On が原宿で開催した「On Labs Tokyo」をレポート
アジア初公開の「LightSpray™」など、イノベーションとコミュニティが融合した9日間の舞台裏
スイス発のスポーツブランド〈On(オン)〉は、9月13日(土)から21日(日)までの9日間、東京・原宿にて期間限定のブランドスペース「On Labs Tokyo」を開催した。期間中には延べ8,764人が来場し、アジア太平洋地域で初めて公開された製造技術「LightSpray™」の実演や、アスリートやクリエイターとのプログラムを通じて、ブランドのミッション「動くことを通じて人の心に火を灯す」を体現した。
会場のハイライトは、〈On〉が6年の開発を経て実現した最新技術「LightSpray™」の展示とロボット実演だ。自動化されたロボットアームが全長1.5kmにおよぶフィラメントをミッドソールに直接噴射し、片足わずか3分でシームレスなアッパーを形成する。製造過程における廃棄物を最小限に抑え、CO₂排出量を75%削減することも可能にした。来場者は、この技術を採用したCloudboom Strike LSを試し履きし、スポーツサイエンティストによるランニング効率測定を体験。また、開発に携わったヨハネス・フォークヒャート(Johannes Voelchert)氏やディレクターのパブロ・エラト(Pablo Erat)氏らが登壇し、「LightSpray™」の背景や意義について語るパネルディスカッションも実施された。
エリートアスリートとプロダクトチームによるパネルセッションでは、アスリート主体の開発プロセスやイノベーションの舞台裏を紹介。さらに、Cloudboom Strike LSを履いて3分間でどれだけ⾛れるかを競う「3-minute showdown」の決勝戦では、パリ、ボストン、チューリッヒでの優勝者が来日し、東京に集まったランナーたちと競った。
カルチャーと繋がる体験プログラムを毎日開催
期間中は、競技にとどまらない多彩なコミュニティプログラムが来場者を魅了した。ダンサーで振付師のRIEHATAは、観客と一体になれるワークアウトセッションを実施。ワークアウト後には参加者と一緒にダンスパフォーマンスを披露し、会場を大きく盛り上げた。また、Onアスリートの篠原倖太朗選手と発酵プロフェッショナルの金宏美氏によるトークセッションでは、日常の食事から試合前後のリカバリーまで、競技力を支える栄養戦略が紹介された。アスリートの実体験と専門的な知見が交差する内容に、参加者は耳を傾けた。
イベント開催と同時期に東京で行われた世界的な陸上大会では、30カ国13競技63名のOnアスリートが出場。ニュージーランド代表 ジョージ・ビーミッシュ(Geordie Beamish)選手とスイス代表ディタイ・カンブンジ(Ditaji Kambundji)選手が、国際大会の屋外種目で〈On〉にとって初となる金メダルを獲得した。さらに8名が「LightSpray™」採用シューズやスパイクを着用してレースに挑んだ。
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銀座旗艦店と呼応する2拠点
「On Labs Tokyo」は、9月12日にオープンした新旗艦店「On Flagship Store Tokyo Ginza」と呼応する存在として位置づけられた。銀座でブランドの世界観を発信し、原宿でイノベーションの舞台裏やコミュニティとのつながりを体験させる二つの拠点は、〈On〉が目指す未来像を象徴した。テクノロジーの公開だけでなく、アスリートやクリエイターと共に創り上げるプログラムを通じて、スポーツとカルチャーを横断する〈On〉の姿勢が浮き彫りになり、東京から世界へとその世界観を力強く発信する場となった。

















