1960年代のヴィンテージ Wrangler にデニムショーツ“40DEN”が存在した

フラッシャー付きのデッドストック個体のポケットからレシートが出てきて1964年以前のモデルと判明

ファッション
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1960年代に、おそらく世界で初めて発売されたデニムショーツといえば〈LEVI’S®(リーバイス)〉の“550ZXX”である、というがヴィンテージデニム・フリークのなかでの見解だろう。裏リベットはついていないものの、XX表記があり、いっぽうで紙パッチに“Every Gament Guaranteed”(通称ギャラ入り)の表記がないことから、この変わり種である“550ZXX”は、1960年代といっても、1962年〜66年に生産されていたのではないか、と推測できる。

そして、この“550ZXX”はかなり希少で、年に2,3本しか市場に出回らない。ただ、わざわざデニムショーツを買わずとも、501XXをカットオフすれば事足りたし、1960年代当時はきっとそこまで需要がなかったゆえ、生産本数が極端に少ないと類推しているが、じつはこの“550ZXX”よりもさらに幻のデニムショーツがある。〈Wrangler(ラングラー)〉のデニムショーツだ。こちらは、品番もわからず、数年に1本ほど古着市場で見かける程度であった。偶然見つけたさいに、このモデルのタグを確認すると「34」や「36」というウエスト表記のみ。フルレングスジーンズであるLot.“11MWZ”などであれば、「34×34」という具合にウエスト表記とともにレングス表記があるはずだ。この事実から、カットオフされたのではなく、元からデニムショーツとして生産されていたことは把握していた。
1960年代のヴィンテージ  ラングラー Wrangler にデニムショーツ“40DEN”が存在した

そんな折り、原宿の古着店『STEP A HEAD』が、この〈Wrangler〉のデニムショーツをフラッシャー付きのデッドストックの状態でアメリカから買い付けてきた。店舗にて確認すると、このデッドストックはウエストバンド右後ろに縫い付けられた紙タグがまだ残っており、そこからLot.40DENの文字を確認することができた。つまり、〈Wrangler〉のデニムショーツの品番は、“40DEN”だと判明。この事実は、90年代の雑誌『BOON』でも辿り着けておらず、おそらくこの記事が初出となる。

1960年代のヴィンテージ  ラングラー Wrangler にデニムショーツ“40DEN”が存在した

品番がわかったことは発見であったが、じつはもうひとつの発見もあった。ポケットの中から当時のレシートが出てきたのだ。“13 JUL 64”“D $02.98”とある。つまり、1964年7月13日2.98ドル×2(ダブル)を意味しているのであろう。このレシートから推測すると、このヴィンテージ〈Wrangler〉のデニムショーツ“40DEN”は、1964年7月以前に登場した、と考えて間違いはなさそうである。もうひとつの裏どり要素として、ファスナーは、1960年代以前とされる「PRENTICE」が使われている。
1960年代のヴィンテージ  ラングラー Wrangler にデニムショーツ“40DEN”が存在した

短パンを穿いたカウボーイの写真は見たことがないから、こちらも商品としては当時不発に終わったのかもしれない。〈LEVI’S〉のヴィンテージに比べて〈Wrangler〉のヴィンテージは、ただでさえ個体数が少ないゆえ、そのなかでも希少なデニムショーツ“40DEN”は、まさに絶滅危惧種だ。とはいえ、古着店にまだソレと気づかれず紛れている可能性もあるので、探してみるのも良いかもしれない。ちなみに、パッチ表記W34インチの“40DEN”と“550ZXX”の個体を比べると、“40DEN”の股下が24cmで“550ZXX”より2cmに長く、少し使いやすい印象。60年の時を越えて、地球温暖化が進むなか、夏に穿けるヴィンテージデニムとして、“40DEN”は輝きを増している。

1960年代のヴィンテージ  ラングラー Wrangler にデニムショーツ“40DEN”が存在した

Wrangler 40DEN 1964
・タグはフロント裏で、斜めベル。
・サイズ表記は、W表記のみ(ショーツゆえ)
・トップボタン裏は無刻印
・ウエストバンド裏は、上下ともにチェーンステッチ
・ファスナーは、PRENTICE。カムロック付き
・洗っても1%しか縮まないサンフォライズデニム採用
・裾裏のステッチはシングルで紺色
・ミミなし
・W34の個体のサイズは、ウエスト平置き44cm、総丈53cm、股上33cm、股下24cm

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