway Collection courchevel altiport puffer jackets penn badgley doutzen adrien brody kate moss anne hathaway shaun white brooklyn beckham nicola peltz Remo Ruffini

そして、いよいよショーがスタート。まるで映画のワンシーンのような光景が広がる。レーザーライトがオーロラのように輝く中、140ルックのモデルたちが滑走路を進む。今回のコレクションは、都市と山岳地帯をシームレスにつなぐパーソナルなスタイルを提案。ワークウェアから着想を得たデニムやキャンバス、フォーマルウェア由来の千鳥格子柄のウール、そして特殊加工が施されたブークレなど、素材の多様性が際立つ。スキースーツやシェルには複雑なインターシャ技法(色の色を変えて模様を入れる編み方)が取り入れられ、ブランドの卓越したクラフツマンシップが存分に発揮されていた。

ニットウェアは暖かさと心地よさを兼ね備え、アウターとしてだけでなく、チャンキーなインナーやスカートにまで及ぶバリエーションを展開。ふっくらとしたツイード調のツーピースは、ナイロンラケのマイクロパッチワークに繊細なウール刺繍を施すことで、テクスチャーの奥行きを生み出している。さらに、天然素材と合成繊維を組み合わせたシアリングは、フルコートとしてのドレープを活かすだけでなく、襟や袖口、バッグのアクセントとしても用いられ、コレクション全体にリュクスな雰囲気を漂わせていた。

なかでも注目を集めたのが、〈Moncler Grenoble〉と〈WHITESPACE〉のコラボによるスノーボード。デザインを手がけたのは、スノーボード界のレジェンドであり、ブランドのグローバルアンバサダーでもあるショーン・ホワイト(Shaun White)。さらに、〈Moon Boot(ムーン ブーツ)〉とのコラボブーツも登場し、ファッションと機能性の融合を象徴するアイテムが揃った。

しかし、改めて考えてみると、気温−3℃、雪が降るなか、オーケストラを伴った滑走路でのファッションショー……普通なら躊躇するようなスケールの試みを、〈Moncler Grenoble〉は圧倒的な完成度で実現してみせた。「モンクレールの隣に並ぶのは“ガチ系”のアウトドアブランドではなかった。シャネルやルイ・ヴィトンだったのだ」と改めて気づかされたほどのラグジュアリーな世界観。登場より15年目を迎え、どんどん本気になる〈Moncler Grenoble〉。恐るべし、である。

Read Full Article
 
ニュースレターに登録して、“最新情報”を見逃さないようにしよう。